提案書の鉄則について

今日は、「提案書」に書くべき内容について、少し触れてみたいと思います。

ところで皆さん、それぞれ業種は違いますが、お客様に対して「提案書」は書いていますよね ? 
「提案書は書いた事はないけど、社内稟議書は書いているよ !」と言う方、あるいは「企画書なら書いている」と言う方も居ると思います。

企画書、提案書、稟議書、どれも微妙に異なりますが、主な目的は、自分の考えを他人に伝えて納得・了解してもらうことにあります。

この3種類を処理フローにすると、その位置づけが解りやすいと思います。


一般的には、企画書では、自分の考えた企て(思い・考え)の概要を書き、提案書では、その企画を立てた理由(問題点)と改善策、およびスケジュールを書き、その後、必要なら会議で説明して了承を得るか、会議が不要なら稟議書で了承を得ることになると思います。

しかし、ケース、あるいは会社の仕組みによっては、企画書に提案書の中身まで書いてしまうこともありますし、また、稟議書の添付資料に、企画・提案まで書き、そのまま決済を仰ぐケースもあります。

何れにしても、何か新しいイベントを始めるためには、その内容を説明した資料が必要になります。

今回は、「提案書」と言う言葉で、お客様に対して、「新規イベント」の内容、および必要性を説明する場合の要点を、私のこれまでの経験を元に紹介したいと思います。

また、下記の説明では、私の職業柄、「システム開発」を元にした説明となってしまいますが、これを皆さんの業界の言葉に置き換えて頂ければ、そのまま理解してもらえると思います。

まず、私がいつも気を付けている点は、提案書を書く前に、顧客が求めるものは何かを把握することに全力を注いでいます。

システム開発の場合、最終的には、業務の「省力化・効率化」が提案の核となります。

「省力化・効率化」のために掛る工数・費用、およびシステム導入のための初期費用が、競合他社より「どれだけ優れているのか」、またシステム導入後の運用のし易さ、安定性、これら全てを含んだ「費用対効果」の優位性が提案書の中身となります。

しかし、業務の「省力化・効率化」の裏には、何か別の理由が隠れています。単純に、業務を楽に行いたいからシステム開発をする訳ではありません。

例えば、よくある「裏の理由」としては、次のようなケースがあります。

1.社内リストラで多すぎる人材をカットや配置転換するためにシステム開発を行う
2.技術者の退職に伴い、既存システムの運用・保守ができなくなるので新規システムを行う
3.法律・法令が変るので、それに伴い新規システムを開発する
4.他社、あるいはグループ会社の統合に合わせて新規システムを開発する

このように、システム開発の裏には、必ず業務の「省力化・効率化」の理由があります。

故に、システム開発による「業務の省力化・効率化」は当たり前なので、その裏の理由に対するメリットまで提案書に含める必要があります。

例えば、「新規システムを導入すると、開発を含めた初期費用でこれだけ掛りますが、最終的に、人員を何名削減できます。」とか、「新規システムを導入すると、人のスキルに依存せず、誰でも業務を行えるようになります。」とか、「新規システムを導入すると、保守が、これだけ楽になります。」とか・・・

要は、「何でシステムを開発するのか」、その理由を把握し、それを最終的なメリットとして提案しなければ、表面的な提案となってしまい、訴求効果が得られなくなってしまいます。


次に、提案書の目次、記載している内容ですが、これはほとんど全て同じです。

1. システム導入の背景と目的
2.現状の主要な問題点と検討課題
3.実施施策と期待される効果
4.目指すべき情報化のイメージ
5.システム構成と方式の考え方
6.システム導入展開の考え方
7.今後の運用・保守の考え方
8.プロジェクト推進体制
9.システム構築スケジュール
10.開発工数・費用
11.制限事項
12.システムの拡張性

だいたい、以上のような項目に、前述の「裏の理由」に対するメリットを含めた形で、提案書を作成していますが、提案する相手によって、記載する項目の「粒度:密度」を変えています。

相手が役員か、あるいは現場の担当者かによって、記載すべき内容の濃さを変える必要があります。

業務ノウハウはお客様のほうが熟知しています。場合によっては、情報システムについても、お客様の方が詳しいこともあります。

だから、「弊社は、違った視点で見ています」という提案ができているかどうかが問われることになります。

お客様が求めるものに対し、「こうやればもっと効果的です」とか、「こういう視点で考えるべきではないですか」と、進言できることが提案力ではないかと思っています。

私も日々精進しますので、皆さんも、お客様の裏の裏を読み、訴求力の高い提案書を書ける様に、頑張って下さい。

また、何か良い提案書があれば、内緒で私に教えて下さい。