「The Microsoft Conference 2014」について

もう随分と前になりますが、2014年10月23日と24日の両日に、大江戸線赤羽橋の近くにある「ザ・プリンス パークタワー」において「The Microsoft Conference 2014」が開催されました。

私は、業務の都合で、10月23日(木)の1日目に、この「The Microsoft Conference 2014」を見学してきましたので、その内容と、参加した感想を簡単に紹介したいと思います。

このイベントは、毎年、秋に開催されており、日本マイクロソフト社の国内イベントとしては、最大級のイベントになります。


過去3年間は、「グランドプリンスホテル新高輪」で開催されていたのですが、今年は「ザ・プリンス パークタワー」になってしまったようです。


4年前は「ザ・プリンス パークタワー」での開催でしたので、3年毎に場所を変えているのかもしれません。


さてイベントの内容ですが、私は、初日のKeynoteと、次のBreakout Sessionに参加しました。

Keynote
●最新Officeで導入と管理はどう変わるのか?
●ここまでできる! 最新Officeで実現するモバイルワークスタイル










そして、今年の「The Microsoft Conference 2014」の感想ですが、一言で言うと「つまらなかった」です。

私は、2011年頃から、このイベントに参加してきたのですが、年ごとに、つまらない、そして面白くないイベントになってきたような感じがします。

何が「面白くない」のかと言うと・・・

(1)会場の雰囲気が面白く無い
(2)Keynoteが面白くない
(3)Breakout Sessionの内容が面白く無い

つまり、全体を通して、余り魅力が感じられなくなってきたような気がします。

以前、かなり昔の話ですが、アメリカのLas Vegasで開催されたIT関連のConfernceを見学して来たことがあったのですが、その内容は・・・もう「お祭り」状態です。

Confernceに参加しただけで、「何があるんだろう?!」とウキウキした雰囲気になります。

以前の「The Microsoft Conference」には、Las Vegasの様な雰囲気までは行かないにしても、会場全体に、「お祭り」の雰囲気が少しはあったのですが、年々、堅苦しい雰囲気になって来たような感じがします。

次に「Keynote」ですが、これも何か「パッと」しない内容でした。

いつもなら、毎年、この時期に合わせて様々な新製品についてのプレゼンを行い、「Microsoftに期待して下さい!!」みたいな雰囲気なのですが、今回は、新製品に関しての発表は、ほとんど行われず、「新機能の紹介」と「タブレット端末の紹介」に、ほとんどの時間を費やしていただけに見えました。

「Breakout Session」に関しても、プロダクト(製品)に関する発表はほとんど無く、スポンサー企業による自画自賛の事例発表、Microsoft社員による製品の導入事例の発表、Microsoftフリークのための環境構築事例と、貴重な時間を潰してまで聞きたいと思うセッションは皆無でした。

来年も、今年のような発表なら、参加は見合わせようと思っています。

それでは、以降で、発表内容を紹介したいと思います。

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Keynote

今回、前述の通り、開催場所が「ザ・プリンス パークタワー」に変わったのですが、会場の広さ自体は、「グランドプリンスホテル新高輪」と余り変わらないような感じがしましたが、雰囲気は地味になったような感じがしました。

会場には、5台の大型モニタを配置し、それぞれ場所を変えてプレゼンが出来るようになっていました。

Keynote」では、最初に、日本マイクロソフトの樋口社長が登壇し、Microsoft社の今後の方向性について語っていました。


内容としては、大方の予想通り、PCからタブレットへ軸足を移し、かつ「Azure(アジュール)」と呼んでいるMicrosoftホスティング環境に、多くの顧客を取り込みたいとの考えのようでした。

そして、そのためには、まずは「Office365」をMicrosoftホスティング環境で使ってもらうことで、その他の業務用ソフトウェアもMicrosoftに全て取り込みたい、と言う事らしいです。

