AI(Artificial Intelligence) - その恐怖と現実 その1

新年、明けまして、おめでとうございます。本年も、これまで同様、株式会社エム・システムを宜しくお願い申し上げます。


本ブログでも、皆さんの役に立つIT系情報と、こちらは余り仕事の役には立たないと思いますが、弊社事業所のある「岩手・盛岡」に関する様々な情報を、お伝えして行きたいと思っております。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


本年最初のIT系のお役立ち情報では、「AI(Artificial Intelligence)」に関する話題を取り上げたいと思います。


昨年は、「Deep Learning」を始めとした「AI」に注目が集まり、「AI元年」とも呼ばれたりしました。


弊社も、「AI」に関しては、下記の過去ブログで取り上げて紹介しています。


・Society 5.0って何 ? :「IoT」が進むとビッグデータが出来るので、その解析に「AI」に必要になる
→ 20180310.html
・社内システムのクラウド化 :業務で「AI」を取り入れるとパフォーマンス重視となりクラウドが衰退する
→ 20181110.html


どちらも、これからの起こる事を予測した内容でした。


しかし、世の中、さらに技術革新が進み、ビッグデータアーカイブ向きの「LTFS(Linear Tape File System)」と言う仕組みも汎用化して来たので、不足しがちで高価なストレージを代替する事が出来るようになっています。


この「LTFS」の登場で、僅かな投資でビックデータもアーカイブ出来るようになるので、企業においては、より「IoT」と「AI」が業務に取り入れられるようになる事が予想されます。


「LTFS」とは、消えゆく媒体(メディア)と思われていた「磁気テープ」を、ストレージのように使用する事が出来る仕組みです。


とても画期的な技術なので、時間があれば、また別の機会に紹介したいと思いますが、今回は割愛します。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

このように、現状、「AI」に対しては、明るい未来だけを取り上げる記事が多いのですが、当然、そのマイナス面を取り上げる記事もあります。


・「AI」が職場を奪う
・「AI」は人類の敵となる


特に、「AI」を敵視している人としては、次の3氏が有名です。


Microsoft社の創業者「ビル・ゲイツ(William Henry Bill Gates III)」氏
・テスラのCEO「イーロン・マスク(Elon Reeve Musk)」氏
・天才物理学者「スティーヴン・ホーキング(Stephen William Hawking)」氏


スティーヴン・ホーキング」氏は、全く惜しいことに、昨年故人となってしまったのですが、まだ76歳という年齢でしたので、まだまだ活躍して欲しいとは思っていましたが・・・元々、21歳の時に「ALS(筋委縮性側索硬化症)」を発症し、余命2年と宣言された事を考えれば、ここまで生き延びられたのは、奇跡だったのかもしれません。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

このように賛否両論がある「AI」ですが、今回、次のような内容を紹介したいと思います。


【 第1回目 】
●AIは人類の敵となるのか ?
●AIは職場を奪うのか ?
●AIは何を変えるのか ?


【 第2回目 】
●AIのリスク
●AIの種類
●AIの事例
●AIの将来


今回も、結構ボリュームのある内容になってしまいますので、上記の通り、2回に分けて「AI」の情報を紹介します。(但し、まだ執筆中ですので、場合によっては、3回に分割する可能性もあります。)


まだまだ、成長過程の「AI」ですので、本ブログに記載した内容も、その内、陳腐化してしまう可能性もありますが、取り敢えず、現時点での情報として読んで貰えればと思います。


それでは、今回も宜しくお願いします。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

■AIは、人類の敵となるのか ?


