Microsoftの最新動向ついて

先ごろのニュースで【Windows 8】の発売開始時期を発表したり、四半期決算で上場後初めて赤字となったりと、相変わらず経済面を賑わしているMicrosoftですが、今回は、そのMicrosoftの最新動向についてご紹介したいと思います。

私自身のIT環境に関しては、つい先日、ようやくWindows7/Office2010にバージョン・アップしたばかりなので、Windows8の発売発表を聞いた時には、正直ガックリしてしまいました。

まあ、Windows7が発売されてから既に3年、Office2010が発売されてからは既に2年が経過していますので、仕方がないと言えば仕方がないのですが・・・

さすがに、Windows95を使っている人は見なくなりましたが、未だにWindows XPを使っている方は、かなりいらっしゃいます。XPを使っている方は、サポート期限は2014年4月8日までとなっていますので、そろそろバージョン・アップを検討される時期かもしれません。

それではMicrosoftの最新動向の紹介に参ります。

Windowsについて

Microsoft は、7/4から開催された「World Partner Conference(WPC)」において、次期OS(※1)である【Windows 8】のRTM版を完成版とする旨の発表を行いました。

これにより、【Windows 8】の開発は事実上終了し、法人ライセンスである「SA(※2)」を保持しているユーザーであれば、早ければ8月中にも【Windows 8】を利用できるようになるようです。

そして、7/18には、【Windows 8】をアメリカ等で10/26から発売を開始する旨を発表しました。日本で10/26に発売されるか否かは現在不明ですが、10月末頃からパッケージ・ソフトウェアやPCにプリインストールされた状態で、【Windows 8】を使用できるようになる見込みです。

ちなみに、現在発売されているOSの【Windows 7】は、Microsoft史上最も売れたOSとなっており、企業向けデスクトップパソコンの半数以上が【Windows 7】で、累計販売ライセンス数は、6億3000万件を突破しているそうです。

また、IT用語に詳しくない方にとっては、カスタマープレビュー版 ? RTM版 ? 一体何のこと ? と思っている方もいらっしゃるので、簡単ではありますが、製品発売までの流れを説明します。

Microsoft、特に【Windows8】の場合、次のような流れで製品発売まで、こぎつけています。


●DP版 : Developer Previewの略で、開発者向けのテスト版
●CP版 : Customer Previewの略で、一般利用者向けのテスト版
●RC版 : Release Candidateの略で、リリース候補用のテスト版
●RTM版: Release to Manufacturingの略で、製品出荷直前のテスト版
●製品版: 正式発売用製品


何で、こんな面倒な手続きを踏むの? 最初から製品だけを発売すれば良いんじゃないの? と思う方も多いと思います。

しかし、弊社を含め世の中には、MicrosoftのOSや製品と連携するソフトウェアを作成したり、あるいは日常業務で使用していたりする人が沢山います。

また、ソフトウェアの世界には【非互換】と言う、とても恐ろしい言葉が存在します。

【非互換】とは、バージョン間で互換性が無い(連携が取れない)ことを意味しており、例えば【Windows7】で動いていたソフトウェアが、【Windows8】では動かなくなる事を意味しています。

その状況で、『今日から新製品を発売します!』と、いきなり言われ、今まで使っていたソフトウェアが、バージョン・アップにより急に使えなくなってしまったら、どうなると思いますか。

当然、ソフトウェアを使っている何億人ものユーザーは困ってしまいますし、Microsoft自体も世界中から批判を受けることになります。誰も、もう二度とMicrosoftの製品など購入しなくなるでしょう。

このような事態を回避するために、早くからテスト版をリリースして新製品を使ってもらい、あわよくば製品の感想を聞き出すために、テスト版のリリースを行っているのです。

Windows 8】の新機能に関しては、弊社メルマガの2012/02/27版でも紹介しましたので、今回は、その補足事項を紹介したいと思いますが、実際には、前回ご紹介した機能以外は追加になっていないようです。

Windows8について(2012/02/27):http://msystm.co.jp/blog/20120227.html

Windows To Go】

USBメモリーからWindowsを起動する機能。但し、PC内のストレージにはアクセス不可。あくまでも、USB内の領域にしかアクセスできない模様。企業向けEnterprise版にのみ搭載予定。企業内でのPCの共有化が可能になったり、外出先でも社内と同じ環境で作業が行えるようになったりします。

【その他】

ボタンの配置や大きさ、日本語対応アプリの増加等、見た目と操作性が変わっただけのようです。

と言う事で、新OSの発売を楽しみにしている人も多いかもしれませんが、私どもソフトウェア業界の人間にとてっては、これからが【悪夢】の始まりです。【悪夢】の内容については、最後に説明したいと思います。

※OS:Operating Systemの略。コンピューターの基本処理を制御するソフトウェア
※SA:Software Assuranceの略。ボリューム・ライセンス向けのオプション

■Ofiiceについて

次に、Microsoft Officeに関してですが、現在の最新バージョンは【Office2010】となっていますが、次期バージョンは、当初【Office 15】と言う開発コードで呼ばれていたようですが、正式名は【Office2013】となり、現在カスタマープレビュー版が、日本でも公開されている状況です。

