夏を涼しく! -【龍泉洞】および岩手県内の鍾乳洞


今回の盛岡・岩手情報は、夏にふさわしい【鍾乳洞】の話題をお送ります。

岩手県は、実は、「知る人ぞ知る」鍾乳洞の宝庫で、岡山県沖縄県に次ぎ、3番目に多い10個もの鍾乳洞が存在しています。


岩手県の鍾乳洞と言えば【龍泉洞】は有名ですよね。【龍泉洞】そのものより、【龍泉洞の水】の方が有名かもしれませんが・・・

龍泉洞の水】に関しては、後で詳しく説明しますが、【龍泉洞】は、山口県の【秋芳洞】、高知県の【龍河洞(りゅうがどう)】と共に【日本三大鍾乳洞】に数えられ、国の天然記念物にも指定されています。

龍泉洞】は、盛岡から車で約2時間弱、岩手県の北東部に位置している「岩泉町」にあります。

「岩泉町」は、「町」と言いながらも、その広さは広大で、東京23区と横浜市をあわせた「992.92km2 (東西51km、南北41km)」もの広さがあり、本州一広い町ですが、その93%は森林が占めています。

ところがどっこい、森林率93%を逆手に取り、2010年には「酸素日本一の町」宣言を行っているところが楽しいやら、悲しいやら・・・

人口は、約1万人ですから、恐らく牛や豚や鶏、それに熊の数の方が、人間よりも多いのではないかと思われます。周囲が山に囲まれている環境なので、「まつたけ」の産地としても有名(確か全国3位?)で、小学校の給食にマツタケが出ているそうです。

ちなみに、町の木は、「マツタケ」の生産林でもある「アカマツ」です。それでは【龍泉洞】をご紹介します。

龍泉洞

龍泉洞】の内部構造は、下図のようになっています。

上図に「想定図」と掲載されています通り、【龍泉洞】の全容は未だに解明されておらず、観光用に開発されているのが1,200m、調査が行われたのが3,600m付近までで、実際の奥行は5,000m(5km)とも10,000m(10km)とも言われています。

「岩泉町」にある【NPO法人 日本洞穴探検協会】によりますと、日本の洞窟の最延長ランキング1位は、同じく「岩泉町」に存在している【安家洞】で、総延長23,700m(23.7km)だそうです。

龍泉洞】の調査は、昭和中頃まで行われていたのですが、昭和37年(1962年)に、洞窟探検家が潜水事故を起こしてから行われていないそうです。


現在では、観光用に階段や通路はきれいに整備されていますが、その昔は、洞窟内の川の上に、木の橋を架けただけの設備しか備わっていなかったので、本当は危険な場所なのです。

この写真の階段も、今はとても上りやすい階段になっていますが、私が高校生の頃に遊びに行った時は、建築現場の鉄パイプを組み合わせた様な物でした。



また、その昔、私の父が市役所に勤務していた時に、【龍泉洞】の調査に同行したことがあったそうですが、その時には、入り口からボートで中に進んで行ったそうです。

そして、運悪く、大雨で内部の川が増水し、ボートが流されてしまい、胸まで水につかり助けを待ったことがあったそうです。

このような【龍泉洞】ですが、夏は、本当気持ちが良い、と言うか寒いくらいです。

上の写真が【龍泉洞】の入り口ですが、入り口の前に立っただけで、中から冷気が流れて来ます。夏でも、中に入る際には、上着を着用した方が良いと思いますし、できれば帽子を被った方が良いと思います。

所によっては、鍾乳石の下をくぐる箇所がありますので、頭を保護するためと、上から水がしたたり落ちて来ますので、水除けのためにも帽子はあった方が良いかもです。

また、女性の方は、上の階段の写真を見てお解りの通り、ミニスカート等の着用は避けた方が無難です(笑)

龍泉洞】に入ってすぐの辺りは、入り口の写真からの想像できますように、川の上に設置した通路の上を進むことになります。入り口から暫くは、川の流れが急なので、水の音も結構凄いです。