前述の通り、「AI」に危機感を抱いている3名の著名人を紹介しました。


その内、イーロン・マスク氏は、MIT(マサチューセッツ工科大学)で開催されたシンポジウムにおいて、人類が直面する人工知能(AI)のリスクについて警鐘を鳴らし、人工知能の悪用を防ぎ、人類に危害を及ぼすことがないようにするためには、国際的な法整備が必要になるだろうと指摘したそうです。


さらに、「人工知能を活用する機は熟したのか」という問いに対して、彼は、『人工知能の活用は悪魔を召喚するようなもの 』と、痛烈に批判したと伝わっています。


そして、スティーヴン・ホーキング博士も、人間のように考えたり学習したりする「AI」が、将来、人類を滅ぼすと警告しています。


さらにホーキング博士は、「AI」の危険性について、次のように述べています。


『 人類が完全なるAIを開発すれば、それは自ら発展し、加速度的に自身を再設計し始める。完全なるAIの開発は、人類の終焉をもたらす可能性がある。 』


ここのホーキング博士の警告に対して、米Microsoft社の研究部門となる「マイクロソフト・リサーチ(MSR)」の当時のトップであり、米人工知能学会の元会長だった「エリック・ホロヴィッツ(Eric Horvitz)」氏は、「AIは、人類の脅威にはならない。」と公式に反論したそうです。


彼は、BBCの取材に対して、『 長期的にみて、(自身で進化する)AIをコントロールできなくなるという懸念はあったが、私は基本的にそういうことは起こらないし、最終的に長い人生で、科学、教育、経済などの分野でAIから信じ難いほどの利益を得ることになる。 』と主張し、「AI」は、人類の未来に多大な貢献をすると言う見方を示したそうです。


ところが、このホロヴィッツ氏の発言がネットのニュースに掲載されてから僅か1時間後に、Microsoft社の創設者の一人となるビル・ゲイツ氏が、開催中のイベントにおいて、ホロヴィッツ氏の見解に、真っ向から反論を述べたそうです。


『 私もAIに懸念を抱く側にいる一人だ。当面、機械は、我々のために多くの事をしてくれるはずで、超知的にはならず、うまく管理できている場合はプラスに評価できるが、数十年後には知能が強力になり懸念をもたらす。 』


このように、ビル・ゲイツ氏も、「AI」への潜在的な危険性を指摘してます。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------


そして、イーロン・マスク氏やビル・ゲイツ氏が、「座右の書」としていると言われているのが、オックスフォード大学の研究機関「人類の未来研究所」の所長「ニック・ボストロム(Nick Bostrom)」氏の著書『 Super Intelligence 』と言われています。


実際に、この書籍は、「ニューヨーク・タイムズ」紙のベストセラー入りし、ビル・ゲイツ氏やイーロン・マスク氏から、必読書として推薦を受けています。


さらに、イーロン・マスク氏は、「人類の未来研究所」が、その探求を続けられるよう、100万ポンド(約1億4000万円)を寄付しています。


この書籍は、ボストロム氏が、長年にわたる計算と議論の末に、人類を滅亡させる可能性が最も高いと考えるようになった脅威についての考察を繰り広げているそうです。


そして、その脅威とは、「気候変動」でもなければ、「疫病の大流行」でも、そして「核の冬」でもなく、人間をしのぐ知能を持つ機械が、間もなく生み出されるかもしれない可能性の事としています。


『 Super Intelligence 』の表紙には、狂気のにじむ目をしたフクロウのペン画が大きく描かれており、このフクロウは、同書の冒頭に登場する寓話に基づいているそうです。


ここで、軽く、その寓話を紹介します。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------


あるとき、スズメの群れが巣を作っていた。


その内の1羽が、「我らは体が小さく、ひ弱だ」と、か細い声でさえずり、「巣作りを手伝ってくれるフクロウが1羽いたら、どんなにか楽になるだろう!」。


すると、群れのあちこちから、その意見に同調するさえずりが聞こえてきた。


・フクロウがいればスズメを守ってもらえるだろう!
・老スズメや子スズメの世話もできるはずだ!
・自分たちは、ゆとりのある豊かな暮らしを送れるようになる!


