「Windows 10」について 〜 「8」の次なのに「9」を飛ばして「10」 ?
もう既にご存知の方も多いと思いますが、Microsoft社が、平成26年9月30日に、サンフランシスコで行ったプレスイベントで、次期OSのプレビュー版の発表を行いました。
次期OSの名称は・・・何と「Windows 9」をすっ飛ばして「Windows 10」!!!
※OS:Operating System。日本語訳では「基本ソフト」
今回は、この「Windows 10」の概要と、新しいOffice「Office Premium」の概要について、紹介したいと思います。
それでは今回も宜しくお願い申し上げます。
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大方の予想では、次期OSの名称は、本命で「Windows 9」、大穴で「Windows TH」となっていました。
現在のOSが「Windows 8x」ですから、次のOSは「Windows 9」と推測するのが当たり前で、「Windows TH」と予想した方は、次期OSの開発コードが「Threshold(スレッショルド)」であった事から、先頭の2文字を取って「Windows TH」と予想していたみたいです。
しかし・・・フタを開けてみれば、「9」をすっ飛ばして「10」。これには、さすがに皆驚きました。
その理由は ? と言うと、これは推論の域を出ませんが、現在のOSである「Windows 8x」は、過去の失敗作「Windows Vista」に優るとも劣らない不評なOSであったため、この「Windows 8x」路線の継承を意味する「9」ではなく、敢えて数字を飛ばすことで、「Windows 8x」路線からの決別の意味を込めて「10」にしたのではないか、との事です。
つまり、過去に、いきなり「Windows Vista」から「Windows 7」に名称を変更したのと同じ理由と言う訳です。
それでは、どの位「Windows 8x」が不評なのかを、9月にアメリカの「Net Applications」社が発表したOSのシェアを見てみると、左のグラフのようになっています。
左のグラフで驚きなのは、「Windows 8x」のシェアの低さも驚きですが、いまだに「Windows XP」が、全世界で3%も使われていることですが、それは、今回のブログとは主旨が違うので、後日、本ブログで取り上げたいと思います。
ちなみに、全世界のPC(ノート/デスクトップ)の出荷台数が、約3億1000万台ですから、その3%と言うと、約930万台が、「Windows XP」と言う事になります。ウィルスは大喜びだと思います。
ところで、本ブログで、過去(2013年1月)にもOSのシェアを記載したことがありますが、その時からの変位を見てみると、次の通りです。
Windows XP | 39.51% → 3.00% | (-36.51%) |
Windows Vista | 5.24% → 3.00% | (- 2.24%) |
Windows 7 | 44.48% → 52.00% | (+ 7.52%) |
Windows 8x | 2.26% → 15.00% | (+12.74%) |
「Windows 7」は、2009年10月22日に発売されましたが、その約2年後の2011年12月では、既にシェア37%に達していました。(当時は、まだ「Windows XP」のシェアが46%もありました)
しかし、「Windows 8x」も、発売が2012年8月26日なので、現在では、発売から2年ちょっと経過していますが、そのシェアは、わずかに15%、当時の「Windows 7」の半分にも達していません。
Microsoft社は、「Windows 8」発売当初、売れ行きは「Windows 7」と同等と、強気の発言をしていましたが、もはや、明らかに、そんな状況ではありません。
「Windows 8」は、発売される前から不評だったのに、ユーザーの声を無視して、自分達の思いだけを強要し過ぎた結果だと思います。
これが10年前なら、PCのOSと言えば「Windows」しかありませんでしたから、ユーザーは、仕方がなくMicrosoft社に従ったのかもしれませんが、今は時代が違います。
「OS X」や「iOS」もあれば、「Chrome OS」や「Android」もあります。そもそも、PCの出荷台数も、来年にはタブレット端末に抜かれてしまうという時代です。
これを機に、Microsoft社の姿勢が変わることを期待しています。
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ところで、公表された「Windows 10」ですが、現段階では「Technical Preview版」と言う事で、主に、開発者向けのテスト版と言う位置付けになります。
メーカーから、一般に公開されるテスト版に関しては、以前にも本ブログで説明しましたが、実際に商品として発売されるまでには、次の様な段階を踏みます。
● DP版 : Developer Previewの略で、開発者向けのテスト版
● CP版 : Customer Previewの略で、一般利用者向けのテスト版
● RC版 : Release Candidateの略で、リリース候補用のテスト版
● RTM版 : Release to Manufacturingの略で、製品出荷直前のテスト版
● 製品版 : 正式発売用製品
今回の発表では、「Technical Preview版」と言っていますが、上記の「DP版」と同じ位置付けになります。