カスタマープレビュー版は、【Windows 7】、および【Windows 8】でのみ利用可能となっています。

また、カスタマープレビュー版に関しては、英語、スペイン語、そして、なんと日本語の3言語のみのリリースとなっているそうです。

参考までに、世界人口に対する使用言語比率は、次のようになっているそうです。

母語話者数

1位:中国語/17%、2位:英語/6%、3位:スペイン語/4%、4位:ヒンディー語/3%・・・9位:日本語/2%

公用語話者数

1位:英語/23%、2位:中国語/17%、3位:ヒンディー語/12%、スペイン語/5%・・・11位:日本語/2%

※引用:『言語学百科事典』(大修館書店1992年)

やはり中国とインドは人口が多いので凄いですね〜と言う話ではなく、中国とインドを差し置いて、日本語のカスタマープレビュー版を準備していることから、Microsoftが、日本のユーザーを重要視しているのが明らかです。

しかし・・・皆さん既にご存じの様に、日本は、GDPでは既に中国に抜かれ世界3位になってしまっていますので、このような状況が、何時まで続くのかは疑問が残ります。

さて実際の【Office2013】の中身についてですが、次期Officeは、やはり【Windows 8】を強烈に意識しており、【Windows 8】を搭載したPCやタブレット端末において、最大限の能力を発揮するように設計されています。

●コンテンツ作成、編集、表示、閲覧へのタッチ操作対応
スタイラスペンを使った手書き入力からテキストへの自動変換(※スタイラスペン:タッチペンのことです)
●(同様に) スタイラスペンを使ってマーカーを引く「インク機能」
●Officeドキュメントの「SkyDrive」連携
●「Skype」連携
SNSサイト「Yammer」連携
●セキュリティを強化した「DLP(データ漏洩防止)」機能   等

これも、機能「てんこ盛り」状態です。ここで、ちょっと目新しい機能を紹介します。Excelに搭載される「フラッシュ・フィル」機能と言うものです。

詳しい説明は割愛させて頂きますが、要は「利用者のパターンを学習・認識し、未入力データを勝手に作成する」機能らしいです。

例:ある列に入力したデータの一部を別の列に分割させたい

手順1. 名前用列を作成し最初のセルに元データの名前部分のみを入力する
手順2. 次に、[データ] タブ – [フラッシュ フィル] をクリックする




B列のB3、およびB4セルに、B2セルと同じパターンの内容が、自動的に作成されるようになります。

う〜ん、これだけ見ると便利な機能のようですが、実際には使えない機能だと思いますが・・・如何ですか。

近頃は、Excel系の仕事が多いので、また非互換が増えると開発が大変になります。


Windows Serverについて

Windows Serverに関しては、どちらかと言うと、情報システム部門関係者や、私どもソフトウェア開発者にとって必要な情報ですので、皆さんにとっては、余り関心が無い項目かもしれません。

ちなみに、現在発売されているWindows Serverの最新バージョンは【Windows Server 2008 R2】となっていますが、次期バージョンは、当初【Windows Server 8】と言う開発コードで呼ばれていたようですが、正式名は【Windows Server 2012】となるそうです。

Windows Server 2012】にも、【Windows 8】に搭載される【Metro UI(ユーザーインターフェイス)】が搭載され、現時点では【RC版】となっており、今月中に【RTM版】をリリースする予定とのことです。

【RTM版】になった時点で、サーバー販売業者も【Windows Server 2012】の搭載を開始しますので、実際に世の中に出回るのは、早くても9月頃になると推測されます。

現在の最新バージョンである【Windows Server 2008 R2】は、2010年5月に販売を開始していますが、それ以前の【Windows Server 2008】は、名前の通り2008年に発売を開始していますので、既に発売から4年が経過しています。

このため、次期バージョンに関しては、新機能が「目白押し」のようです。

●ファイルおよびプロセスへのアクセス・コントロールの強化
●「Hyper-V」の機能強化
●新規ファイル・システム「Resilient File System(ReFS)」の搭載
Windows Azureへのオンライン・バックアップ
クラウド対応
基本的には、クラウド基盤としての活用を想定しており、既にリリース済の【System Center 2012 】と同時に活用することで、今まで導入が進んでいなかった企業業務システムのクラウド化を狙った製品のようです。

以上が、MicrosoftWindows、Office、そしてServerについての最新情報でした。


最後に、最初に述べたソフトウェア開発業者の【悪夢】について説明します。

Microsoftは、先に述べたように初めて赤字決算をしたこともあり、好調なソフトウェア販売で盛り返しを狙っているようですが・・・私どもソフトウェア開発業者は、時々のケースにもよりますが、ソフトウェアを開発する場合、市販されている全バージョンのOSに対応する必要があります。

現在ですと、Windows OSの場合、Windows XPVista・7の3種類のOSに対応しなければなりません。【Windows 7】に関しては、基本的に【Vista】の改良版ですから、特に何も対応する必要はありませんでした。

しかし、【Windows 8】に関しては、【Windows 7】とは全く異なるコンセプトである、【Windows Phone】を基本 に設計されていますので、かなり非互換部分があるのではないかと想像しています。

これが【悪夢】となります。

このように【非互換】が増えると、従来の開発期間に加えて、非互換対応のための調査工数が必要になりますので、その分だけ費用が掛かってしまいます。

増加する工数を、そのままお客様にご負担頂けるのであれば問題ないのですが・・・そこは、このデフレ環境ですので、難しい部分でもあります。

今後は、単純に開発工数を増やすのではなく、何か付加価値を高めることで、工数の増加分を吸収して行こうと考えていますので、今後とも宜しくお願いします。

●弊社サイト:http://msystm.co.jp/