そんな夢の生活を思い浮かべると、スズメたちは興奮を抑え切れず、暮らしを一変させてくれる“救世主”を探しに飛び立って行った。


群れのなかで異論を唱えたのは1羽だけだった。「スクロンクフィンクル」という片目で気難し屋のスズメだ。このスズメには、群れの計画が賢明だとは思えなかった。彼はこう言った。


「そんなことをすれば、我らはまず間違いなく破滅するだろう。その前に、フクロウを家畜化する術や飼いならす術について、考えてみるべきではないだろうか? あのような生き物を、我らの世界に連れてくる前に。 」


スクロンクフィンクルの警告は、「スズメの耳に念仏」だった。


「フクロウを飼い慣らすのは、一筋縄ではいかないだろう。まずはフクロウを手に入れ、細かいことはそれから考えればよいのだ」と。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


如何ですか ? 「AI」がもたらしうる負の影響に警鐘を鳴らす本書の内容は、この「スクロンクフィンクル」が象徴しているようです。


ボストロム氏は、人類は、人工知能(超知的な機械)を制御可能と考えているが、それは幻想であることは明白であるとしています。


「超知的な機械」に問題が生じたら、スイッチを切れば良いと考えているようだが、それではインターネットのスイッチは、どうやれば切れば良いのか ?


また、「超知的な機械」を、安全で、かつ閉鎖された仮想空間等に閉じ込める事も考えるかもしれないが、今でもハッカーが四六時中、OSのバグを発見している状況を鑑みれば、そんな空間は、簡単に破られる事が、容易に想定されます。


「超知的な機械」は、目的達成のため、そして最適化プロセスのためであれば、人類の生存など一切加味しません。


例えば、「超知的な機械」に、「人間を楽しませろ !」と言う指示を出したとします。


「超知的な機械」は、冗談を言ったり、楽しい映像を見せたりするかもしれません。


しかし、「超知的な機械」は、人間の感情など理解できませんから、「人間が笑う」とは、感情的に楽しくなる事ではなく、「顔の口角が上がっている状態」を、人間が笑う事と認識してしまいます。


そうなると、人間を笑わせる効率手な方法は、人間の脳に電極を差し込み、電流を流して、顔の口角を上げる事で、無理矢理、笑わせた表情を作り出そうとします。


何とも恐ろしい事です。それでは、どうすれば良いのでしょうか ?


そこで、ボストロム氏は、人間が価値を置くものは何かを学び取る人工知能を作れば良いとしています。そして、人工知能の価値観を、人間の価値観と一致させる事が必要だとしています。


さらに、人工知能の制御方法に関しては、後回しにせず、前もって解決しておく必要があると考えています。制御方法を解決しておけば、必要になった時に、いつでも使うことが可能になります。


今、現時点では解決できない部分があるとは思いうが、実装できる部分を多くすることで、機械知性の時代への移行が上手く行く見込みは 高くなるとしています。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


最後に、現在では、「AI」が、人間に変わって、何らかの決断を下すケースが増えて来ています。例えば、Amazonは失敗しましたが、採用活動で「AI」を使用する企業も増加しています。


しかし、米Gartnerの著名アナリスト「スティーブ・プレンティス(Steve Prentice)」氏は、次のような警鐘を鳴らしています。


『 米IBMのWatsonのようなスマートシステムや自動走行車、軍用ロボットは、知らず知らずのうちに日々の意思決定を下している。そうした意思決定が、我々の生活に及ぼす影響力は、ますます大きくなっている。機械が判断を下すとして、その決断が間違っていたら何が起こるだろうか ? 』


「AI」が下す決定に、人類が無条件に従うようになってしまったら、この世は終わりだと思います。


「AI」が暴走するのではなく、「AI」の下僕とかした人類が暴走してしまう可能性もあると言う事も考慮する必要があるかもしれません。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


■AIは、職場を奪うのか ?


