全国太鼓フェスティバル


今回は、平成元年から「陸前高田市」で開催されてきて、今年で24回目の開催となる【全国太鼓フェスティバル 】をご紹介致します。

この【全国太鼓フェスティバル 】は、日本全国の太鼓を使った民族芸能を披露する催しで、これまでに、日本国内38都道府県、および海外から3か国から、延べ283団体+4個人が参加した、結構大きなイベントです。

ちなみに、海外から参加したグループは、ガムランで有名なインドネシアのバリ島から「ヤマサリ」、アフリカのセネガルから「ヤマサイ」と韓国から参加がありました。

陸前高田市」は、現在は残念な事に、東日本大震災の【奇跡の一本松】で有名になってしまいました。このため、あらためての説明は不要かとは思いますが、岩手県の南東部に位置し、岩手県内における三陸海岸の最南端となります。


震災前は、日本の渚百選にも選ばれた「高田松原」以外の観光名所もほとんど存在せず、全国的に地味な岩手県においても、さらに地味な存在でした。 奇跡の一本松
地方自治体の「市」には、国内外の他の自治体と提携する「姉妹都市」とか「友好都市」とかがありますが、なんと「陸前高田市」には、いまだに姉妹都市も友好都市もありません。
別に、「姉妹都市」や「友好都市」が多いとか、有名な自治体と提携するから良い自治体だ、とは言うつもりはありませんが、何か寂しい感じがします。
三方を、大船渡市と一関市、それに宮城県気仙沼市に囲まれて、その存在さえ忘れられがちだった「陸前高田市」ですが、震災により有名になったのは、住民にとっても、自治体にとっても不本意だったと思います。

今回は、この【全国太鼓フェスティバル 】について、次の内容を紹介したと思います。宜しくお願いします。

・由来/主旨
・イベント概要
・アクセス案内
・その他

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■由来・主旨

もともと、前述の様に観光の「目玉」がなかった陸前高田市ですが、平成元年、日本がバブルに踊り、「リゾートブーム」が巻き起こった時に、「さんりくリアスリゾート構想」なる不毛なプランが提唱されました。(さんりくリアスリゾート構想は、バブル崩壊後、平成6年:1994年に廃止)

このプランのもと、陸前高田市も、大船渡市と共に「椿の里」と言う、これも訳が解らない重点整備地区となったようです。

これを契機に、陸前高田市を全国にPRするための「実行委員会」が結成され、委員会が目を付けたのが、陸前高田市で行われる数少ないイベントである「七夕まつり」でした。(陸前高田市の七夕祭りに関しては、後で詳しく説明します。)


陸前高田市には、「うごく七夕まつり」と「けんか七夕まつり」という2種類の異なった七夕まつりが行われており、この山車の上で、「けんか七夕太鼓」と言う太鼓が演奏されます。

そこで、この委員会は、「けんか七夕太鼓」を活用した町興しを企画し、委員会名も「全国太鼓フェスティバル実行委員会」、イベント名称も「全国太鼓フェスティバル」となり、現在に至るそうです。

本来は、地元の「けんか七夕」の太鼓囃をメインにするために、8月に開催したかったらしいですが、全国的に有名な石川県輪島市の「御陣乗太鼓」を招待したいがために、先方の都合に合わせて10月開催になってしまったようです。

ちなみに、実行委員会は、毎年一般公募で募集され、募集人員は100名前後となるそうです。行政側も「金は出すが、口は出さない」方針で、すべて実行委員会に任せるようです。

これがイベントの成功の秘訣なのかもしれませんが、行政側が、もっと積極的に動かないと、イベントの知名度は上がりません。

私も、今回のブログのためにイベントを探して、初めて、その存在を知った位です。

「金は出すが、口は出さない」に項目を追加して、「金と知恵と名前は出すが、口は出さない」に変えた方が良いと思います。

自治体の名前を出せば、PRの相談に乗る企画会社も多くなると思いますし、JR等の交通機関も支援してくれると思います。

折角、日本全国から芸能団体を集めるわけですから、イベントの知名度も全国レベルになるように工夫すれば、人も沢山訪れると思います。

余計なお世話かな ?

