高校生からインタビューを受けました

先日、思いもよらず、高校生からインタビューを受けましたので、その内容についてご紹介したいと思います。

先月中旬(7/11)、「東京都立葛飾総合高校の生徒ですが、社長はいらっしゃいますか?」と言う電話が会社宛に掛かって来ました。

●東京都立葛飾総合高等学校http://www.katsushikasogo-h.metro.tokyo.jp/cms/html/top/main/index.html

最初、ウチの子供が「何か、しでかしたのか!?」、と焦ったのですが、冷静に考えると、ウチの子供は違う学校に通っているので、間違い電話かと思いました。

しかし、話を聞いていると、「自分は、情報メディア学科なのですが、夏休みの課題に【自分の進みたい職業の人から話を聞く】と課題があるので、協力して下さい。」との事でした。

最初、正直なところ、仕事が忙しいので断ろうかと思ったのですが・・・地域の子供達が、慣れないアポイントを取るために、必死に電話して来た姿が目に浮かび、インタビューを受けることにしました。

私も、昔【飛び込み営業】を経験したこともありますし、会ったこともない人に電話で【アポ】を取ったこともありますが、その時の気持ちを思うと、断ることができませんでした。

当日、駅前の喫茶店で待ち合わせをして、インタビューを開始しました。


先方は、電話してきた子を含めて4名だったのですが、みんな、まじめそうな子供達でした。(ウチの息子とは大違い)







子供達の名前は聞いたのですが、個人情報になるので、本ブログでは割愛させて頂きます。

ちなみに、左上の写真の左から、Y君、I君、そして右の写真の左からW君とW君です。(たまたまW君が重なってしまいました。)



質問の内容は、順番は前後しますが、下記のような内容でした。

【情報処理業界に入ったのは何故ですか ?】

大学4年生の時に、「今後世の中で重要になる職業は何か」を考えた時に、その当時は、今みたいに、そんなに身近にある存在ではなかったのですが、コンピューターが重要になると考えました。

そこで、専攻は文系だったのですが、敢えてコンピューターのソフトウェアを開発している会社に入社しました。


【仕事をしていて楽しいと思うことは何ですか ?】

最初は、自分がプログラミングしたソフトウェアが、コンピューター上で動くのが楽しかったですが、その内、徐々に、自分が作ったソフトウェアが社会に出回り、それを使ってくれている人に喜んでもらえることが楽しくなりました。

今では、社員が作ったソフトウェアをお客様に納品し、そしてお客様に使って頂き、「とても助かっているよ」と言われるのが、とても嬉しいです。


【辛かったことは何ですか ?】

入社当時は、文系出身で、社会人になるまで、一度もコンピューターに触ったことがなかったので、コンピューターの仕組みやプログラム言語を覚えるのが辛かったです。

夢の中でもデバッグ(プログラムの修正)をしていました。まさに【夢中】とは、この事です。

その当時は、月に300時間を超えて残業をしていましたが、年齢も若かったこともありますが、全然苦労とは思わず、仕事も楽しかったです。

その後、ソフトウェアの障害対応の部署に移り、責任者になった時には、障害が発生する度にお客様に呼ばれて、10人以上のお客様に囲まれて、障害原因の説明や、対応方法の説明をするのは辛かったです。

プログラムのロジックの説明から始まり、原因を納得してもらうのが大変でした。

そして最後に「会社として、どのような責任を取るのか?」とか言われた時も、辛かったです。その時は「俺に会社の責任問題を聞くな〜」と思いました。

それと、「あと1時間で障害を解決しろ!」と、無茶苦茶な事を言われた時もキツかったです。(某保険会社様でしたが)

