アンガーマネジメント - 怒りは管理出来るのか(その1) ?

 近頃、「キレる老人の増加」とか、「あおり運転」が社会問題として盛んに取り上げられるようになっています。

 

「老人」の定義は曖昧ですが、私も、段々と、そして確実に「老人」に近付いています。

 

また、元々、私は、若い頃は「キレやすい」性格だったのですが、子供が生まれた事で、周囲からは「性格が丸くなったねー」等と言われる様になって来たのですが・・・

 

客観的に自分を見ると、歳を重ねるにつれ、また性格が「短気」に戻って来ているような感じがしています。

 

つい先日も、大事な友人と口喧嘩をしてしまい、双方、気まずい思いのまま、分かれてしまうと言う事もありました。(後日、ちゃんと仲直りはしています。)

 

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よく、「歳を取ると丸くなる」等と言いますが、本当なのでしょうか ?

 

日本アンガーマネジメント協会のホームページよると・・・結局ところ「人それぞれ」と言うのが本当の所らしいです。

 

歳を取って経験を積む事で、視野が広がり柔軟な発想が出来る人がいる一方、ある年齢になると、視野の広がりが止まり、柔軟性が無くなると怒りやすくなると書かれています。

 

 さらに、歳を取るにつれ身体機能や運動能力が衰え、体力的に無理が効かなくなる事でストレスが溜まり、心の余裕が無くなる事で、些細な事でも抑えが利かなくなりカッとなる人も多いそうです。

 

確かに、昔は簡単に出来ていた事が出来なくなると、「昔は出来たのに!!」と、ついイライラしてしまいますよね。

 

加えて、この「イライラ」は、身近な人に対して、特に強く現れる傾向が強いそうです。

 

要は、「甘え」による怒りなのですが、身近な人の場合、「自分の気持ちを解かってくれる。」と思う気持ちが強く、それが理解してもらえないと、余計に怒りが爆発してしまうのだそうです。

 

全く、この怒り、イライラは厄介なものです。

 

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そこで、今回は、私の苦い経験を振り返り、「怒る → 後悔 → 怒る → 後悔」の不毛な連鎖を断ち切るために、「怒り」に関する次の様な話題を2回に分けて紹介します。

 

【 その1 】

  • 「怒り」とは何か
  • 何故、老人は「キレる」のか
  • 「怒り」の種類

 

【 その2 】

  • 「怒り」を管理する必要性
  • 「怒り」を管理する効果
  • 「怒り」を管理する方法

 

 

これだけ学べば、もう、無駄な「怒り」は無くなると思いますが・・・人間は、昔から「わかっちゃいるけどやめられない」動物です。

 

これは、私が生まれた昭和36年(19661年)の8月20日にリリースされた「スーダラ節」と言う歌謡曲の有名な一節です。

 

この「スーダラ節」は、「ハナ肇とクレージーキャッツ」と言う当時の人気グループが歌い、中でも、中心メンバーでボーカルだった「植木 等」氏の人気が高まった作品となっているそうです。

 

私も、実際の歌を最後まで聞いた事は無いのですが、次のような歌詞になっています。

 

 『 チョイト一杯の つもりで飲んで  いつの間にやら ハシゴ酒  

気がつきゃ ホームのベンチでゴロ寝  これじゃ身体に いいわきゃないよ

分っちゃいるけど やめられねぇ

ア ホレ スイスイ スーダララッタ

スラスラ スイスイスイ ・・・・ 』

 

皆さんも、実際のレコード音源は聞いた事は無いと思いますが、コマーシャル等では、一度は聞いたことがあるフレーズだと思います。

 

他方、「植木 等」氏の父「植木 徹誠」氏は、浄土真宗の僧侶だったそうですが、その父が、この「わかっちゃいるけどやめられない」と言う言葉は、人間の矛盾を言い当てた真理で、浄土真宗の宗祖「親鸞」の教えにも通じるものがあると語っていたとされています。

 

何か、ふざけた歌詞で、いい加減なメロディーで歌っており、かつ私は、浄土真宗門徒ではないので、親鸞の教えは分かりませんが、確かに人間の真理を突いた言葉である事は確かなような感じがします。

 

ちなみに、この「スーダラ節」の作詞家は、東京都知事や「意地悪ばあさん」を演じた、故「青島幸男」氏です。

 