暫く進むと、ようやく地面に辿り着きますが、昔は「裸電球」とか「蛍光灯」の明かりのみだったのですが、近頃ではLEDも導入され、左の写真の様な幻想的な景色を見ることができるようです。


しかし、何と言っても【龍泉洞】と言えば【地底湖】ですよね! 【地底湖】の水は、昭和60年(1985年)に、【龍泉洞地底湖の水】として、【名水百選】に選定されています。


現在判明しているだけで、7か所の地底湖の存在を確認していますが、その内、一般公開されているのは3か所だけになります。

公開されている【地底湖】の内、一番有名なのが【第三地底湖】です。この【第三地底湖】は、水深98mで、透明度は41.5m! 世界有数(一説では世界一)の透明度を誇っています。上から湖底まで見る事ができます。

また、この「青さ」を称して【ドラゴンブルー】と呼んでいるみたいです。

この「青さ」と「透明度」の秘密は、地下深くに潜り込んだ沢の水が、良質の腐植土によって濾過された後、地底湖で湧出するためと言われています。

ちなみに、未公開の「第四地底湖」は、透明度は不明ですが、水深120mもあるそうです。

ここで【龍泉洞の水】の話ですが、【龍泉洞の水】は、地中の石灰質を多く溶かし込んでいるので、味がしっかりとした物となっているそうです。

このため、ベルギーの首都ブリュッセルに本部を置き、世界中から優れた製品を発掘・顕彰することを目的としてベルギー王国に認定された世界的な酒類・食品類のコンテストの【モンドセレクション】にて、1999年から2001年の3年連続で金賞以上を受賞したミネラルウォーターだそうです。

その他、洞窟内には、下記の様な様々な【コウモリ】が生息しており、この【コウモリ】共々、昭和13年(1938年)に【岩泉湧窟及びコウモリ】名義で天然記念物になっています。




【存在が確認されているコウモリ】

私も、これまでに4〜5回は【龍泉洞】に行っていますが、残念ながら【コウモリ】にお目にかかったことはありません。

しかし!! 今回のブログのために情報を収集した「龍泉洞ブログ」様によると、この写真の様に、確かに【コウモリ】さん達は、洞窟内にいらっしゃるらしいです。運が良ければ(?)、【コウモリ】さん達とツーショットもできるそうです。

最後に、Youtubeに投稿されていた【龍泉洞】の動画を紹介したいと思います。水の音が凄いので、ボリュームに注意して下さい。(※riki shiozawa様の作品です/5:28)


岩手県内には、龍泉洞の他にも、下記の様な9個もの鍾乳洞が存在しています。その中から、何個か紹介したいと思います。(※閉鎖中の鍾乳洞は東日本大震災の影響で現在も閉鎖中らしいです)

久慈市:内間木洞
岩泉町:龍泉新洞、安家洞、氷渡探検洞(閉鎖中)
紫波町:船久保洞窟
一関市:幽玄洞、東山観音窟
住田町:滝観洞、白蓮洞(閉鎖中)

- 龍泉洞案内情報 -

住所 〒027−0501 岩手県下閉伊郡岩泉町岩泉字神成1番地1
アクセス 車:盛岡から国道455号線で約2時間弱
バス:JRバス早坂光源線、盛岡駅から龍泉洞前まで2時間12分(2,590円)
電車:JR岩泉線は現在運休中/代行バスあり(平成22年7月発生の土砂崩れのため)
駐車場 町営駐車場(無料)
営業時間 年中無休、5〜9月:8:30〜18:00 / 10〜4月:8:30〜17:00
観覧料 高校生以上1,000円 / 小中学生500円(※龍泉洞・龍泉新洞の両方閲覧可能)
問合せ先 龍泉洞事務所(TEL: 0194−22−2566)