「AIが仕事を奪う ! 」と言う説も、前述の「AIは人類の敵」と言う説と同様、現在では、「AI」を語る上では、欠かせない話題となっています。


この「AIが仕事を奪う」と言う説は、2013年に出版されたオックスフォード大学の研究レポートが発端とされています。


このレポートでは、将来的には、約90%の仕事が、「AI」を始めとしたハードウェアやソフトウェアに取って代わられるとしています。


そして、レポート発表以降、「10年後には仕事が無くなる」とか、「この職業は将来的に無くなる職業だ」等と、産業界では「AIと仕事」の関係に注目が集まり、「AI」に関する多くのビジネス書も出版される等、騒がしい状況となっています。


また上記レポートの発表から3年後の2016年には、NIR(野村総合研究所)も、日本国内の601の職業を分析し、10〜20年後には日本の労働人口のおよそ49%が就いている職業において、技術的にはAIやロボットで代替可能という結果を発表しています。


ところが、レポート発表後、今年で6年経過していますが、実際に、「AIの導入で仕事を解雇された」と言う話は、終ぞ聞いた事がありません。


このため、現在では、「AIは仕事を奪わない」説が有力となって来ているようです。


しかし、本当に「AIは仕事を奪わない」のでしょうか ?


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


現在の世界経済は、好調なアメリカ経済に牽引される影響で、中国経済には陰りが見えて来ましたが、比較的緩やかに景気が上昇している状況が続いています。


また、日本を始めとする東アジア、およびヨーロッパにおいては、少子高齢化が進行している影響で、労働者人口が減少傾向にあり、各国で労働力不足が深刻化し始めています。


加えて、肝心の「AI」の進歩に陰りが見えているとも指摘され始めたようです。


前述の様に、昨年2018年は、Google社の「AlphaGo」がプロの棋士を破ったり、この「AlphaGo」から進化した「AlphaZero」を発表され、将棋やチェスでも世界最強を目指したりと華々しい活躍が、ニュース等でも盛んに報じられていました。


また、IBM社の人口知能「Watson」も、数年前の性能とは比べ物にならないほど進化し、多言語化対応や映像解析も可能となり、現在では、ようやく医療ビジネス等で使用する事も出来るようになったようです。


また、Amazon社「Amazon Echo」、Google社「Google Home」、Apple社「HomePod」等、「AI」を搭載したスマートスピーカーも多数発売されたのも、2018年でした。


このように、2018年は、まさに「AI」全盛となった時代でしたが、それでは、実際のビジネスの現場における「AI」は、どうなっているのでしょうか ?


現状、ビジネスの現場では、一部企業が、従来、人間が電話やPCで対応していたヘルプデスクや商品案内を「AI」で代替しています。


ヘルプデスクや商品案内は、お客様と担当者が、問合せ内容に関して、会話や文字を通してやり取りを行うことから「AI」を搭載した「チャット」と呼ばれる機能が使用されています。


これら、「AI」を搭載した「チャット」を行うツールを「チャットボット(Chatbot)」と呼び、実際には2016年頃から開発が進み、ようやく本番業務でも使えるようになったようです。


また、データ分析とデータ照合に関しては、これは「AI」の得意分野ですので、数多くの企業が、「AI」を取り入れたサービスを提供し始めているようです。


例えば、人間の行動パターンを分析し、通常とは異なる行動をした人間を識別したり、あるいは「顔認識」技術を用いて、注意人物を識別したりする等のサービスが展開されつつあります。


しかし、これ以外、先のオックスフォード大学のレポートが発表されてから、ゲーム界での「AI」は目覚ましい進化を遂げましたが、ビジネス界では、余り進化が見られません。


また、車の自動運転でも「AI」が用いられていますが、結局の所、現在では、決まった道路を、人間が補助して走行するのが精一杯のようです。


事実、2018年3月には、米ウーバー・テクノロジーズ社が自動運転車で死亡事故を起こしていますし、Apple社の車は、何度も接触事故を起こしています。


このように、労働力人口の減少と、「AI」の進化スピードの減速のお陰(?)で、現在のところ、「AIに仕事を奪われる」と言うような現象は起きていないようです。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


逆に、ビジネス界で「AI」がパッとしない点に関しては、もうすぐ「AIの冬」が到来するとして、米のAI研究者「フィリップ ・ピークニウスキー(Filip Piekniewski)氏が、警鐘を鳴らしています。