と・・・ちょっと話が脇に逸れてしまいましたが、この「わかっちゃいるけどやめられない」について、ではなく、「怒り」を分析して管理する事で、人生を有意義に過ごす方法を学びたいと思います。

 

それでは今回も宜しくお願いします。

 

 

 

■「怒り」とは何か

 「怒り」を分析/管理するためには、先ずは「怒り」とは何か。何故、人間は怒るのかを調べたいと思います。

 

「怒り」は、数百万年にも及ぶ人類の進化の過程で、人類の脳の中に組み込まれてきた本能の一部と言われています。

 

人間は、「怒り」によって敵を撃退したり、あるいは集団に社会規範を守らせたりして来ました。

 

そして、「怒り」は、脳の報酬回路に由来しているとも言われます。

 

あらゆる状況下で、常に私達は、次に起こることを予測し、利害を推し量って行動しています。

 

そして、これまでの体験を元にして考えた予測と、実際に起きた事が食い違っている場合、脳の報酬回路が警鐘を鳴らし、「扁桃体」という部位が活発化して「怒り」が生まれます。

 

「怒り」は、身体の闘争反応を引き起こします。

 

人間は、怒ると副腎を刺激してアドレナリンやテストステロンを大量に分泌させることで、攻撃の準備をします

 

 しかし、実際に相手を罵ったり、パンチを食らわせたりする事になるか否かは、別の脳の領域の動きに掛かっているそうです。

 

そこは、脳の動きの中で、意思決定や推論を司っている「前頭前野」と言う領域になります。

 

前頭前野」は、その時の状況を判断し、社会的に許容される行動を取るように警告を発するのので、ほとんどの場合、「怒り」の原始的本能は抑制され、実際の行動には移されません。

 

近頃、問題となって「あおり運転」を起こす人間は、この「前頭前野」の活動に問題があるのかもしれませんね。

 

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と、脳の活動領域の話という難しい話になってしまいましたが、要は、怒りの正体は、各個人の「価値観」と「願望」、そして、それらに対する「許容範囲」の問題です。

 

「価値観」とは、ある物事に対して、「~は、こうあるべきである。」と言う定義になりますし、「願望」とは「~は、こうなって欲しい。」と言う思いになります。

 

 

 人間は、子供の頃に親に教えられてきた事や、これまでの実体験を通して、「物事は、こうあるべきだ。」と言う価値観を持って生きています。いわゆる「べき論」です。

 

例えば、「信号は絶対に守るべきである。」と言うのは、人間誰しも納得する所だと思います。

 

ところが、その解釈は、個人によって異なります。

 

「黄色は、注意して渡れなので、黄色の時は、侵入しても構わない。」と思う人もいれば、「黄色では絶対に止まらなければならない。」と思っている人もいるはずです。

 

「注意して渡れ」と「絶対止まれ」、ここが価値観の相違になります。

 

そして、この価値観の相違を、どこまで許す事が出来るのかが「許容範囲」となります。特に、この場合、「絶対に止まるべきである。」と言う価値観の人の許容範囲が問題となります。

 

「絶対に/べきである。」と言う凝り固まった価値観の人は、黄色で侵入する人を絶対に許す事は出来ないと思いますので、黄色で侵入して来た人に対しては「怒り」を感じると思います。

 

しかし、許容範囲が広い人は、「黄色は、本来は侵入してはいけないけど、今回は、まあ仕方がないか。」となるので、余り「怒り」は感じません。

 

この価値観の差と許容範囲が「怒りの正体」と言う事になります。

 

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また、「願望」も同じです。

 

人間は、社会活動をする上で、常に他人と関わりあって生きています。

 

そして、他人との関りでは、相手に対して、「あの人なら、こうしてくれるだろう。」とか、「この場合は、こうしてくれるだろう。」と言う「期待」を抱いたり、「あの人なら、私の思いや行動を理解してくれるだとう。」等と言う「願望」を抱いたりする事が多々あると思います。

 

ところが、人生、そう上手く行くとは限りません。この「期待」や「願望」が裏切られた時点で、人間は、相手に「怒り」を感じます。

 

「何故、こうしてくれないんだ !」、「何故、私の事を理解してくれないんだ!」・・・これが「怒りの正体」となります。

 