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■イベント概要


基本的に、日本国内の太鼓を使った、伝統・創作の民族芸能を披露するイベントです。

コンセプトは「いのちは鼓動からはじまる」となっており、サブコンセプトは「松の緑と太古の海鳴り」だそうです。

これまでにも、日本の三大太鼓と言われる石川県の「御陣乗太鼓」、長野県の「御諏訪太鼓」、および東京の「助六太鼓」を始め、多数の団体が参加しており、現在は「太鼓の甲子園」と呼ばれるようになったそうです。

ちなみに、今年の参加予定団体は、次のような団体です。

演目・団体 出身地
岩手県立大船渡高等学校太鼓部 岩手県大船渡市
大償神楽 岩手県花巻市
鬼太鼓座 静岡県富士市
鬼島太鼓 長野県下高井郡
気仙町けんか七夕太鼓 岩手県陸前高田市
スーパー太鼓ジュニア 埼玉県上尾市
高槻太鼓 大阪府高槻市
打鼓音 神奈川県横浜市
長安寺太鼓 岩手県大船渡市
花輪ばやし 秋田県鹿角市
氷上太鼓 岩手県陸前高田市

「太鼓の甲子園」と呼ばれる割には、地元の参加者が多いような気がしますが・・・その辺は目をつぶることにします。

今年の見どころは、(私の勝手な推測ですが)「鬼太鼓座(おんでこざ)」だと思います。

鬼太鼓座(おんでこざ)」は、日本国内はもちろん、海外での活動も多く、アメリカ大陸一周ツアーを開催したり、CMにも出演したり、日本を代表する和太鼓の団体です。

海外、特にフランスでの評価が高く、褌(ふんどし)で太鼓を叩くスタイルは、「ピエール・カルダン」氏のアドバイスを受け入れた結果であり、背中を観客に向ける演奏スタイルは、俳優「ジャン・ギャバン」氏の演技からヒントを得たそうです。

ちょっと話はズレてしまいましたが・・・

このイベントの料金は、子供料金なしの一律3,000円です。そして、入場券はなく、入場手形を購入することになります。

この手形は、地元産「気仙杉」の間伐材を使っており、毎年デザインが異なるそうです。(画像の手形は平成25年版のようです。)

手形は、だいたい縦15cm、横12cm、厚さ1cm程度の気仙杉を、その年のデザインの型に整板し、実行委員が、表に「入場手形」の焼き印を押して紐を通す、と言う手作業で作成します。

ちなみに、手形のデザインも一般公募だそうです。

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■イベント案内

全国太鼓フェスティバルは、次の要領で開催されます。

開催日時 平成25年10月20日(日)
開催時刻 午前9時開場、午前10時開演、午後3時閉演予定 全席自由
開催場所 陸前高田市立第一中学校 体育館
アクセス ・JR大船渡線一関駅〜大船渡線気仙沼駅大船渡線BTR・盛行〜陸前高田駅〜徒歩12分
合計:2時間14分 (震災以前 JR大船渡線 陸前高田駅下車 徒歩12分)
東北自動車道「一関IC」〜国道432号線経由〜陸前高田市立第一中学校
合計:1時間47分
見学料金 一律3,000円(その他:受取時の代引き料金700円、送料、手数料、税込)
発売場所 事務局(陸前高田市商工観光課) / 平日8:30〜17:00 / TEL:019-254-2111
岩手県陸前高田市高田町字鳴石42-5
予約開始 平成25年9月8日から発売開始