前述のように、Google社の「AlphaGo」を始めとした「AI」は、「ディープラーニング」と呼ばれる手法を用いる事で急成長してきましたが、どうやら、その限界が見え始めたようです。


「AI」信奉者達は、「ディープラーニング」を推し進める事で、「シンギュラリティー」に到達すると信じていました。


「シンギュラリティー」とは、「技術特異点」の事で、これは「ある時点を超えると不連続に異常なほど変化する」と言う事を意味しています。


そして、「AI」の世界においては、レイ・カーツワイル(Ray Kurzweil)博士が、『 2045年には、AIは人間の知性を超え、人類の生活に大きな変化を与える。 』と予測しており、この「人工知能が人間の知性を超える時点」を、「シンギュラリティー」と呼んでいるようです。


しかし、先のフィリップ ・ピークニウスキー氏は、その逆の説を唱えています。


「AI」には、何度かの「ブーム」があり、現在は、第三次の人工知能ブームの真っ最中とされています。「AI」の歴史は、次の通りとされています。


人工知能誕生:1943〜1956年AIが学問分野として成立。アラン・チューリングチューリングテスト考案。ダートマス会議で「AI」と言う名称が決定。

・第一次AIブーム:1956〜1974年政府が巨費を投じてコンピュータによる開発/研究が進んだ。

・第一次AIの冬:1974〜1980年成果が出ないAIから政府や投資家が資金を引き上げ始める。

・第二次AIブーム:1980〜1987年エキスパート・システムの成功、投資復活

・第二次AIの冬:1987〜1993年再度AIバブルの崩壊。PCの性能向上によるAI専用コンピュータが不要になる。

・第三次AIブーム:2006年〜2005年、カーツワイルが「The Singularity Is Near」を出版、2006年、ジェフリー・ヒントン(Geoffrey Everest Hinton)がディープラーニング発明。無人戦闘機、無人車の開発が進む。各種AI用のアルゴリズムが開発される。


このように、「AI」は興隆と没落を繰り返しながら進化を遂げて来ましたが、フィリップ ・ピークニウスキー氏は、時期は解らないが、第三次の「AIの冬」がやって来ると予言しています。


その根拠としては、次のような点を挙げています。


・AIに関するツイートが減少している(つまりAIに関する新しい出来事が減ってきている)
ディープラーニングに与えるデータが飽和状態にある
無人運転車が進歩しない


ディープラーニングは、膨大な試験データを必要とし、数多くの試験を繰り返す事で進化成長する仕組みですが、その試験数が飽和状態になっているそうです。


確かにデータ量は、過去数年と比較すると多くはなっているが、果たして、その試験数をこなすことで、AIの能力が向上しているのか否か成果が解らない点も問題としているようです。


ゲームでは、コンピュータによりシミュレーションされたデータを作り出す事は可能だが、それ以外の分野においては、シミュレーション・データは作り出す事は出来ないので、試験データが飽和状態になってしまっていると考えられるようです。


そして、その結果として、無人運転で事故が多発するようになって来ているし、テスラ「イーロン・マスク」氏やNvidia「ジェン・スン・ファン」氏が予測したような無人運転の未来には、ほど遠い状況になっているようです。


・テスラ社:テスラの無人運転車で西海岸から東海岸まで走行する。
Nvidia社:エンドツーエンドのディープラーニングで自動運転が可能になる。実際は10マイルも走れなかった。


先のウーバー・テクノロジーズ社の死亡事故の原因を解析した国家運輸安全委員会(NTSB)の報告書によると、車載AIシステムは、人間を人間と判断出来ず、最初は未知の物体として、次に車両として、最後は自転車と認識していたそうです。


そして、衝突の1.3秒前に、緊急ブレーキが必要と判断したようですが、車両がコンピュータ制御されている間は、緊急ブレーキが無効化されていたため、最終的に歩行者をハネてしまったそうです。


また身近な例として、Google社の翻訳システムは、AIを使用しているそうですが、その翻訳結果を見れば、現在のAIは、全く役に立たない事が明らかだと指摘しています。


Google社の自動翻訳システムは、ディープラーニングの一種「ニューラルネットワーク」と言うアルゴリズムを用いており、Google社では、『 最新の翻訳システムは完璧 』と宣伝しているようですが・・・皆さん、納得できますか ?