さらに、本ブログの最初にも記載しましたが、この「願望」の裏切りに対する「怒り」は、身近な人に対してほど「怒り」のレベルが大きくなる点も重要です。

 

「私の近くで何年も一緒に過ごしているのに、何故、それが理解出来ないんだ !!」となってしまいます。

 

 

「価値観」も「願望」も、詰まるところ「理想」と言い換える事ができます。そして、この「理想」と「現実」のギャップが、「怒りの正体」となります。

 

ちなみに、前述の「黄色信号」の件ですが、道路交通法では、第二条に、「黄色の灯火」は、次のように定められています。

 

二 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置をこえて進行してはならないこと。ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。 』

 

要約すると、「黄色信号」は、安全に停止できない場合を除いては、必ず停止線の前で止まらなければいけないという内容になっています。

 

「黄色信号」での進行が認められるのは、「急ブレーキをかけなきゃ停止が間に合わない」場合など、直ちに停止することが、交通の安全を妨げる場合だけというのが道交法の建前になっています。

 

つまり、この「急ブレーキ云々」と言う箇所がグレーゾーンになっているので、個人の解釈の差が生まれるのだと思います。

 

さらに参考までに付け加えると、現在の道交法の罰則では、黄色信号の無視は、故意か否かにより、次の様に定まっているようです。

 

・故意の無視  :懲役3か月以下、または5万円以下の罰金

・過失の無視  :10万円以下の罰金

 

う~ん・・・しかし、そうなると誰が、何をもって「故意」か「過失」を判断するのかが問題となりそうです。

 

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一方、「怒り」は、人間の「二次感情」とも言われています。

 

人間の感情として、よく使われる言葉に「喜怒哀楽」と言う言葉があります。これは、既にお分かりの通り、人間が抱く感情の内、代表的な4つの感情を表しています。

 

・喜  :喜び

・怒  ;怒り

・哀  :悲しみ

・楽  :楽しみ

 

 この言葉から、「怒り」は、人間が抱く代表的な感情と考えられがちです。

 

他方、心理学的にとらえると、人間の意識は、次の2つの意識階層で形成されており、表面に現れるのは、「顕在意識」となっています。

 

・顕在意識        :普段意識する事ができる意識。自分の意思によって、あらゆる物事を捉え、考え、判断する事が出来る意識。

・潜在意識(無意識) :普段意識する事が出来ない意識。無意識とも呼ばれ、感情、感覚、直感、記憶、本能的な欲求などを示している。

 

そして、この「顕在意識」と「潜在意識」は、よく「氷山」として例えられており、「顕在意識」は、氷山の表面に見えている部分、つまり「氷山の一角」で、「潜在意識」が、表面には見ない残り90%を占めているとされています。

 

また、「顕在意識」と「潜在意識」。何か難しい心理学用語の様な感じがしますが、人間の身体に例えると簡単です。顕在意識は「手足」で、潜在意識は「臓器」です。

 

心臓も肺も、私達が意識しなくても動いていますが、これら臓器が、手足を動かす際にも大きな影響を与えています。つまり、顕在意識は、潜在意識の影響を多大に受けていると言う事になります。

 

心理学と言うと必ず登場する「フロイト」と言う人物名を聞いた事があると思います。

 

オーストラリア出身の「ジークムント・フロイト」は、あらゆる精神的疾患(心の苦悩)の原因は、無意識(潜在意識)にあると結論付けました。

 

人間は、顕在意識により、あらゆる物事をとらえて考え、そして判断を下していると信じていますが、実際には、潜在意識からから強力な影響を受けているとされています。

 

さらに、このフロイトの弟子にあたるスイス出身の「カール・グスタフユング」は、この潜在意識を、さらに次の2つに分類して説明しています。

 

・個人的無意識 :個人が過去に経験した記憶

・普遍的無意識 :人間誰しも生まれ付き備えている人類共通の本能

 

そして、ユングは、人間本来の姿は、「普遍的無意識」に存在しており、この「普遍的無意識」は、夢に現れるとして「夢分析」を行ったことは有名です。

 

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さて、「怒り」が「二次感情」と言われるのは、「怒り」の根底には、「悲しみ」、「辛さ」」、「寂しさ」、「不安」、そして「苦しさ」が潜んでいるとされるからです。

 

