東北の夏を熱くする - 「北上・みちのく芸能まつり」


今回は、前回のブログとは打って変わり、8月の第1金曜日からの3日間に渡り開催され、東北の短い夏を盛り上げる【北上・みちのく芸能まつり】をご紹介したいと思います。

岩手の夏の風物詩と言えば「盛岡・さんさ踊り」が有名ですが、この話題は、本ブログで何度も取り上げたので、今回は、盛岡ではなく、北上市の話題を取り上げたいと思います。
さんさ踊り過去ブログ:http://msystm.co.jp/blog/20110802.html

北上市は、岩手県の南西部に位置しており、人口10万人弱、盛岡、一関、奥州、花巻に次いで、5番目に人口が多い市となっています。

北上市は、人口の減少が深刻な地方都市にあっても、早くから企業誘致に力を注いできた甲斐があり、現在では、東北有数の工業都市となり人口も増加しています。


一方、北上市の観光スポットとしては、花見の名所として全国的にも有名な【展勝地】がありますし、故人になってしまいましたが、作詞家【サトウハチロー記念館】、秘湯と呼ばれている【夏油(げとう)温泉】等があります。

【展勝地】の説明は、以前、盛岡市近郊にある【花見の名所】として説明しましたので、そちらをご覧下さい。

★盛岡近郊の花見の名所について:http://msystm.co.jp/blog/20120330.html

何故、東京都出身の【サトウハチロー】氏の記念館が北上市にあるのか? については、後述するサトウハチロー記念館のホームページをご覧下さい。


秘湯と言われる【夏油温泉】ですが、これは単に交通の不便さが理由で「秘湯」と呼ばれているだけのように思えますが、残念ながら、まさにその通りです。

しかし、江戸時代の寛永年間(1624〜1643)に、京都で発行された【全国湯番付】に、東の大関として記載されている名湯でもあります。

北上市へのアクセスは、東北新幹線の「北上駅」が一番便利です。残念ながら「はやぶさ」は停車しませんし、「はやて」も一部しか停車しませんが、東京駅からの最速で約2時間40分で着きます。

車ですと、東北自動車道「北上江釣子(えづりこ)IC」から北上駅周辺まで約4km、「北上金ヶ崎(かねがさき)IC」だと約8kmとなります。ちなみに、埼玉県の「川口JCT」から「北上江釣子IC」まで約470kmもありますが・・・

それでは、【北上・みちのく芸能まつり】の紹介に入りたいと思いますので、今回も宜しくお願いします。

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■【北上・みちのく芸能まつり】の概要

最初に、まつりの概要について説明します。

北上市は、民俗芸能の宝庫と言われ、伝承活動をしている民俗芸能団体数は日本有数です。「北上・みちのく芸能まつり」では、街のあちこちで100を越える団体が民俗芸能を披露 します。

最も人気のある「鬼剣舞(おにけんばい)」は、いかめしい鬼のような面をつけた踊り手が勇壮に舞うもので、北上地方に 1,300年前より伝わると言われる民俗芸能です。まつりの2日目、北上駅前のまつり広場で「鬼剣舞大群舞」が 行われ、かがり火の前で200人の踊り手がいっせいに舞う光景は、一層激しく荘厳さを増し圧巻です。

まつりのフィナーレを飾るのは、北上川の河畔で開催される「花火大会」と「灯篭流し」になります。打ち上げられる趣向を凝らした 花火と、北上川いっぱいに浮かぶ灯篭の風景は見ている人々の感動を呼びます。

開催期間 平成25年8月2日(金)〜8月4日(日)
イベント 鬼剣舞鹿踊り、神楽等、100を超える団体が民族芸能を披露、トロッコ流し、花火大会
開催場所 お祭り広場、北上駅前、極楽寺、岩崎城跡、諏訪神社、鬼の館、等、とにかく町中で開催
開催時間 8/2は17:30〜20:30、8/3は9:00〜20:30、8/4は10:00〜20:45
料金 芸能公演入場券は小学生以上1,000円(前売)/1,500円(当日)、花火升席は8,000円(前売)/9,000円(当日)