※当日、東京から出発しての参加は無理があります。前泊をお勧めします。
※以前は、前夜祭もあったようです。詳しくは事務局にお問い合わせ下さい。

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■その他

この際、ついでと言っては何ですが、(余り存在しませんが)陸前高田市の名所旧跡、観光スポット、出身著名人等を紹介したいと思います。

●七夕まつり

この「七夕まつり」は、前述の様に、「うごく七夕まつり」と「けんか七夕まつり」という2種類の異なった祭りが行われます。

下の画像を見ると、同じ七夕の山車の様にも見えますが・・・微妙に違うようです。

・うごく七夕まつり


毎年8/7に、高田町にて開催されるイベントで、前面に七夕飾りを施し、笛や和太鼓の祭り囃を乗せた山車をロープで引いて町中を練り歩くイベントです。



夜は、画像のようにライトアップされます。商業施設が余り無い町ですから、山車が綺麗に映えそうです。

山車は、全部で12台あるそうですが、山車の足回りは、「けんか七夕」は木製の車輪であるのに対して、「うごく七夕まつり」はゴム製が多いそうです。

・けんか七夕まつり


こちらも、同じく毎年8/7に開催されますが、開催場所は、気仙町となります。こちらは、平成9年に、岩手県指定無形民俗遺産に登録されました。


山車の見た目は「うごく七夕」と似ておりますが、主目的は「けんか」です。このため、先頭に太い丸太を装着します。

装備としては、山から太い「ケヤキ」の丸太を切り出して車輪にし、さらに、樹齢50年の杉の丸太(舵棒)を、太い「藤づる」で山車に括り付けて完成です。


普段は、「うごく七夕」同様、山車の中のお囃子が、太鼓囃子を鳴らしながら町中を練り歩きますが、通りで別の山車に合うと、その状況は一変します。


お互いに、100人前後の引手が、全力でロープを引っ張り合い、太鼓の音と共にぶつけ合います。

まるで、野良犬やノラ猫が、町で出会って、いきなりケンカを始めるような状況です。(笑)

この「けんか七夕まつり」、正確な記録がありません。このため、伝承になりますが、平安時代から行われ、900年以上の歴史があると言われます。

伝承には、次の様な説があります。

・先祖の霊を慰めるために始まったと言う説
・平家の落人が、京の都を懐かしんで始めたという説
・気仙川のサケ漁をめぐる争いで始まったと言う説

記録がありませんから何とも言えませんが、平家の落人説に関しては、平家滅亡が1185年、「けんか七夕」の記録は明治時代(1868年)からあります。言い伝えのように900年以上前から始まった祭りとなると、100年ほど年代が合いません。このため、おそらく、この説は却下でしょう。

しかし、何れの説にしろ、日本最古の部類に入る七夕まつりだと推測されます。

この七夕まつりは、第二次世界大戦で中断され、再開した後も、チリ地震津波で再び中断し、そして今度は、東日本大震災でも、4台ある山車の内、3台が津波で流出してしまったそうで、残り1台だけで開催されたそうです。(当然ケンカは無し)

●気仙隕石


「気仙隕石」は、江戸時代の嘉永3年(1850年)に、気仙町にある「長圓寺」前に落下した隕石で、日本最大の石質隕石です。



落下当時の重量は、135kgと記録にありますが、付近の住民が、お守りと削り取り、持ち去ってしまったそうで、現在は106kgになってしまったそうです。

落下日時、飛来方向、および落下時の様子などは、当時の気仙町の庄屋である「吉田家」の文書にも残されております。

この「気仙隕石」は、明治27年(1894年)に、当時の「帝室博物館(現在の国立科学博物館)」に献納されてしまいました。このため、地元の陸前高田市立博物館は、実物大レプリカの展示になります。

残念・・・

●奇跡の一本松駅

「奇跡の一本松」駅は、JR東日本大船渡線で、東日本大震災以降に不通となった区間で運行されるBRT(バス・ラピッド・トランジットバス高速輸送システム)の臨時駅です。

「臨時駅」と言っても、その実態は単なる路線バスのバス停です。

この臨時駅ですが、前述の「奇跡の一本松」が、陸前高田駅から徒歩30分以上掛かることから、陸前高田市からJR東日本に臨時駅設置の要望が出され、JR東日本が、その要望に応えて設置したバス停となります。

設置当初は、7/13〜8/31までの土日、および前述の七夕開催期間中の日中だけの停車でしたが、平成25年の現在は、9/7〜11/30まで、毎日停車することになったそうです。

さらに、陸前高田市は、今後の利用者の動向や復興状況を見ながら、通年の設置要請も検討中との事です。

●出身著名人

千葉 周作北辰一刀流の開祖 (但し、伝承)

・千 昌男 : 歌手

・村上 弘明 : 俳優(元 仮面ライダー:スカイライダー)

・佐々木 守 : アニメーター

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以上が、【全国太鼓フェスティバル 】、および「陸前高田市」の紹介でした。

「奇跡の一本松」以外でも、「陸前高田市」が盛り上がることを期待します。皆さんも、是非「陸前高田市」を訪れて下さい。


次回も宜しくお願いします。

【画像・情報提供先】
・公益財団法人岩手県観光協会(http://www.iwatetabi.jp/)
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%99%B8%E5%89%8D%E9%AB%98%E7%94%B0%E5%B8%82)
・全国太鼓フェスティバル実行委員会事務局(http://www.3riku.jp/taiko/)
・UR都市機構(http://www.ur-net.go.jp/saigai/letter/letter_iw.html)
・けんか七夕(http://tanabata.itafusa.com/index.html)
・ミュージック&リズムスTOKYO KIDS(http://ameblo.jp/tokyokids/)

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