これら「悲しみ」、「辛さ」」、「寂しさ」、「不安」、そして「苦しさ」と言う様な、「本来解かってもらいたい感情」が「一次感情」で、「怒り」は、「一次感情」の下の感情で「二次感情」と言う訳です。

 

 前述の通り、「怒り」は、期待や願望が裏切られた時に生まれます。

 

例えば、皆さんは、約束が破られた時に怒りを感じると思いますが、その時、同時に「約束を破られて悲しい、寂しい、辛い」と言う感情も抱くと思います。

 

つまり、「約束を破られて悲しい」が「一次感情」で、その下にある「怒り」が「二次感情」と言う事になります。

 

さらに、この「二次感情」は、誰にでも生まれる感情ではありません。「怒り」の対象は、前述の通り、身近に居る人により強く感じる感情です。

 

全く面識の無い人に罵詈雑言を言われても、まあ「何で、お前に、そんな事言われなきゃないんだ!」と思うかもしれませんが、悲しくも寂しくも、何とも無いですよね ?

 

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ところで、前述の「顕在意識」と「潜在意識」の関係ですが、「潜在意識が一次感情」で「顕在意識が二次感情」とも言われています。

 

本当の感情は「潜在意識」の中に隠れており、この本当の感情を隠すために「顕在意識」が表面に現れると言う訳です。

 

つまり、「潜在意識」として感じた「悲しみ」を、「顕在意識」である「怒り」が覆い隠していると言う訳です。

 

別の言い方をすれば、「悲しみ」を見せないために、「怒り」を表面に出すと言う訳です。「悲しさ」を「怒り」でごまかしているとも言える訳です。

 

素直に、「悲しさ」を伝えることが出来れば、「怒る」必要も無いと言えるかもしれません。

 

 これらが「怒りの正体」だと言われていますが、皆さん・・・どう思いますか ?

■何故、老人は「キレる」のか

 政府統計によれば、65歳以上の高齢者の暴行の摘発が、10年前の4倍に増えているそうです。

 

ささいなトラブルから他人に手を出すケースが急増し、挙句の果てには、火炎瓶や爆弾で無差別に他人を傷つける重大事件も起こっているそうです。

 

タバコのポイ捨てを注意された70代の男が、注意をした、当時小学1年の男児の首を絞め逮捕されると言う、とんでもない事件も起こっているとされています。

 

一体、近頃の高齢者は、どうなってしまったのでしょうか ?

 

しかし、高齢者が「怒り」をコントロール出来ないと言う事象は、脳科学者の間では、以前から常識とされているそうです。

 

「怒り」の原因は、前章で紹介した通り、「扁桃体」という部位の活発化ですが、この活性化を抑制するのが「前頭前野」、俗に「前頭葉」と呼ばれる分野です。

 

ところが、この「前頭葉」は、年齢と共に機能が低下する事があるそうで、そうなると「怒り」を抑える力が弱まり、感情をコントロールする事が出来なくなってしまうそうです。

 

 つまり、「脳は、年齢と共に、知らない内に衰える。」のだそうです。

 

さらに、脳機能の低下により、聴力が衰えて耳が聞こえにくくなったり、あるいは記憶力が衰えたりします。

 

そうなると、他人と上手く会話が出来なくなり、「怒り」が爆発するケースも増えて来るのだそうです。

 

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そして、「脳機能の低下」以外に高齢者がキレる原因として挙げられるのが、生活環境の変化なのだそうです。

 

一般的な高齢者は、サラリーマン、あるいは経営者として、それなりの地位に上り詰めた後、退職したり、後継者に道を譲ったりして第二の人生を始めます。

 

社会人時代は、社内、および社外でも、誰もが、それなりに敬意を払ってくれ、かつ自分の意見も傾聴してくれます。

 

 それが、第二の人生を始めたとたん、誰も、自分に敬意を払わなくなり、自分の意見など聞いてくれなくなります。

 

これも前章で紹介しましたが、「何で誰も自分に気を使ってくれないんだ!」と悲しい気持ちになり、これが「怒り」を誘発するのだそうです。

 

会社では、部長や課長等、何らかの「肩書き」がありますが、会社を退職すると「単なるジジイ」です。肩書き等ありません。

 

社内では「部長」でも、それは社内、あるいは取引先だけの事で、会社を辞めれば、そんな肩書きなど無関係です。新たに「単なるジジイ」と言う肩書きが付くだけです。

 