■龍泉新洞


昭和42年(1967年)、龍泉洞の整備工事を行っていたところ、龍泉洞入口の向かい側に、新たな洞窟が発生され、【龍泉新洞(りゅうせんしんどう)】と命名されました。

【龍泉新洞】からは、多数の土器や石器が発見されたので、現在では、展示施設として利用されています。





【龍泉新洞】は、調査結果によると、龍泉洞下流部分にあたるとされていますが、実際の水中調査は行われていないようです。

現在判明しているのは、龍泉洞の流れが、再度、地中に潜り込み、目の前を流れる「清水川」のさらに下を流れて、【龍泉新洞】の泉として湧き上がっている、と言う点だそうです。

何とも不思議な事です。


■安家洞


【安家洞】は、前述の様に、日本一長い鍾乳洞です(総延長23,700m:23.7km)。しかし、上図の様に、一般公開されているのは、入り口から700mまでとなっています。


入り口は一か所だけなのですが、その奥は、複雑に入り組んでおり、実際には、現在判明している以上にもっと奥があるとのことです。

龍泉洞ほど整備されていないので、中に入る際は、注意が必要です。このため、照明付きヘルメットが貸与されています(笑)





また【安家洞】では、先述の【NPO法人 日本洞穴探検協会】が、『地底探検 洞穴・洞窟体験ツアー』を開催しているらしいです。

コースは、スタンダードとチャレンジの2コースが用意されており、スタンダードは日帰り、チェレンジは1泊2日のコースになっているようです。

どちらのコース概要にも、『ほふく前進があります』と書かれている所が笑えます。体験ツアーの詳細については、後述する日本洞穴探検協会のホームページをご覧下さい。

ちなみに、【安家洞】は、以前は個人の所有物らしかったのですが、現在では、下記問い合わせ先の会社が管理しているようです。

- 安家洞案内情報 -

住所 岩手県下閉伊郡岩泉町大字安家字日陰18
アクセス 車:龍泉洞から19km、約25分
バス:岩泉駅〜安家洞、約45分(片道760円)※土日・祝祭日運休
駐車場 高校生以上900円 / 小中学生500円(ヘルメット付き)
営業時間 期間中無休、4〜11月:9:00〜16:00 / 8月:8:30〜17:30
観覧料 高校生以上900円 / 小中学生500円(ヘルメット付き)
問合せ先 安家洞観光有限会社(TEL: 0194-24-2011)


■内間木洞

【内間木洞(うちまぎどう)】は、岩手県久慈市にある、総延長6,350mで国内5番目の長さを持つ、本州最北の鍾乳洞です。


【内間木洞】は、本州最北にあるので、冬季の【氷筍】が有名ですし、洞窟内に生息する【コウモリ】を含めて、岩手県の天然記念物に指定されています。

しかし・・・この鍾乳洞は、普通の観光鍾乳洞とは異なり、普段は一般公開されない教育・調査目的の【観察洞】と言う鍾乳洞になっています。

【観察洞】? とは何かと言いますと、中学・高校生の学習目的以外での入洞は禁止されており、普段、入り口は鉄製の扉で固く閉ざされています。


にも関わらず、ノラ猫が侵入して、天然記念物の【コウモリ】を食べてしまうと言うアクシデントもあったようですが・・・

と言う事で、一般の方は、毎年7月上旬に開催される【内間木洞まつり】、もしくは毎年2月11日に開催される【内間木洞氷筍観察会】にお越し下さい。


- 内間木洞案内情報 -

住所 岩手県久慈市山形町小国
アクセス 車: 八戸自動車道「九戸IC」〜国道340号〜国道281号〜県道29号経由で約56km/約1時間30分程度
バス: JRバス「白樺号」で久慈駅まで2時間42分(2,790円)、岩手県北バス「久慈こはく号」で久慈駅まで2時間10分(2,200円)、久慈駅から車で約26km、約36分程度
駐車場
営業時間 要問合せ
観覧料 要問合せ
問合せ先 小国自治会(TEL:0194-75-2150)
久慈市社会文化課文化財室(TEL:0194-52-2700)
ふるさと体験学習協会(TEL:0194-52-2111、内線343)


