岩手の食材 - そこそこ美味しい物ばかり 果物(その1)

 先日、盛岡に出張した際、古くからの友人と連れ立って、「さくらんぼ狩り」に言って来ました。

 

これまで、「さくらんぼ狩り」には行った事がなかったので、どんな感じなのか楽しみでしたが・・・これが結構面白かったです。

 

さくらんぼ」と言えば、「佐藤錦」と言う品種しか知らなかったのですが、それ以外にも、結構沢山の品種がありました。

 

そして、「さくらんぼの木」を見て、私が、まだ小学生低学年の頃、裏山に「さくらんぼの木」が沢山あった事を想い出しました。

 

その時は、近所の悪ガキ達と「さくらんぼの木」に登り、『 これは俺の木 !! 』とか、トンデモナイ事を言って、勝手に人のさくらんぼを食べていました。

 

今考えると、これって窃盗ですよね ? 農家の方、済みませんでした。

 

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今、当時、昭和40年代の事を思い出すと、家の周りには、沢山の果物が溢れていました。

 

りんご、梨、ぶどう、柿、もも、すいか、栗、くるみ、さくらんぼ・・・さすがに熱帯地方じゃないので、バナナはありませんでしたが、そこら中に果物畑がありました。

 

私の家にさえ、今では、もう何も残っていませんが、当時は、ぶどうや栗、そして柿がありました。私の友達など、庭で遊んでいると、勝手にぶどうを食べていました。

 

私の実家周辺は、そんな豊かな環境だったのですが・・・現在では、見事に、本当に見事にと言わざるを得ないのですが、沢山あった果物畑は、全く、何も残っていません。

 

昭和50年代頃は、人口も増え、また農家の高齢化の影響で、沢山あった果物畑は、全て宅地になってしまいました。

 

私が遊んだ裏山の「さくらんぼ畑」などは、あろう事か!! 岩手県知事の公舎になってしまいました。残念で仕方ありません。

 

ちなみに、現在の知事は、この知事公舎には住んでいないようです。全く・・・何ための公舎なのか ? 利用しないなら維持費が無駄なので解体した方が良いのではと思ってしまいます。

 

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と、話が脇道に逸れそうになったのですが、今回は、岩手県の食材、その中でも「果物」を紹介しようと思います。

 

岩手の果物と言えば、「りんご」を思い浮かべますが・・収穫量1位の青森県が約42万トンなのですが、岩手県は、第4位で約4万トン・・・全く、足元にも及びません。

 

何か、全てに渡って、果物は中途半端な感じがしますが、そんな果物に関して、2回に分けて次の果物を紹介します。

 

【 第1回 】

  • さんくらんぼ
  • りんご
  • ブルーベリー

 

【 第2回 】

  • すいか
  • なし
  • いちご

 

また、これらの情報と合わせて、果物狩りが出来る場所の情報も紹介したいと思います。

 

それでは今回も宜しくお願いします。

 

 

 

さくらん

 「さくらんぼ」は、別名「桜桃(おうとう)」とも呼ばれており、木を「桜桃」、実を「さくらんぼ」と呼び分けるケースもあるそうですが、実は、「バラ科」の植物です。

 

さくらんぼ」は、「桜の実」、つまり「実桜(みざくら)」の果実の事で、「桜の実」を意味する「桜の坊」の「の」の呼び方が変化して「さくらんぼ」になったとされているようです。

 

そして、皆さんが「花見」で楽しむ「桜(ソメイヨシノ等)」にも「実」が出来る事はご存知ですか ?

 

 こちらの観賞用の桜の実は大きくならないので食用には不向きですが、桜桃の果実の方は、一般的には丸みを帯びた赤い実となりますが、その品種により白っぽい物や赤黒い物もあるそうです。

 

桜桃には、大きく、東洋系とヨーロッパ系の2つの系統があり、日本で生産される「さくらんぼ」の大半はヨーロッパ系となっているそうです。

 

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ここで、「さくらんぼ」の歴史を簡単に紹介します。

 

 先に、「さくらんぼ」には、東洋系とヨーロッパ系があると紹介しましたが、東洋系に関しては、既にお解りの通り、中国が原産です。

 

これは、北京がある華北、上海がある華中を中心に自生していた「カラミザクラ(唐実桜)」という種になります。

 

別名、「シナミザクラ(支那実桜)」、あるいは食用にする事から「含桃」とも呼ばれています。

 

後漢の時代(25~220年)に編纂されたと言われている「礼記(らいき)」には、天子が祭祀の際に「含桃」を備えたと言う記述が見られるそうです。

 

日本には、江戸時代に、当時の「清」から伝えられ、現在でも、西日本地域では、木材として利用するために栽培されているそうですが、金沢の「兼六園」でも、数多くの「カラミザクラ」が見られるそうです。

 