その時には、何とか1時間以内で問題を解決し、後で先方の課長からは褒められましたが・・・


【情報処理業界では、何を身に着けるべきですか ?】

技術能力、ドキュメント作成能力、等、大切な能力は沢山あり、どれも重要ですが、私は、会話能力、コミュニケーション能力が大事だと思います。

これは、情報処理業界だけに限ったことではありませんが、仕事は独りではできません。

仲間と相談したり、お客様と打ち合わせをしたりして、問題点を解決しなければなりません。

この時に必要になるのはコミュニケーションです。

私も、若い頃、バリバリにプログラミングをしていた時は、朝会社に出勤し、誰とも会話をせずに帰宅する、と言う事が続いた時がありました。

しかし、部署が移動になり、サポートや営業の部署になると、お客様との会話が多くなってきました。

そうなると、発生した障害の内容を詳しく聞く必要がありますし、お客様が抱えている問題を聞き出したりする必要があります。

特に、情報処理業界では、お客様の要望を詳しく聞き出し、お客様の望むソフトウェアを作成する必要があります。

お客様の要望を、ちゃんと聞かないでソフトウェアを作成してしまうと、ソフトウェアを納品した後に「欲しかった物と違う」と言うことになってしまいます。

そこで重要になるのは、やはりコミュニケーション能力になります。

そして、次に必要なのは、コミュニケーションした結果を整理して、文章で残して、相手に承認してもらうことになります。

そうなると、ドキュメント作成能力も大事ですよね。

でも、コミュニケーションするにしても、ドキュメントを作成するにしても、相手が何の事をしゃべっているのかを理解するためには、技術能力も必要です。

要は、この3つの能力は、全て大事、と言う事になります。


【兄から、情報処理業界はキツイ業界だから止めた方が良い、と言われましたが、本当ですか ?】

この業界に限らず、楽な仕事など存在しません。みんな、それなりにキツイ仕事をしていると思います。

だからと言って、情報処理業界が楽だとは思いません。確かに、仕事はキツイですし、この業界では「うつ病」になる人が多いのも事実です。

理由としては、これも他の仕事も、同じだと思うのですが、仕事には「締切」があります。いわゆる「納期」と言うものです。

この納期が近くなると、仕事を納期までに終わらせる必要があるので、間に合わない場合、残業しなければならなくなってしまいます。

この業界の場合、毎回、毎回、どのプロジェクトでも納期が間に合わなくなることが問題だと思っています。それが、「情報処理業界はキツイ業界」と言われる原因だと思います。

確かに、お客様によっては、1か月間掛かる仕事を「1週間で作ってくれ!」と言われるケースがあります。

この時に、上司が優秀であれば、お客様を説得し、開発期間を延長するような対応を取りますが、上司が「アホ」の場合、お客様に言われたことを「ハイ、ハイ」と鵜呑みにして、それを部下に強要します。

言い換えると、この業界にはマネジメントに関しては、優秀な人が少ないのが原因なのかもしれません。でも、上司は選べないので、仕方がないのかもしれません。

それと、気を付けるべきは、仕事の形態です。

情報処理業界には、「派遣」と言う形態で働く人が沢山います。「派遣」と言うのは、自分の会社ではなく、お客様の事務所で仕事をすることです。

通常、お客様が派遣を希望するのは、担当プロジェクトが期限通りに終わらないから、追加人員を投入し、何とか納期通りに仕事を終わらせようとするケースが多いものです。

この場合、最初から納期が遅れている状況で仕事を開始しなければならないので、仕事がキツくなるのは当然です。そうなると、「月300時間以上の残業当たり前」みたいな状況になってしまいます。

会社を選ぶときには、「派遣」を行っているか否かを確認した方が良いかもしれません。


【将来、情報処理業界で起業したいと思っていますが、最初に身に着けるべきスキルは、技術スキルですか?
それとも経営スキルですか ?】

確かに、起業するのであれば、どちらも大切なスキルです。

しかし、私としては、開発者出身と言うこともありますが、やはり技術スキルが重要だと思います。

起業するにしてもしなくても、仕事をする上で技術スキルは重要ですし、情報処理業界で起業するとなると、技術スキルが、自分の【中核(コア)】になります。【コア】が薄っぺらだと、起業した時に困ると思います。

起業する場合、同業他社との差別化を図る必要があります。同業他社と差別化できなければ、事業の継続は困難になります。差別化を図るためには、【コア】が必要になります。【コア】があって初めて差別化が可能となります。

ですから、若いうちに【コア】の厚みを増し、その後でMBAを取得するなりして経営スキルを身に付けても遅くはないと思います。

また、この業界は、技術革新のスピードが速いので、新技術に関する知識取得も必要になります。自分の【コア】+新技術の知識取得 を繰り返すことで、経営の方向性も決まるようになります。


だいたい、こんな感じでインタビューは終了しました。

彼らには、今後のIT業界を背負って行く若者に育ってくれることを願うばかりです。

(期待し過ぎかな?)