■滝観洞

【滝観洞(ろうかんどう)】は、岩手県の南東部、住田町にある総延長3,635mの鍾乳洞で、その名の通り洞内に滝があり、洞内に存在する滝の落差では、国内3番目となる29mの滝がある鍾乳洞です。

一般公開されているのは、900m弱程度なのですが、最奥部は、高さ60mのドーム状の空洞になっており、そこに上述の落差29mの「天の岩戸の滝」があります。(水しぶきが激しく傘では役に立たないそうです!)

滝壺は、そのまま地底湖になっているそうです。実は、この滝の奥にも、2個の滝(住田の滝/重義の滝)と1個の泉(無限の泉)があるそうですが、まだ公開されていないそうです。

ちなみに、この滝に「天の岩戸の滝」と命名したのは、1958年に、この地を訪れた大正天皇の従妹にあたる女流歌人の【柳原白蓮(やなぎわらびゃくれん)】と言われています。


そして、この【滝観洞】のすぐ近くに、新しい鍾乳洞が発見され、当初は【滝観新洞】と呼ばれていたのですが、その後、正式に【白蓮洞】と名付けられたそうです。(※現在閉鎖中)

一般公開部分は、照明なども整備されているので普段着で大丈夫なのですが、天井部分が低く大変危険なのでヘルメットは必須アイテムらしいです。(※ヘルメット/上着/長靴は無料レンタル)




また、この【滝観洞】では、昭和52年(1977年)に、『祟りじゃ〜』のキャッチコピーで有名な、映画【八つ墓村】のロケが行われたらしいです。

この映画は、横溝正史の原作で、松竹映画史に残る大ヒットになったようですが、【滝観洞】のシーンはクライマックス場面で使われたようです。(※「金田一耕助」役は渥美 清)



- 滝観洞案内情報 -

住所 岩手県気仙郡住田町上有住字土倉298-81
アクセス 車: 東北自動車道「花巻JCT〜東和IC」〜釜石自動車道「宮守IC」〜国道283号「釜石街道」〜仙人峠道路「滝観洞IC」下車、約58km/1時間30分
電車: JR東北新幹線「新花巻」〜JR釜石線上有住駅」下車、徒歩3分
駐車場 有:無料(80台)
営業時間 3/16〜11月上旬:8:30〜16:30 / 11月上旬〜3/15:8:30〜16:00、年末年始休業
観覧料 大人1,000円 / 中学・高校生 700円 / 小学生 500円 (※本来は白蓮洞とセット料金)
レンタル ヘルメット、上着、長靴(全て無料)
問合せ先 滝観洞観光センター(TEL:0192-48-2756)
住田町観光協会(TEL:0192-46-2311)


ここまで、見ごたえがある鍾乳洞を紹介してきましたが、如何でしたか ?!

世界一(?)の透明度を誇る【龍泉洞】の地底湖、日本一の長さを誇る【安家洞】、(残念ながら普段は入洞できませんが)氷筍が綺麗な【内間木洞】、『祟りじゃ〜』で有名な、ではなく日本3位の落差の滝を誇る【滝観洞】。

どの場所も、山奥にあるので、見に行くのは大変なのですが、この夏、涼しさを求めて鍾乳洞観光をお勧めします。

以上

【画像・情報提供先】
・公益財団法人岩手県観光協会(http://www.iwatetabi.jp/)
NPO法人 日本洞穴探検協会(http://www.j-cave.jp/)
龍泉洞ブログ(http://www.town.iwaizumi.iwate.jp/~ryusendo/wordpress/)
龍泉洞ホームページ(http://www.town.iwaizumi.iwate.jp/~ryusendo/)
・岩手の鍾乳洞(http://www.uchinome.jp/iwatecave/syounyuu.html)
YouTube(http://www.youtube.com/watch?v=p3enC1D829E)

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