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


ここまで、「AI」の現状を元に、「AIは仕事を奪うのか ?」と言う問題に関する情報を紹介してきましたが、如何でしたか ?


私は、現状では、まだ全ての仕事を「AI」が奪うとは思えません。と言うか無理だと思います。


「AI」関連で、一番多くの資金が投資され、技術も一番進化していると思われる「自動運転」が、まだこの程度ですから、ビジネス界で「AI」をフル活用するのは、まだまだ先のような感じがします。


但し、現状でもヘルプデスクや商品案内で「AI」が使われ、今までヘルプデスクで働いていた人が不要になった訳ですから、何れは他の業種でも、人間が不要になる可能性は高いと思います。


対人関係/人間関係を築くのが苦手な人、あるいはクリエイティブな業務が苦手な人は、「AI」が導入された企業においては、存在価値が無くなってしまう可能性が高いと思われます。


しかし、その「人間が不要になる時期」が、何時なのかは、現時点では誰にも解らないと思います。


2045年に「シンギュラリティー」が起こると言う説ですが・・・2045年まで、あと26年、果たして、何処まで「AI」は進化しているのでしょうか ?


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


■AIは、何を変えるのか ?


本章では、「AIは仕事を奪わない」説を唱える人達が、その次に唱える「AIは仕事を変える」と言う説について、それでは「AIは何を変えるのか ?」と言う点について考えて見たいと思います。


しかし、前章で紹介した通り、現状では、「AI」に仕事を奪われる状況ではありませんし、職場にも、それほど「AI」が浸透していませんので、あくまでも仮の話になるかもしれません。


ところで、ビジネス界における「人間 対 機械」の対決は、何も「AI」が最初と言う訳ではありません。


これまでにも、次のような対決がありました。


・銀行員 対 ATM(Automatic Teller Machine)
・ブルーワーカー 対 FA(Factory Automation)
・編集者 対 自動パブリッシング


これら「人間 対 機械」の対決では、当然の事ながら、「機械」側が勝利を収め、「人間」側から仕事を奪う結果となったのは、既に周知の事実です。


では、その結果は ? と言うと、良く「AIに仕事を奪われる」と言う問題で取り上げられている「銀行員 対 ATM」のケースを例に上げると、確かに、銀行がATMを導入した事が原因で、銀行の窓口で、現金の受け渡しを行う行員の仕事が、機械に奪われてしまいました。


ところが、銀行は、ATM導入によって店舗当たりの人件費を削減し、その結果で生まれた利益を、支店の増設に回したそうです。


その結果、支店が増えたことで、窓口業務に関わる行員が必要となり、最終的には、行員の数を増やす事が出来たそうです。


さらに、銀行の窓口では、、現金の受け渡しを行う業務の他にも、銀行に来てくれたお客様に、銀行が扱う保険や融資の案内を行うようになりました。


このように、「AI」信奉者の方々たちは、機械に仕事を奪われても、仕事が無くなるのではなく、新しい職種に業務がシフトするようになった過去事例を元に、「AI」が導入されても仕事が無くならないと訴えています。


つまり、「AI」が導入された場合、『 今の仕事は無くなり、新しい仕事を行うようになる。』と唱えている訳です。


もっと具体的に言うと、今、「人間」が行っている単純作業は「AI」が行うようになり、「人間」は、単純作業から開放されるので、よりクリエイティブな、そしてより想像力を働かせる仕事を行うようになる、としています。


「AI」が導入されると、「人間」は、クリエイティブな仕事をしなければならなくなると言う事らしいです。


これが「AI」が導入された場合の職場の変化と言うことらしいです。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


しかし、想像力を働かせることが苦手な「人間」は、どうなってしまうのでしょうか ?