このため、今後「CP版」、「RC版」と進み、「Windows 10」は、2015年の年末頃の発売予定ですから、秋頃に発表される「RTM版」において、ほぼ製品版と同等の機能に固定される事になると思います。
上記の様に、現状では開発者向けのテスト段階の公開ですので、機能的には、それほど目新しい機能は付加されていないようです。
そんな状況においても、ちょっと目を引く新機能がありましたので、少し、次のような機能を紹介したいと思います。
・File Explorer機能
・Task View機能
・画面分割機能
・Continuum機能
・ストアプリをデスクトップで稼働
・チャーム表示方法の変更
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■ File Explorer機能
スタートメニューに「File Explorer」という機能が追加されるようです。
これは、現在の「エクスプローラー」の機能と「最近使った項目」の機能とを合体させてスタートメニューに取り込んだ機能のようです。
よく使うドキュメントや画像、および直近に使用したドキュメントを【階層的】に表示してくれるようです。
現在の「最近使った項目」は、ドキュメントや画像が、単純に表示されるだけですので、少しは使いやすくなると思います。
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■ Task View機能
「Task View機能」とは、使用中のアプリケーションを、サムネイル(縮小)画像として表示する機能です。
要は、タスクバーに表示されているアプリケーションを縮小画像で確認できる、という機能ですが・・・「Windows 7」でも、バージョンにも因りますが、Aeroを有効にすれば、サムネイルが表示されます。
まあ、「Windows 7」のAeroでは、タスクバー上にサムネイルが表示されていましたが、「Windows 10」では、サムネイルがデスクトップ上に、より大きく表示されるので、見やすくなるとは思います。
但し、私はパフォーマンスの低下防止のため、Aeroは使わないようにしていますので、「Windows 10」でも、サムネイル表示により、パフォーマンスが低下するのであれば、当然、使わないと思います。
また、「Windows 10」には、マルチデスクトップ機能が標準装備されたようで、仮想デスクトップで使用している画面に関しても、上記「Task View機能」により、サムネイル画像を表示し、画面を切り替えることができるようです。
一般の方は、余り仮想デスクトップはお使いにならないと思いますが、私どもの様なソフトウェア開発会社では、複数環境でシステムの試験を行う様なケースでは、仮想デスクトップは良く使う機能です。
確かに、仮想デスクトップを使っていると、画面の切り替えは不便ですので、この機能があれば、少しは開発作業がし易くなります。
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■ 画面分割機能
この機能も・・・「Windows 8.1」から標準装備されている機能ですが、何故かマスコミ各紙は、【新機能】として取り上げています。
しかも、この機能を「SNAP機能」と呼んでいます。
「SNAP機能」は、「Windows 8」で提供された新機能で、当時は、2画面までしか分割できませんでした。
それが、「Windows 8.1」になり、最大4画面に分割できるようになったのですが、この時点で「SNAP機能」は廃止されたはずです。
そもそも「SNAP機能」とは、画面分割を主従関係で実現していた機能です。つまり、分割した画面の内、どちらかがメインとなり、もう片方がサブになる、と言う関係です。
今回、と言うか、「Windows 8.1」から提供された機能では、主従関係がなくなり、どの画面も「対等」の関係になったはずですから、以前使っていた「SNAP機能」とは、【似て非なるもの】だと思います。
今回、「Windows 10」で提供された画面分割機能には、画面を四隅に移動させると、自動的に、画面の大きさを調整して1/4にする機能が付いていますので、これは確かに【新機能】だと思います。
まあ、他の画面の情報を見ながら、別の画面の操作やデータ入力を行う場合は、便利な機能だと思います。
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■ Continuum機能
この機能は、デスクトップPC、および一部ノートPCには、全然意味が無い【新機能】です。この機能は、PCモードとタブレットモードを自動的に切り替えてくれる機能です。
つまり、タブレットPCに、キーボードを繋いでいれば「PCモード」、キーボードを外せば「タブレットモード」になる機能です。
タブレットPCには嬉しい機能ですが、デスクトップPCには意味がありません。
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■ その他機能
●ストアプリをデスクトップで稼働することが出来るようになった。
「Windows 8x」では、ストアアプリは、メトロ画面でしか使用できませんでしたが、「Windows 10」では、デスクトップ画面でもストアアプリを使うことができるようになったようです。
しかし・・・現時点では、Windowsストアアプリには、まともに使えるソフトウェアが存在しないので、ストアアプリがデスクトップで使えるからと言っても、これも余り意味が無いと思います。