その後は、またいつもの通り、つまらないデモンストレーションと、メーカーが発売した新型タブレット端末の宣伝だけでした。

デモンストレーションの内容は、次の通りでしたが、どれも新鮮味に欠け、「だから、どうしたの?」というような内容でした。

タブレット端末とWindows 8.1を連携させた電子決済システム
タブレット端末と3Dプリンターの活用事例
Windowsストアアプリの紹介:「Jリーグ動画アーカイブ」と「リアサカLIVE Jリーグ
HTML5アプリ作成ツール「SWAY」

次に、ゲストスピーカーとして楽天の人が登壇し、英語に日本語の字幕を付ける「MAVISMicrosoft Audio Video Indexing Services」と言うシステムの紹介をしていました。


これは、「Azure」上で動作するシステムで、動画の音声を拾い上げ、半リアルタイムで日本語の字幕を付ける機能との事でした。

また、似たような技術を用いて、Skype上でも同時翻訳できる「Skype Translator」の仕組みも説明していました。

あとは、以前「Windows 10」を紹介する過去ブログでも取り上げた、音声アシスタント機能「Cortana」のデモも行われました。

●過去ブログ:「Windows 10」について 〜 「8」の次なのに「9」を飛ばして「10」 ?


ところが、大方の人が期待していた「Windows 10」に関しては、時間の関係というよりは、現在「Technical Preview版」しか発表していないと言う理由なのかもしれませんが、ほとんど紹介がありませんでした。

まあ、9月末に、アメリカで「Windows 10」の発表を行ってしまったので、「The Microsoft Conference 2014」での発表は遠慮したのかもしれませんが、それでも、会場に来た人は、「Windows 10」に関する発表を期待していたはずです。

さらに「Breakout Session」でも、「Windows 10」に関するセッションは、1個もありません。

Windows 10」に関しては、来年、2015年9月30日の発売予定という事が発表されましたので、来年の「The Microsoft Conference 2015」では、大々的に発表するのかもしれません。


Keynote」で一番気になったのは、数々の(面白くない)デモではなく、日本マイクロソフトの樋口社長が言った、「お客様第一主義」と言う言葉です。

「収入はお客様から頂いているからこそ、そちらに顔を向けなければならない」と語っていましたが、ビジネスを行う人間にとっては、これは当たり前の事です。

これまで、散々「殿様商売」をしてきたMicrosoftですが、本当に「お客様第一主義」になるのか、今後に期待したい所ではありますが・・・本社がアメリカでは、無理な話ではないかとも思ってしまいました。


続いて、午後に開催された「Breakout Session」の内容を紹介します。

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■最新Officeで導入と管理はどう変わるのか?


この「Breakout Session」は、題名に「最新Office」と銘打っていたので、何が変わったのかを確認しようと思い参加したのですが・・・やっぱり想像した通り、Office自体は、何も変わっていませんでした。


「Office」に関しても、過去ブログ「Windows 10について(20141108.html)」でも紹介したように、機能自体は何も変わらず、提供方法とオプションが変更になる、という事だけの紹介でした。


「Office」のプレゼンと言えば、いつも日本マイクロソフトの「輪島 文」氏なのですが、しかし・・・また訳の分からない名称を使い出していたのが気になりました。


2014年10月1日に、Microsoft社の新CEO「Satya Nadella(サティア・ナデラ)」氏と日本マイクロソフトの樋口社長が行ったプレゼン「New Office Press Briefing」では、今後のOfficeは次の名称になると説明していました。

・Personal Premium
・Home & Business Premium
・Professional Premium
・365 solo


ところが、今回、新たに「Office 365 ProPlus」と言う名称を使っており、もう何が何だか解らない状況になってしまいました。


しかし、右の画像の説明に従えば、この「Office 365 ProPlus」には、従来「Office Professional」で提供しているソフトウェア群が含まれているようですから、10/1のプレゼンで紹介した「Professional Premium」の事を、名前を変えて「Office 365 ProPlus」と呼んでいるのではないかと考えられます。