「キレる老人」は、その事に気が付来ません。

 

このため、ここに「現実」と「理想」のギャップが生まれ、老人がキレる事となります。

 

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加えて、現在の社会は「IT社会」です。ところが、一般的な「ジイさん/バアさん」は、IT機器など使いこなせません。

 

「ジイさん/バアさん」に、インターネットがどうのこうの、iPhoneがどうのこうの等と行っても、一部の人を除いては、全く理解出来ないと思います。

 

これが高齢者にとってのストレスになります。

 

 その結果、現実社会について行けない、置き去りにされるという「不安」が生まれ、これがまた「怒り」の原因となります。

 

他方、携帯ショップやパソコン教室などに行って、スキルを身に付けようとする人も居ますが、やはり、進化するデバイスに追いつくのは、至難の業です。

 

店員や講師が、一生懸命に、操作方法を教えてようとしても、それさえ理解出来ないので、またストレスが溜まります。

 

「何で、もっと親切に教えてくれないんだ !!」と言う事で、また、ここでも「怒り」が爆発します。

 

もうIT機器の進化は、高齢者にとっては「負のスパイラル」です。

 

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ここまで紹介して来たように、老人がキレるのは、全てに関して「社会に冷遇」されていると言う、高齢者の「被害者意識」が問題なのだと思います。

 

スマホが使えないのに公衆電話が撤去される。

・駅の改札も自動改札になり切符が使えない。

・スーパーのレジがセルフレジになった。

・免許返納で買い物にも行けなくなった。

 

確かに、現在、政府が主体となってスマート社会を目指す状況では、高齢者は置き去りになる感覚は確かに強くなっていると思います。

 

以前、本ブログで紹介した「Society 5.0って何 ?(20180310.html)」では、本当に政府が超スマート社会を目指すとしています。

 

これでは、高齢者は不安になるかもしれませんが、この「超スマート社会」でも、一部ではありますが、ちゃんと高齢者の事も考えています。

 

 

しかし、やはり、社会が進化して行くのであれば、高齢者自体も社会の変化に付いてく努力をすべきだと思います。

 

私も、親にスマートフォンの使い方を教えようしたのですが、もう最初から「私は解らない!」と言って、説明を聞こうともしません。

 

これではダメです。また、何度教えても、同じ間違いを繰り返すのも問題です。

 

人間誰でも間違いを犯します。これは仕方ありません。しかし・・・間違いを犯したなら、その理由を考え、次回、どうしたら同じ間違いを犯さないかを考えて、何か対応を取るべきです。

 

何も考えずに、「え~、そんなの無理 !」とか言っているアナタ。それじゃ、誰も相手にしなくなります。

 

私も、同じミスを何度か繰り返す事もありますが、そのミスに関しては、ポストイットに注意すべき項目を書き出して、周辺の目立つ場所に貼り付けています。

 

「物忘れ」も同じです。

 

人間の記憶も限界があります。これに関しても、私は、ポストイットスマホのリマインダーに重要なイベントを書き込んで、忘れないように注意しています。

 

とにかく、何かミスをしたら、同じミスを繰り返さないように、何らかの対策を取る必要があります。

 

 そして、変化を拒むのであれば、後は、自然に滅んでいくだけだと思います。

 

人類の歴史も変化の連続です。変化を拒んでいたら、人類は、恐竜と一緒に、とっくの昔に絶滅していたと思います。

 

私も、あともう少しで高齢者の仲間入りをしますが、その時には、「被害者意識」を持たない高齢者になれれば良いな~と思います。

 

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とは言え、本章で紹介した高齢者が持つとされる「被害者意識」ですが、この「被害者意識」、何も、高齢者に限った話ではないと思います。

 

特に、高齢者が多いと言うだけで、それ以外の人達でも、多かれ少なかれ抱く感情だと思いますので、その点、「年寄だけの問題」と言って片付ける事の無いようにした方が良いと思います。

 

それでは、これら「怒り」とは、全て同じ「怒り」なのでしょうか ? それとも、「怒り」にも種類や違いがあるのでしょうか ?