次は、まつりで行われる各種イベントをご紹介したいと思います。

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鬼剣舞


鬼剣舞】は、元々は「念仏踊り」の一種なのですが、鬼のような面を付けて、荒々しく、かつ勇壮に踊ることから、明治以降【鬼剣舞】と呼ばれるようになったそうです。

この【鬼剣舞】は、岩手県内はもちろのこと、全国的にも人気のある郷土芸能になります。

しかし、この【鬼剣舞】、非常に奥が深いようです。

鬼剣舞】の起源は、飛鳥時代の大宝年間(701〜704年)に、修験道の祖である「役の行者・小角(おずぬ)」が、念仏を広めるために、念仏を唱えながら踊ったのが始まりという説や、平安時代の大同年間(806〜810年)に、羽黒山の法印である「善行院」が、羽黒山にある荒沢の「鬼渡大明神」で、悪霊退散、および衆生済度の念仏踊りとして伝えられたのが始まりとも伝えられています。

そして、前述の「鬼のような」と言う表現が重要で、このお面、本当は「仏様」なのだそうです!! どう見ても【鬼】にしか見えないのですが、このお面は「仏様の化身」を現しています。

私も、このブログのために、【鬼剣舞】を調べて初めて知ったのですが、ビックリです!! まさか仏様とは・・・

【鬼】なら角がありますが、確かに、このお面には【角】はありません。言われて初めて気が付きました。

また【鬼剣舞】の流派(「踊り組」と言うらしいです)は、20個以上あるそうです。

流派の起源は、上述の通り「南下幅念仏剣舞(みなみ-した-はば-ねんぶつ-けんばい)」と言う念仏踊りなのですが、そこから【岩崎鬼剣舞】と言う宗家が誕生し、以降、この【岩崎鬼剣舞】の指導の下、北上市近郊の各地域に、それぞれの「踊り組」が誕生していったそうです。

さらに、【鬼剣舞】には、踊り組により多少の違いはありますが、政府からの命令や、踊り方が伝承されなかった等の理由により中止された演目もありますが、全部で20種類もの演目があるそうです。

ところで、この【鬼剣舞】、踊り手のお面の色が、それぞれ異なっていることにお気付きでしょうか ?

お面の色は、白、青(緑)、赤、黒、黄の五色存在し、この色は、陰陽五行説による四季、および方位を表すと共に、五大明王を表しているそうです。

青面(緑面) 降三世(ごうざんぜ)明王
赤面 軍荼利(ぐんだり)明王
白面 西 大威徳(だいいとく)明王
黒面 金剛夜叉(こんごうやしゃ)明王
黄面 - - 不動(ふどう)明王/活方(カッカタ) 道化面

五大明王密教において中心的な役割を担う5名の明王

踊りは、リーダー1名は白面を着用し、他の7名のメンバー(青面/黒面/赤面)は、「阿(あ)形」と「吽(うん)形」のお面を付けた、踊り手8名を基本構成とし、さらに、道化役となる黄面と、晴衣(晴れ着)を着た少年、もしくは少女の胴取り(胴元)で構成されるらしいです。


また、胸当ての模様は家紋で、青和源氏の血筋を引く「和賀氏」の家紋で、『 丸に笹竜胆(ささ-りんどう) 』と言う家紋になります。

これは、『 南北朝時代の延文5年(1360年)に岩崎城主・岩崎弥十郎が、君主の和賀政義を招いて城内で剣舞を踊らせたところ、大いに賞賛され、それより和賀家の家紋であった「笹竜胆」の使用が許された。 』と言う由来によるそうです。

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鹿踊(ししおどり)