但し、今後、デスクトップでストアアプリが使えるようになれば、メーカーやソフトハウスも、魅力的なストアアプリを提供するようになると思いますので、将来に期待したいところです。
弊社も、ストアプリの開発機会があれば、是非、開発したいと思います。
ちなみに、ストアアプリは、デスクトップアプリとは異なり、サイズを自由に変更できないみたいです。
●チャーム表示変更
「Windows 8x」で不評だった「チャーム」が、「PCモード」では、ようやく表示されなくなったようです。
あの「チャーム」は、指でもマウスでも、なかなか表示できないので、もう、表示しようとするだけでイライラしていましたが、消えてくれてホッとしました。
「チャーム」好きな人は、シートカット・キーを使う事で表示できるようです。
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■その他雑感
●スタートメニューからコントロールパネルが消えてしまったようです。しかし、完全に消えた訳ではなく、「PC Setting」の中に吸収されてしまったようです。
●音声アシスタント機能「Cortana」は、現在は、まだ未提供のようです。
●タスクバーにある検索ボタンによる検索機能は、まだ完全にModern UIの検索とはリンクしていない。
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以上が、「Windows 10」の「Technical Preview版」の概要になります。
まあ、簡単に言うと、デスクトップモードに、タブレット用のModern UIモードを取り込んだ形が「Windows 10」ということになるかと思います。
つまり、「Windows 8x」は失敗作という事です。これは、Microsoft社の人間以外にとっては、当然の結果だと思います。
「Windows 10」の発売は、前述の通り、2015年の秋から年末に掛けてになると思いますから、Microsoft社は、この3年間を無駄にしてしまった事になります。俗に言う「失われた3年間」という事でしょうか ?
現在でも、「Windows 8x」は、ほとんど売れていませんが、今回、「Windows 10」を発表した事で、「Windows 8x」は、この先1年間は、全く売れなくなると思います。
そうなると、Microsoft社としては、次のような手段を取ることになると思われます。
・「Windows 8x」に、無償アップグレード権を付ける
・「Windows 7」のユーザーには、期間限定で「Windows 10」への切り替えを促す特別キャンペーンを実施する
また、現在は、上述のように「Technical Preview版」ですから、次の「Customer Preview版」が出るまでに、機能の見直しが行われると思います。
このため、フェードバックをMicrosoft社へ積極的に送り、「Windows 10」を、より使いやすいOSにしてもらうように働きかけた方が良いと思います。
Microsoft社でも、フィードバックを送ってもらうための専用のアプリを用意しているようですので、皆さんも、どんどん意見を言って下さい。
ちなみに、フィードバックを送るための方法に関しては、下記URLに説明が記載されています。日本語でも大丈夫のようです。
★フィードバック方法:http://blogs.msdn.com/b/jpwin/archive/2014/10/01/windows-10-technical-preview-feedback.aspx
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それと、最後に、Microsoft社が、平成26年10月1日に、都内で「New Office Press Briefing」と題する記者会見開催したようですので、新しいOfficeについても、少し紹介したいと思います。
何と、この記者会見には、Microsoft社の新社長「Satya Nadella(サティア・ナデラ)」氏も、初来日してプレゼンテーションを行ったようです。(全然知りませんでしたし、ニュースでも、余り取り上げられていないようです)
但し、たった10分程度しか話さなかったので、プレゼンと言うよりは、単なる挨拶だけみたいだったようです。一体、何が目的で日本に来たのでしょうか ? 故郷のインドに変える途中で立ち寄っただけまもしれません。
それで、「新しいOffice」と言う事で、去年(2013年)の2月に「Office2013」を発売したばかりで、またOfficeを変えるのか !? と思ったのですが・・・Microsoft社には、別の意図があったようです。
現在のOfficeは、パッケージ・ソフトウェアとして、一度購入すれば、サポート期限はありますし、PCを最新機種に変更すれば動かない可能性もありますが、該当バージョンのOfficeに関しては、ほぼ永久に使い続けることができます。
PCを新規購入しても、同封されてくるCDやライセンスコードにより、別のPCにもインストールして使用することができます。
しかし、Microsoft社は、この販売方法を見直して、「Subscription(サブストリクション)方式」に変更する、と言う事らしいです。
「Subscription(サブストリクション)方式」と言うのは何 ? と思う方も居ると思いますが、簡単に言うと、「使用期限付きのサービス」と言うことになります。