 

その点を、次章で説明します。

 

 

 

 

■「怒り」の種類

 前章までで「怒り」の正体と、人間、特に「老人」がキレる原因が分かりました。

 

老人に限らず、人間、誰しも世間から疎外されれば「怒り」を感じますが、それが自分由来の疎外なのか、それとも社会の問題なのかを冷静に判断する必要があるようです。

 

しかし、他方、専門家によると、「怒り」には、複数の種類があるとされています。

 

「怒り」の種類に依っては、高齢者のみならず、その人の特性に依って起こる「怒り」や、人間の本性として起こる「怒り」等、様々な種類の「怒り」があるようです。

 

本章では、その「怒り」の種類を、次の2つのカテゴリーに分けて紹介したいと思います。

 

・人間の本性により発生する怒り

・人間の性格により発生する怒り

 

人間の本性で起こる「怒り」とは、人間が基本的に備えている「怒り」をベースに、この「基本的怒り」が、各個人の感情の変化により、どうのように変遷して行くのかを紹介します。主に、小乗仏教における「怒り」の分類になります。

 

また、「人間の性格による怒り」とは、各個人が持っている「性格」と言う特性により、起きやすい「怒り」が異なるので、性格別に「怒り」を分類した内容となっています。

 

 ちなみに、「小乗仏教」とは、スリランカミャンマー、タイ、カンボジア、およびラオス付近に拡がった「パーリー語」で仏典を伝える仏教で、正式には「上座部仏教」、「南伝仏教」、あるいは「テーラワーダ仏教」とも呼ばれる仏教です。

 

日本に伝わった仏教は、「大乗仏教」と呼ばれる仏教で、「小乗仏教」とは、「大乗仏教」側から見た、「小乗仏教」の事で、この「上座部仏教」を見下した呼び方となっています。

 

それでは、「怒り」の種類をご覧下さい。

 

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●人間の本性により発生する怒り

 

(1)基本的な怒り

人間が持つ基本的な「怒り」とは、「嫌だ」と感じる「怒り」、その全てが基本的な「怒り」となるそうです。また、「嫌だ」と同質で、「つまらない」とか「退屈」などの感情も、基本的な「怒り」に含まれます。

 

つまり、「嫌だ」、「つまらない」、そして「退屈」等の感情から、人間の「怒り」は生まれるとしています。

 

(2)憎悪による怒り

「基本的な怒り」が増幅され、外見からも「怒り」が分かる程度になった状態で、自分自身でも「怒り」を意識する事が出来る状態です。

 

「基本的な怒り」を対処せずに放置した事で、「怒りで体が震える」等、見た目にも「怒り」の表情が現れてくる状態まで、「怒り」が育った状態となります。

 

(3)恨みによる怒り

同一事象に対する「基本的な怒り」の繰り返しにより、「怒り」が増幅された状態です。

 

「怒り」が繰り返される事で、その「怒り」が、「忘れ難い怒り」となり、さらに、繰り返し思い出す事で「妄想」となり、常に「怒り」を抱え、いつも不幸な状態が続く事になります。

 

(4)軽視による恨み

他人の長所を軽視する感情で、「怒り」と同質の感情とされ、その感情の始まりは「基本的な怒り」です。

 

他人の「弱み」や「悪意」を見たいと言う気持ちは、「基本的な怒り」と同段階ですが、実際に、相手が自分よりも優れていたり、あるいは長所を持っていたりする事が明らかになると、より強い「軽視による怒り」が生まれます。

 

(5)張り合いによる怒り

戦い続けて、相手を負かそう/潰そうとする「怒り」の事です。

 

戦いの初めは「基本的な怒り」の範囲内に収まっており、単純に「勝ちたい」と言う感情だけに収まっていますが、戦い続ける事で、この感情が度を超えて、相手を潰したいと言う感情になり、攻撃が収まらない「怒り」となります。

 

(6)嫉妬による怒り

他人の「短所」を見たいと言う暗い気持ちを抱いた時に、逆に相手の「長所」が見えてしまった時に抱く「基本的な怒り」です。

 

相手の「長所」が見えた時、その「怒り」の矛先が相手に向かうと、前述の「軽視による怒り」になり、逆に「何で自分には、あんな長所が無いのか。」と、「怒り」の矛先が自らに向かった場合が、「嫉妬による怒り」になります。

 

さらに、長所/短所を比較する相手は無数に存在するので、自分が常に劣っていると、この「嫉妬による怒り」が増幅されて行きます。

 