岩手県内には、2種類の【鹿踊】が存在するようです。その違いは、江戸時代の伊達氏領に伝わる踊りと南部氏領に伝わる踊りの違いとして現れます。

伊達氏領の方は、踊り手自らが演奏を行う「太鼓踊系」で、踊り手が演奏を行わない「幕踊系」が南部氏領の踊り方なのだそうです。


右の画像は、伊達氏系の【鹿踊】です。伊達氏系の【鹿踊】は、踊り手が、自らの腹に付けた締太鼓を叩きながら踊ります。

この「太鼓踊系」にも3つの流派があり、「行山流(ぎょうざん)」、「金津流(かなつ)」、「春日流(かすが)」の3つに分類されています。

この流派は、最も古い「行山流」から、「金津流」、「春日流」の2つに分派し、かつ「行山流」も、さらに複数の諸派に分かれたそうです。

この内、「春日流」は、岩手県花巻市東和が発祥の地とされており、岩手県内でも、花巻市を中心に、【鹿踊】が盛んな地域となっています。


一方、左の画像が南部氏系の【鹿踊】となります。南部氏系の【鹿踊】は、踊り手は、鹿頭から垂らした布幕を両手に持って踊り、踊り手とは別に祭囃子の演奏者がいます。

南部氏領の「幕踊系」の「鹿踊」は、別名「獅子踊」、あるいは「鹿子踊」とも呼ばれており、岩手県遠野市を南限とし、主に県北地域で多く踊られています。

この【鹿踊】の由来は、それぞれの地域によって微妙に違いますが、次の3種類の説の何れかとなっています。
・狩人が誤って殺してしまった鹿の【供養説】
・山の鹿の真似をした【遊戯模倣説】
春日大社と結びついた【奉納説】

しかし、どの説が有力なのかは、以前不明のままです。

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■神楽

日本全国に存在する【神楽】ですが、岩手県内には、422個の神楽団体が存在し、主に次の6種類の【神楽】が存在していることが判明しています。(平成7年岩手県の調査による)

山伏(やまぶし)神楽 山伏の修験道により伝えられたもの
大乗(だいじょう)神楽 山伏神楽の流れを組み、農民の間に広まったもの
社風(みやぶり)神楽 神道神職により伝わったもの
南部(なんぶ)神楽 セリフ神楽とも呼ばれ、旧伊達氏領の農民の間で生まれたもの
江戸舞(えどまい)神楽 江戸里神楽から派生し、神道とは関係なく、町民芸として伝わったもの
太(だい)神楽 伊勢神宮熱田神宮から伝わったもの

また、422個の団体の内、実に、山伏が組織した山伏神楽の数が171団体と、群を抜いていることが解ったそうです。

そして、【北上・みちのく芸能まつり】では、次の様な神楽、およびその他神楽の舞が行われる予定になっています。

早池峰(はやちね)神楽 花巻市 山伏神楽 早池峰神楽は、大償(おおつぐない)と岳(たけ)の2つの神楽座の総称で平成21年(2009年)に、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。
鵜鳥(うのとり)神楽 普代村 山伏神楽 正月から2ヶ月以上かけて沿岸各地を巡業し舞を披露します。平成7年には宮古市の黒森神楽とともに「陸中沿岸地方の廻り神楽」として「記録作成等の措置を講ずべき無形民族文化財」に選択されています。
村崎野(むらさきの)大乗神楽 北上市 大乗神楽 元禄2年(1689年)に天照御祖神社を建立した妙法院が始めた「和賀山伏神楽」が始まりと伝えられています。その後に大乗仏教をもとにした加持祈祷神楽であることから改編し「大乗神楽」と改称しています。
布佐(ふさ)神楽 一関市 南部神楽 文久3年(1863年)に隣村から伝授しされたのを創始とし、石蔵山に鎮座する熊野神社(旧布佐村村社)、および伊吹神社(旧門崎村村社)の例祭には欠かさず神楽を奉納し、地域の繁栄、五穀豊穣を祈願してきた。
篠木(しのぎ)神楽 滝沢村 社風神楽 坂上田村麻呂を祀る田村神社の奉納神楽であり、神職である社家の齋藤家が代々担ってきた神楽。社風神楽として盛岡藩によって保護されてきた。社風神楽でありながら山伏神楽の要素を色濃く残している。
黒森(くろもり)神楽 宮古市 山伏神楽 宮古市にある黒森神社の別当が主宰し、黒森山を行場とする修験山伏の集団によって伝承。黒森神社の権現様(獅子頭)を奉じており、最古の記年銘は文明17年(1485年)であることから、発祥は室町時代中頃と考えられている。
和賀大乗神楽 北上市 大乗神楽 山伏法印神楽の一種で、修験の祈祷色の濃い神楽。口伝では約600年前、竜頭山馬峯寺を開基した貴徳院円光法印が創始したものといい、貴徳院法印神楽とも呼ばれる。本地垂迹説を基とした神仏混淆で、修験的色彩の強い神楽である。
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■【トロッコ流し】と【花火大会】