通常、私どものようなソフトウェア開発会社は、Microsoft社との間で、「MSDN(Microsoft Developer Network)」と言う年間契約を締結し、契約期間内は、無制限で、Microsoft社製のソフトウェア(OSやOffice等)を使用できるようにしていますが、このような契約方式を、「Subscription」契約と呼んでいます。(結構高額な料金ですが)
そこで肝心の使用期限ですが・・・・PCが壊れるまで、との事です。
今後(2014年10月17日以降)は、プリインストール版のOfficeの場合、つまりOfficeが最初からPCにインストールされている場合は、該当PCが壊れるまではOfficeを使い続けることができ、かつOfficeがバージョンアップした場合でも、買い換えることなく、最新版のOfficeを使うことができるようになる、との事です。
さらに、このプリインストール版のOffice(今後は「Office Premium」と言われるらしいですが)に関しては、1年間の「Office 365」サービスが無償で付いているようで、次のサービスを、1年間使うことができるようです。
●OneDrive(旧SkyDrive)のオンライン・ストレージ1TB(テラバイト)
●マルチデバイスでのOffice製品(iPhone/Androidスマートフォン/iPad) の利用
●Skype月間60分無料通話
●無償サポート「アンサーデスク」
これだけ見れば、結構魅力的な「Office Premium」ですが、次のような注意点があります。
●「Office Premium」は、2014年10月17日以降に提供されるサービスですが、購入したPCにプリインストールされているOfficeが、「Office Premium」サービス対象のOfficeではない可能性もある。(要は在庫品)
●購入したPCを他人に譲渡すれば、ライセンスを失う事になる
●従来は、プリインストール版Officeには、該当PCを含めて2ライセンス付加されていたが、「Office Premium」サービスでは、1ライセンスのみとなる(つまり該当PCのみで利用可能)
●PCにプリインストールされている「Office Premium」サービスには、PCの種類により、次の3種類が存在する
・Office Personal Premium :Word/Excel/Outlook
・Office Home & Business Premium :Word/Excel/Outlook/PowerPoint/OneNote
・Office Professional Premium :Word/Excel/Outlook/PowerPoint/OneNote/Access/Publisher
また、現時点では、新バージョンのOffice、つまりOffice2014とかOffice2015とか、次期Officeの発売時期は未定なので、どのような提供方法になるのか解りませんが、Officeが、勝手に、新バージョンに切り替わる可能性もあります。
つまり、朝、PCを起動してExcel2013を使っていたら、夜には、知らない間にExcel2015になっていた、と言う様な現象が起こるかもしれない、と言う事です。
まさかMicrosoft社も、そこまで「傍若無人」振りを発揮するとは思いませんが、「Windows Update」経由での提供だった場合、本人が知らない間に、勝手に切り替わる可能性もあります。
Officeは、これまでにも、利便性の向上と言う口実で、どんどんインターフェスを勝手に変更してきましたから、「Windows Update」経由で、勝手にバージョンアップを実施されたら、堪ったものではありません。
また、マクロや専用プログラムを使っているビジネスマンにとっては、迷惑この上ない話です。
Officeは、バージョンアップするたびに、バージョン間の非互換を増やして来ましたから、上記の様に、勝手にバージョンアップを実施されると、マクロや専用プログラムが、急に動かなくなる可能性が高いと思います。
「Office Premium」サービスを提供する場合、このような点を十分に考慮して欲しいものです。
また、永続的に使える「Office Premium」とは別に、1年間限定で使える「Office 365 Solo」というサービスも提供を開始したそうです。
さらに、従来通りのパッケージ版のOfficeも、当面の間は販売を続けると言うことらしいで、Officeの購入は、とてつもなく面倒な事になりました。
どうしてMicrosoft社は、一般ユーザーの事を考えないのでしょうか ?
Officeに関しては、平成26年10月23日に、「Microsoft Conference 2014」を見てきましたので、このイベントの報告と一緒に、本ブログでも紹介したいと思います。
今回もご精読、ありがとうございました。
以上
【画像/動画・情報提供先】
・Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
・クラウドWatch(http://cloud.watch.impress.co.jp/)
・Net Applications(http://www.netapplications.com/)
・日本マイクロソフト(http://www.microsoft.com/)
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