(7)物惜しみによる怒り

「物惜しみによる怒り」とは、自分が持っている「幸せ」や「楽しみ」を、他人にあげたくない、奪われたくないと言う「ケチ」な感情です。

 

自分の「幸せ/楽しみ」を、他人と分け合うと損をしたように思い、「幸せ/楽しみ」を奪われまいとする感情から生まれる「怒り」です。

 

(8)反抗心による怒り

「反抗心による怒り」は、自我が強く、他人からの忠告や教えに反発する感情から生まれる「怒り」です。

 

他人からの「忠告/教え」に対して「怒り」を感じるので、最終的には、他者とコミュニケーションが取れなくなってしまう恐ろしい「怒り」です。

 

(9)後悔による怒り

「後悔による怒り」とは、過去に失敗した経験を思い出した時に、自らに向かって生まれる「怒り」です。「何であんな事をしたのか」と言う「怒り」です。

 

過去の失敗を何度も繰り返して思い出すので、明るい思考が出来ず、「怒り」が繰り返し生まれ、前に進めなくなってしまいます。

 

(10)激怒による怒り

これは、「基本的な怒り」が、極端に度を越した時に生まれる「怒り」です。

 

「基本的怒り」が、自己増殖して他人を攻撃したくなる気持ちが最大になる状況ですが、この状態になると、「怒り」の原因自体を忘れてしまい、ひたすら他人を攻撃したくなってしまいます。

 

この「怒り」に囚われると「大量虐殺」につながる感情です。

 

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●人間の性格により発生する怒り

次に、個々の人間が備える性格により生まれる「怒り」を紹介します。

 

(1)公明正大タイプ

正義感が強く、道徳心も高いので、他人から頼りにされるという長所がある人物に見られる「怒り」です。

 

しかし、逆に、その長所が短所となり、ルール違反や規則に従わない人を見ると、直ぐに「怒り」が沸き、公共の場でも、我を忘れて「怒り」を表す場合があります。

 

(2)博学多才タイプ

博学多才なため、何に対しても完璧を追求し過ぎ、困難な状況でも物事をやり遂げようとする性格の人物に見られる「怒り」です。

 

それ故に、他人に対しても厳しくなりがちで、優柔不断な人や考え方が違う人に対して、直ぐに「怒り」を感じてしまいます。

 

(3)自信満々タイプ

自分に自信があり、リーダーの素質がある、頼り甲斐がある人物に見られる「怒り」です。

 

しかし、その反面、プライドが高く、自分の思いと異なる方向に物事が進んだり、あるいは自分が卑下されたりすると、直ぐに「怒り」を爆発させてしまいます。

 

(4)天真爛漫タイプ

自分の気持ちを相手に素直に伝え、その思いのまま行動する人物に見られる「怒り」です。

 

しかし、素直さが災いし、その場の空気が読めず、場に相応しくない言葉を口にするので、周りからストップが掛かる事で「怒り」を覚えてしまいます。

 

(5)外柔内剛タイプ

外見は穏やかに見えますが、確固たる自分の意思を持っている人物に見られる「怒り」です。

 

仕事や依頼された事柄を必ずやり遂げるので、多くの事を依頼されるようになると、次第に、自分の思いとは異なる事まで依頼されるようになると「怒り」が爆発します。

 

また、自分のルールを確立しているので、そのルールに反した物事に出会った時にも「怒り」を感じてしまいます。

 

(6)用心堅固タイプ

真面目で物事を客観的に見定める事が出来る人物に見られる「怒り」です。

 

慎重に物事を進めて行くので、スピードを求められると「怒り」の感情が生まれる事があります。

 

また、用心深い性格が災いし、周囲に余り相談しないので、ストレスが溜まって「怒り」の感情が生まれるケースがあります。

 

さらに、他人の性格を客観的に見定める事が出来るのですが、それも災いし、自分と比較し、妬みの感情を抱くことで「怒り」を感じる事もあります。

 

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人間の本性の「怒り」の場合、この「怒り」は、言葉通り「人間の本性」なので、何かを契機として生まれた「基本的怒り」が、その「怒り」の種類により、徐々に成長して行くパターンが理解出来たのではないでしょうか ?