 日本では、「さくらんぼ」の事を「桜桃(おうとう)」と呼びますが、この呼び方は、中国から伝わった際の呼び名に由来しています。

 

他方、ヨーロッパ系には、次の2つの品種があり、有史以前、つまり文字が成立する以前から「さくらんぼ」が食べられていたと考えられています。

 

・「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」 :イラン北部、ヨーロッパ西部にかけて自生

・「スミミザクラ(酸実実桜)」    :トルコ周辺に自生

 

 これら生息地に関する情報は、古代ローマ帝国時代(前27年~480年)の学者「プリニウス」の著書に根拠があるとされています。

 

それによると、古代ローマの執政官「ルクッルス」が、黒海沿岸の「ケラソス(Kerasos)」で「さくらんぼ」の木を見つけて、ローマに持ち帰ったと伝わっているそうです。

 

この2種類の「さくらんぼ」は、黒海沿岸からヨーロッパ諸国、特に、イギリス、フランス、およびドイツに普及したとされています。

 

さくらんぼ」は、英語で「Cherry(チェリー)」ですが、当初は、ノルマン人により「Cherise(シェリーズ)」と呼ばれていたのが、イングランドに渡り、英語の「Chery(シェリー)」になり、そして、最終的に「Cherry(チェリー)」になったとされています。

 

さくらんぼ」は、その後、16世紀頃から本格的な栽培が始まり、17世紀になってアメリカ大陸に伝えられたことになっています。

 

ちなみに、「さくらんぼ」が属する「サクラ属」の学名「Cerasus」は、「Kerasos(ケラソス)」のラテン語表記となっています。

 

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さて、このような興味深い歴史を持つ「さくらんぼ」ですが、品種としては、現在、1,000種類以上とも言われるほど、数多くの品種が存在するそうです。

 

岩手県で生産されている「さくらんぼ」は、主に、次の様な品種になっているそうです。

  

項番

品種

説明

1

紅さやか

佐藤錦」に「セネカ」を交配。「佐藤錦」より酸味は強いが適度な甘みがある。

2

紅てまり

山形県育成品種。登録時、両親は共に不明。「ビック」と「佐藤錦」の交配種と推定。

3

紅ゆたか

「ビック」に「C-21-7(ビング×黄玉)」を交配。大玉で酸味が少なく甘い。

4

紅きらり

「レーニア」と「コンパクトステラ」を交配。大きさ9gと大きく着色は鮮やか。

5

紅秀峰

佐藤錦」と「天香錦」の交雑種。果実は大きく糖度高く豊産性で非常に優秀な品種。

6

佐藤錦

国内で最も多く生産されている品種。ナポレオンと黄玉を交配。別名「赤いルビー」。

7

香夏錦

佐藤錦」に「高砂」を交配。甘酸適和の食味良好な早生。

8

八興錦

佐藤錦」に「ジャボレー」を交配。心臓形。果汁が多く甘みは中で酸味は少ない。

9

最上錦

「高社錦」の選抜系品種。

10

月山錦

月山錦は中国大連で育成され、日本に持ち込まれた黄色いさくらんぼの品種。

11

南陽

「ナポレオン」交雑種。ナポレオンよりも一回り大きく、ハート形を縦にした形。

12

高砂

アメリカ原産。収穫時期は6月中旬。元名はロックポートピカロー。別名「伊達錦」

13

ナポレオン

ヨーロッパ各国で栽培されている品種。ベルギー王が命名。収穫時期は6月下旬。

 

当然、これ以外の品種もあるようですが、多くの農園で、これらの品種を取り扱っているようです。

 

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それでは、最後に、「さくらんぼ狩り」の出来る果樹園を紹介します。

 

 ●田屋果樹園

 この果樹園は、私が「さくらんぼ狩り」に行った果樹園です。。

 

場所は、盛岡市手代森と言う場所で、盛岡市中心部から遠野市に向かう、国道396号線、旧釜石街道から、少し山側に逸れた山中にあります。

 

国道沿いには、直売店があるのですが、「さくらんぼ狩り」をする場所は、そこから1Km程離れた場所にあるので、ちょっと分かり難いかもしれません。

 

果樹園内には、りんごの木、桃の木、梨の木等が栽培されていますが、「さくらんぼ狩り」を行う場所は、上図の画像の様に、ハウス状になっているので、雨の日でも「さくらんぼ狩り」が楽しめる様になっています。

 

この果樹園、通常は日曜日が休みなのですが、「さくらんぼ狩り」の期間中は無休で、朝9時から開園しています。

 

駐車場もあるのですが、20台弱位しか停められないので、早めに行った方が良いかもしれません。私は9時30分頃に果樹園に着いたのですが、既に10台以上は停まっており、ギリギリセーフ状態でした。

 

料金は、大人が、平日40分で1,800円、休日2,000円となっております。

 