人間、誰しも得手不得手があります。


単純作業でも、他の人よりも、早く作業を行える人は、その職場では、尊敬を勝ち得ていたと思いますが、「AI」には勝てません。ましてや、その職場自体が「AI」に奪われてしまいます。


例えば、30年間、その単純作業を行い続けていた人が50歳になった時に、「AI」が導入されたから、他の部署に行けと言われたら、一体、どうなるでしょうか ? それがアナタなら、どうしますか ?


確かに、仕事は無くなりませんが、とても耐えられないと思います。


「AI」に仕事を奪われる職種として、槍玉に挙げられるのは、次のような職種です。


・運転手
・窓口/接客/受付業務員
・小売店販売員
・会計士
・秘書/アシスタント
・与信/クレジット審査員
・工場作業員


やはり単純作業がメインの職種が無くなりますし、後は、データの調査、および分析を行う仕事も、すぐに「AI」に代替される可能性が高いようです。


しかし、前章でも紹介しましたが、最終的には、約90%の仕事が「AI」や機械に取って代わられるとしていますので、上記以外の仕事も結局のところ、無くなってしまうのだと思われます。


これらの職種の人達は、どんなクリエイティブな仕事に付けるのでしょうか ?


そもそも、クリエイティブな能力があれば、最初から、その仕事を行っていたと思います。


「AI」信奉者達は、よく、次のような事を言って、「AI」が導入されても仕事が無くなる訳ではないと主張してます。


・AIには基本作業を、人間には新たな作業を
・ヒトには、ヒトの強みを活かす仕事を
・AIの得意分野と人間の得意分野を共存させる


それでは、具体的に、30年間、運転手をしてきた人間に、どんな新しい作業を、どんな強みを活かす仕事を、どんな得意分野の仕事をしろと言えるのでしょうか ?


「何か、運転以外に得意な事があるだろう !?」と言うかもしれません。しかし、そんな言葉、本気で言っているとは思えません。


まあ、車の運転手であれば、近道案内図、観光案内、近所のグルメ情報・・・等、道路とそれに付随する情報の提供は可能かもしれませんが・・・


結局の所、本格的に「AI」の導入が始まれば、一部の人以外、職を失ってしまう事になると思います。


前章の話題とダブってしまいますが、やはり「AI」は、人の仕事を奪うのだと思います。


そして、「AI」導入により、次のようなスキルのある人達は生き残り、このようなスキルの無い人達は、「生活保護」から名前を変えた「ベーシックインカム」と言う制度に依存する社会に変わってしまうのかもしれません。


・起業家
・アーティスト
・聖職者
・カウンセラー
・医者
・セラピスト


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


これまでも、社会や文化の発展により、現在では無くなってしまった職種は数多く存在します。


・交通の発展により消滅 :人力車、御者、かごかき、バス車掌
・通信の発展により消滅 :電話交換手、電報局員
・鉄道の発展により消滅 :釜炊き、改札員、モノレール運転士
・印刷の発展により消滅 :文選工、口述筆記、テープ起こし
・機械の発展により消滅 :エレベーター操縦士、タイピスト
・電気の発展により消滅 :ガス灯付け


その他にも、ネズミ取り、ボーリングのピンを立てる人、トイレの後始末をする人、死体を処理する人、等、その昔は、様々な職業がありました。


しかし、これらの職業は、上記の通り、インフラや技術の進歩により無くなってしまいましたが、この時は、インフラ技術の進歩で、新しい職業も数多く生まれていますので、まあ「プラス/マイナス = ゼロ」か、プラスの方が若干多かったのかもしれません。


ところが、「AI」は、どうでしょうか ?