これが、Microsoftの言う「お客様第一主義」なのでしょうか ? 従来から提供しているソフトウェアを、提供方法と価格を変えるだけで新しい名称に変更し、さらに自分達が言い出した名称を、また別の名称で言い換えているだけです。


これを「殿様商売」と言わず、何と言うのでしょうか? やはり、Microsoft社の本質は、何も変わっていないようです。


ちなみに、「Office」の新しい提供方法に関しては、前述の過去ブログで紹介していますので、今回のブログでの記載は、紙面が無駄になるので、割愛したいと思います。



さらに、このセッションの後半では、富士ソフトの人が、この「Office 365 ProPlus」のメリットとして、「Office 2013」の発売当初から提供している機能「Apps for Office」の紹介を行いました。

「Apps for Office」と「OneDrive」について説明すると、また紙面が無駄になってしまうので、下記の過去ブログをご覧頂ければと思いますが、簡単に言ってしまうと、Office製品をWeb環境で動かす仕組みと言うことになります。

●過去ブログ:ExcelとSkyDriveの連携


「Apps for Office」と「OneDrive」について説明すると、また紙面が無駄になってしまうので、下記の過去ブログで「ExcelとSkyDriveの連携(20120827.html)」を、ご覧頂ければと思いますが、簡単に言ってしまうと、Office製品をWeb環境で動かす仕組みと言うことになります。

富士ソフトの人は、Officeの問題点として、乱立するExcel/VBAや独自マクロを取り上げ、「Office 365 ProPlus」で、「Apps for Office」を使えば、これら問題点が全て解決できると訴えていました。



しかし・・・本当でしょうか? 何か、観点がズレているような気がします。


確かに、企業、あるいは私達のようなソフトウェア開発会社が、Excel/VBAで、業務を効率化する様々なプログラムを作成すると、その後のメンテナンスが出来なくなる、と言う問題が発生するケースがあります。


しかし、メンテナンス出来なくなる第一の原因は、Office製品の非互換です。


Microsoft社が、新しいOfficeを発売するたびに、旧バージョンのOfficeと非互換を発生させるので、過去バージョンで作成したExcel/VBA等が動作しなくなるのです。


それを、Excel/VBAを作る方が悪いと言うのは、「本末転倒」だと思います。自分達が、勝手に非互換を作っておいて、それを他人の責任にするなど、もっての他だと思います。



さらに、富士ソフトの人は、「Apps for Officeを使えば、Excel/VBAやマクロは不要になる」と言っていますが、それなら、Office製品で、VBAやマクロの提供を止めれば良いと思います。


何故、VBAやマクロが必要なのかと言うと、「Apps for Office」が役に立たないからです。


確かに、「Apps for Office」発表当時から比べると、「Apps for Office」の機能も増えてきましたが、それでもVBAが提供している機能に比較すると、その足元にも及びません。歴史が全然違います。


将来的には、「Apps for Office」がVBAを吸収してしまう日が来るとは思いますが、それは今ではありませんし、恐らく来年でもないでしょう。


現状、「Apps for Office」において、VBAを代替する機能と言えば、次の機能くらいです。
・プルダウンリスト表示
・DB参照
・図の挿入
・カレンダー日付参照


これらの機能しか出来ないのに、VBAを使うなと言われても、それは無理があります。


VBA(Visual Basic for Applications)と言うプログラミング言語は、VB(Visual Basic)と言うプログラミング言語を、Office用に特化させたプログラミング言語になります。


VBは、Microsoft社の創業者「ビル・ゲイツ」氏が考案した言語と言われており、1994年から提供を開始した言語です。


このため、おそらく「ビル・ゲイツ」氏の「目の黒いうち」は、VBAは無くならないと思います。



また、その他、企業内にOfficeを展開する際の、バージョン管理が容易になる機能として「Office展開ツール」を紹介していました。


この機能は、使いこなせれば便利だとは思いますが・・・現状でも、企業内には、様々なバージョンのOfficeが乱立していますので、まずは一旦、既存環境でOfficeを統一してからの話になると思います。