【トロッコ】と言うと、鉱山でよく使われている、石炭などの運搬するための簡易貨車や、トロッコ電車のことを思い浮かべる人が多いと思います。

イメージとして強烈なのは、映画「インディージョーンズ/魔宮の伝説」のトロッコによるジェットコースターのシーンがあると思います。


しかし、北上市では、何故か【灯篭流し】のことを【トロッコ流し】と表現しているようです。

何故【灯篭流し】を【トロッコ流し】と呼ぶかについては、調査不足のため解りませんでした。

しかし、私の推測では、【灯篭(とうろう)】が、地元の表現で、【とうろうっこ】と訛り、それが時代を経て【トロッコ】になったのではないかと推測しています。

盛岡を含む岩手県内では、物に愛着を込めて「〜ッコ」と呼ぶ方言が数多く存在します。

チャグチャグ馬コ
・わんこそば
・舟っこ流し

特に最後の「舟っこ流し」ですが、これは盛岡市に古くから伝わる【灯篭流し】なのですが、船の形をした灯篭を川に流すお盆の行事です。
★「盛岡舟っこ流し」について:http://msystm.co.jp/blog/20110903.html

何となく、【トロッコ】と【フネッコ】、似ていますよね ?

なにせ、この行事は、江戸時代から続く360年の歴史ある行事とのことですから、時代と共に呼び方が変わってもおかしくないと思います。

ちなみに、流す灯篭の数は、後述する花火大会の花火の打ち上げ数と同じ数になっているそうです。


それと、まつりのフィナーレを飾る【花火大会】ですが、これは、岩手県内で開催される花火大会としては、【盛岡花火の祭典】と同規模、1万発の花火を打ち上げる、かなり大きな花火大会となります。

また、【盛岡花火の祭典】とは異なり、毎年異なるテーマを設定し、そのテーマに沿った花火、音楽、ナレーションの総合演出を行う花火大会となっているのが特徴です。

ちなみに、この演出は、音楽と花火を融合した【フルシンクロ創造花火(??)】と呼ばれているそうです。

この花火をけなす訳ではありませんが、【フルシンクロ創造花火】とは、何の事は無い、バッグで音楽を流しながら、花火を打ち上げる事の様です。

まあ、単純に音楽を流しながら花火を打ち上げるだけでなく、裏ではコンピューターで音楽と花火をシンクロ(同期)させていると思うので、仕掛け的には大掛かりなものだと思います。

過去には、バッグの音楽で、あの名曲(?)「ゲゲゲの鬼太郎」を流しながらのシンクロ花火があったようです(笑)

このイベントを、Webで検索すると、「シンクロ花火は芸術的」と言う表現が沢山現れますが・・・「ゲゲゲの鬼太郎」が芸術的ですかね?? しかし、子供には受けると思います。

私は古風な人間なので、音楽は不要で、花火だけを打ち上げた方が、夏としての趣がある様な気がするのですが・・・まあ人それぞれですよね。

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このような【北上・みちのく芸能まつり】ですが、北上市近郊では、夏の一大イベントですので、是非、8月に北上市を訪れた際には、まつりを見物して下さい。

それでは次回も宜しくお願い致します。

以上

【画像/動画・情報提供先】
・公益財団法人岩手県観光協会(http://www.iwatetabi.jp/)
・社団法人北上観光コンベンション協会(http://www.kitakami.org/maturi/)
サトウハチロー記念館(http://www.city.kitakami.iwate.jp/sub03/shisetsu/shisetsu05/page_1281.html)
・お面工房(http://www.nisiwaga.net/azuma/omen.htm)
・いわての文化情報大事典 (http://www.bunka.pref.iwate.jp/)
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AC%BC%E5%89%A3%E8%88%9E)

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