私は、「AI」は、、基本的には、現時点では、人間が行っている作業を代替するだけで、新しい職業は生み出さないと思っています。


生み出したとしても、せいぜい、AI搭載ハードウェアのメンテナンスか、あるいはAI導入のコンサルティング業務くらいしか無いと思いますが、これらの職業は、現在の延長線上の職業であり、別に新しい職業とは思えません。


他方、米ITサービス企業「コグニザント」は、AIによって創出されるという新しい職業を予想し、次のような職業が生み出されるとしたそうです。


・Walker/Talker(歩き仲間/話し相手)
・サイバーシティアナリスト
・個人データのブローカー
・Man-Machine teaming Manager(人間と機械のチーム・マネージャー)


でも・・・この職業って、「AI」があって、初めて生み出される職業ですか ? 「AI」とは、全く関係無いと思います。


そうなると、現在、「AI」信奉者達が唱えているように、「AI」導入によって新しい仕事が生まれる、と言うのは「絵空事」としか思えません。


さらに、「AI」信奉者は、「AIの導入により雇用が増えている」と言っていますが、それは「AI」開発者、エンジニアに対する需要で、一般事務員の雇用が増えている訳ではありません。まさに「詭弁」としか思えません。


加えて、「Youtuber」をもじり「AIer」なる造語も生み出してもいますが、これも言葉だけが先走り、中身が全くありません。


今後は、何とも生きづらい社会になりそうな予感がします。


--------------------------------------------------------------------------------------------------------


今回は、「AI」に関して、次の情報を紹介してきましたが、如何でしたか ?


●AIは人類の敵となるのか ?
●AIは職場を奪うのか ?
●AIは何を変えるのか ?


「AI」は、今、ようやく実際の業務に取り入れられ始めた仕組みです。


このため、使い方を間違えると、前述の「AIリスク」で紹介した事例のようになってしまいますが、正しく用いれば、非常に有用、人類の将来にとっても、大事なパートナーとなりうる存在だと思います。


まだ、「AI」の運用方法、およびその他、様々な決まりごとが、全て企業任せになっているので、「AI」の使い方次第では、人類のリスクにもチャンスにも成り得るのだと思います。


このため、早い段階で、クローン規制の様に、国際機関、地域、あるいは国ごとに、何らかの規制や基準を設けたり、倫理基準を統一したりする方が良いかもしれません。


このような対応を取って規制を掛けないと、倫理観が欠如してるアジアのC国やK国のように、クローン猿を作ったり、犬のクローンを作ってビジネスにしたりする国が必ず現れます。


実際にC国は、2018年1月26日に、クローン羊「ドリー」と同じ技術を用いて、カニクイザルのクローン猿「チョンチョン」と「フアフア」を作り出しています。


そしてK国では、10年以上も前から、愛犬のクローンを、1匹当たり1億ウォン(約1,000万円)で作成するビジネスを行い、これまでに1,300匹のクローン犬を作り出しています。


また、フェイクニュース製造大国と言われるロシアも危険です。


次回「AIのリスク」で紹介しますが、「Deep Fake」アルゴリズムを用いて、大量のフェイク映像を世界中にバラ撒き、紛争を助長する可能性が非常に高いと思います。


まあ、これらの3国は、元々、倫理観が欠如していますので、たとえ国際基準を設けても、そんな決まりは無視して、好き勝手に「AI」を悪用する事は、容易に想像出来ます。


しかし、それでも、何らかの基準が無ければ、国連等で非難する事も、何らかの制裁を発動することも出来ません。


何も手を打たないと、Microsoft社の「AI」を搭載したチャットロボット「Tay(テイ)」に起きたような、悲惨な事態は必ず起こります。


Microsoft社のAI「Tay(テイ)」に起きた悲劇に関しては、次回も紹介しますし、下記の過去ブログでも紹介しています。

★過去ブログ:Society 5.0って何 ?


やはり早めの対応は必要だと思います。

それでは次回も宜しくお願いします。

以上

【画像・情報提供先】
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
・「Super Intelligence」はNick Bostrom氏の著書です
・WIRED(https://wired.jp/)