 

例えば、相手に対して、何かを「嫌だ」と思った感情が、恨みになったり、あるいは嫉妬になったりして成長して行くのだと思います。

 

 

他方、性格による「怒り」に関しては、どうですか ? どれか一つには、必ず貴方の「怒り」のパターンが見られると思います。

 

私の場合は・・・強いて当てはめれば「外柔内剛タイプ」の怒りのパターンが多いような感じがします。

 

特に、サラリーマン時代は、(別に私が優秀と言う訳では全くありませんが))何でもかんでも仕事を押し付けられ、「怒り」が爆発した覚えが何度もあります。

 

要は、私の周りの人間が、直ぐに仕事を投げ出すので、その尻ぬぐいを私が行っていただけだと思います。優秀云々とは関係無いと思います。

 

このように人間が本質的に持っている「怒り」と、性格によって生まれる「怒り」ですが、この「怒り」を放置していても、何も良い事はありません。

 

次章では、「怒り」を管理する事の必要性を紹介しますが、今回のブログでは、ボリュームの関係で、ここまでとさせて頂きます。次章以降は、次のブログをご覧下さい。 

 

■最後に

今回は、「アンガーマネジメント - 怒りは管理出来るのか(その1) ?」と題して、次の内容を紹介しましたが如何でしたか ?

 

  • 「怒り」とは何か
  • 何故、老人はキレるのか
  • 「怒り」の種類

 

このブログを書くまでは、「怒り」とは、単なる人間の感情、「喜怒哀楽」の一つだと思っていたのですが、前述の通り、実は、人間の「二次感情」で、最初の「一次感情」として、「辛い/悲しい」と言う感情が引き金になって「怒り」が生まれるのだと言う事に気が付かされました。

 

確かに、今回、このブログを書くきっかけとなった友人との仲違いですが、その発端は「悲しさ」でした。

 

『 長年付き合ってきたのに、何でそんな事するんだろう ? 』と言う悲しさが「怒り」に変わり、それが喧嘩となり、絶好寸前までの状態になってしまいました。

 

最後は、話し合いにより解決する事は出来ましたが・・・でも、まあ、以前のような状態に戻るのには時間が掛かると思われます。

 

喧嘩状態は解消されましたが、それと「信頼関係」とは、また別な問題です。一度失われた「信頼関係」は、直ぐには元に戻りません。

 

また、時間を掛けて「信頼関係」を構築して行くしか無いと思っています。

 

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また、「悲しさ」が「怒り」に変わる時にも、人間の「許容範囲」が、「怒り」の発生に影響を与えていると言う事も新しい発見でした。

 

「悲しさ」が「怒り」に変わるには、「許容範囲」の境界線を越える必要があります。

 

また、「怒り」が生まれるのは、一次感情である「悲しさ/辛さ」だけが原因ではありません。

 

人間、各個人が持つ「価値観」も重要な位置を占めます。

 

「価値観」とは、様々な事柄を含む膨大な考え方ですが、その中でも、「物事は、こうあるべきでだ。」と言う、各個人の「べき論」です。

 

そして、この「べき論」から外れた行動や考えを目にすると、人間は怒ってしまうのです。

 

今回のブログでは、この「べき論」を、「信号機の黄色」での行動で説明しましたが、それ以外、人間の全ての行動や言動に対して「べき論」と、それに伴う「許容範囲」が存在しています。

 

「短気な人」と言う類の人間は、この許容範囲が狭い人なのだと思います。そして、残念ながら、私も、この「許容範囲」が狭い類の人間である事に気が付かされました。

 

この「許容範囲」を広げる事で、「怒り」を管理/コントロールする事が可能になるとされています。

 

「怒り」を管理する方法としては、1970年代にアメリカで始まり、生活やビジネスシーンは勿論の事、映画やスポーツ業界、政治、あるいは教育現場などでも活用されている「アンガーマネジメント」と言う心理トレーニングがあります。

 

次回のブログで紹介する「怒りを管理する方法」の章では、この「アンガーマネジメント」を紹介したいと思っていますが、それ以外にも、次のような内容を紹介する予定です。

 

  • 「怒り」を管理する必要性
  • 「怒り」を管理する効果
  • 「怒り」を管理する方法

 

それでは次回も宜しくお願いします。

 

以上

【画像・情報提供先】

Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)

NHKニュース おはよう日本(https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/)

・モチラボ(https://www.motivation-up.com/)

日本アンガーマネジメント協会(https://www.angermanagement.co.jp/)