恐らく、トップダウンで、社内のOfficeのバージョンを統一する旨を全社員に通達し、何ヶ月かの準備期間を置いた後、この「Office展開ツール」で配布することになると思いますが・・・簡単には実現できないと思います。


以上が、「最新Officeで導入と管理はどう変わるのか?」と言う、セッションの紹介と感想でした。

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■ここまでできる! 最新Officeで実現するモバイルワークスタイル?

このSessionに関しては、正直、この題名を見ただけで、プレゼンテーションの内容が想像できてしまったので、聞くのを止めようかと思っていました。

この手のSessionに関しては、過去にも、次のような題名で、同じような説明ばかり行っています。


2011年 : ビジネスを止めないフレキシブル ワーク スタイル
2012年 : 次期 Office、クラウド サービスとの統合による進化
2013年 : Windows 8.1 + Office 365 で実現する次世代モバイル ワークスタイル


要は、『 WindowsとOfficeの様々な機能を組み合わせて使用することで、社内でも、外出先でも、家庭でも、どこでも仕事ができますよ ! 』と言うことを、Windows OSの種類を変え、かつOfficeのバージョンを変えて、毎年紹介しているSessionです。

また、昔から提供しているOfficeの機能でも、その時々で、少し機能を加えて名称を変更しているだけなので、プレゼンの内容自体には、余り変化がないと思っていました。

例えば、Officeに関係するプロダクトで、名称を変えたプロダクトには、次のプロダクトがあります。

現在の名称 旧名称
Microsoft SharePoint Microsoft Groove
Microsoft Lync Microsoft Office Communications
Microsoft OneDrive Microsoft SkyDrive


それに加え、その時の流行りの言葉をSession名や内容説明に加える事で、新鮮味を出しているだけだと思います。例えば、次のような言葉を加えているだけで、話す内容には、毎年、それほど差異は無いと思われます。

・モバイル
タブレット
・テレワーク
・ライフワーク・バランス


と、言うことで、Breakout Sessionに参加したのですが・・・・

やはり、思った通りの内容だったので、直ぐに退出してしまいました。

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ここまでが、「The Microsoft Conference 2014」に参加した感想でしたが、如何でしたか ?


「お客様第一主義」と謳っていますが、結局の所、「殿様商売」の体質は、何も変わっていないように見受けられました。


今後も、Officeに関しては、新製品を発売するたびに、非互換の嵐になると思います。


「テレメトリ機能で非互換を検知し、非互換がある場合には、過去バージョンと共存する」と言っていますが、結局の所、非互換があれば旧バージョンのOfficeは動かない訳ですから、共存する分だけ余計にバージョン管理が面倒になるだけだと思います。



ちなみに、次期Officeですが、嫌な情報が舞い込んで来ました。


Microsoft社、当然、アメリカのMicrosoft社ですが、「Office」、および「Office 365」のマーケティング担当ゼネラルマネージャーの「Julia White」氏が、現地時間の10/28に、スペインのバロセロナで開催されていた「TechEd」において、次期Officeのリリース予定時期を発表したようです。


次期Office、現時点では、コードネーム「Office 16」と呼んでいますが、「Office 16」のクライアント、およびサーバアプリケーションを、2015年後半にリリースする予定であることを発表しました。


つまり、現在の最新版「Office2013」は、後1年で終わりとなり、新Officeの製品名は「Office2015」となりそうです。


また、本ブログでも紹介しましたが、Officeは、今後サブスクリプション形式で提供されますので、「Office Premium」シリーズに切り替えると、勝手に「Office 16」に切り替わる可能性もあります。


来年の今頃は、皆さんも、Officeの切り替えで、「すったもんだ」しているかもしれませんね。


それでは次回も宜しくお願いします。

以上


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