『 40分間で1,800円は、ちょっと高いかな~ 』とも思ったのですが、かなりの量の「さくらんぼ」を食べる事が出来たので、私としては、まあ妥当な金額だと思っています。

 

スーパー等では、「佐藤錦」が、1パック200gで約430円ですから、これを5パック食べると元を取れる感じですが、実際は、もっと食べれますので、やはり価格的には妥当だと思います。

 

但し、後で紹介する「いちご狩り」と比べると、練乳やチョコを付けれない分、味が単調になってしまうので、飽きが来るのが早い感じがします。

 

それでも、この果樹園には、次の様な品種の「さくらんぼ」がありますので、「さくらんぼ」の食べ比べを行う楽しみもあります。→ 佐藤錦紅さやか、紅秀峰、南陽高砂、ナポレオン、月山錦、紅てまり

 

品種としては、前に紹介した通り「紅いルビー」と呼ばれる「佐藤錦」が有名ですが、私としては、「佐藤錦」よりも「高砂」の方が、甘くて柔らかく美味しかったように感じました。

 

最後に、この果樹園の情報を掲載しておきます。

【 田屋果樹園 】

・住所       :岩手県盛岡市手代森21-20

・電話       :019-696-2742

・営業時間   :9:00~17:00

・定休日     :日曜日(除く:さくらんぼ狩り期間)

・駐車場     :20台

・URL        :https://www.ta8kajuen.com/

 

 

 

■りんご

 「さくらんぼ」の次は、岩手県で一番メジャーな果物「りんご」を紹介します。

 

「りんご」も、「さくらんぼ」と同じく「バラ科」の植物です。知ってましたか ?

 

さくらんぼ」は、『 バラ科サクラ属 』、「りんご」は、『 バラ科リンゴ属 』で、植物学上は、「セイヨウリンゴ」と呼ぶようです。

 

そして、「セイヨウリンゴ」がある事から解る通り、「ワリンゴ」も存在します。

 

日本においては、当然、「ワリンゴ」の方が古いのですが、最初に、日本における「リンゴ」の歴史を紹介します。

 

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 日本において、歴史上、最初に「リンゴ」が登場したのは、平安中期となる「承平年間(931~938年)」に編纂された辞書「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」に、「りんご」の事が、『 利宇古宇(りうこう/りうごう)』として紹介されているのが始めとされています。

 

その後、この「りうこう」、または「りうごう」が、訛って「りんご」になったと考えられています。

 

この「和名類聚抄」は、「和名抄」、「倭名抄」、あるいは「倭名鈔」等と言う略称で呼ばれ、現在の各種辞典のベース様式になった辞典と言われているそうです。

 

 そして、日本にあった「ワリンゴ」ですが、現在では、本当にわずかになってしまい、各地の農家や試験場、あるいは皇居などで、細々と栽培されており、食用と言うよりは、仏前への「お供え物」として栽培されているようです。

 

この「ワリンゴ」、実際には一種類ではなく、栽培場所の名称が付けられたり、あるいは複数の変種名が付けられたりと、様々な名前があることが解りました。

 

・リンキ/リンキン :青森県津軽地方で栽培される系統。中部地方ワリンゴよりもやや果実が小さい。

加賀藩在来種   :石川県加賀地方で「加賀リンゴ」の名前で食用栽培されていたもの。

・高坂りんご     :長野県北部の飯綱町高坂地区周辺に古くから伝わるワリンゴ

 

戦国時代には、浅井長政最上義光が、「りんご」が送られた事に対する礼 状を

 書いている事が判明しており、その書状自体も現存しているそうです。

 

江戸時代には、葛飾北斎が「りんご」の花を描いたり、天皇が、民衆に「りんご」を下賜したりした事などが記録されています。

 

当時は、観賞用としても重用されていたようですが、やはり食用として各地に流通していたようです。

 

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 そもそも「りんご」は、元々は、中国から、平安時代に日本に持ち込まれたと考えられており、中国では、新疆ウイグル自治区がある、中国北西部が、最古のりんご生産地とされているようです。

 

中国明朝時代(1518~1593年)に編纂された薬学書「本草綱目(ほんぞうこうもく)」には、「りんご」に関して、次のように紹介されているようです。

 

『 林檎一名來禽、言味甘熟則来禽也。 』

 

これは、日本語にすると、次の通りです。

 

『 林檎(りんきん)の果は味が甘く能く多くの禽(の意)をその林に来らしむ。故、来禽(らいきん)の別名がある) 』

 

先に、「ワリンゴ」の種類として「リンキ/リンキン」と言う種類がある事を紹介しましたが、この名称には、このような意味があったようです。

 

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 しかし、江戸時代末になると、日本にも「セイヨウリンゴ」が流入するようになったようです。

 

国内で、初めて「セイヨウリンゴ」が栽培されたのは、安政元年(1854年)、アメリカからもたらされた「アッフル」が、板橋にあった加賀藩下屋敷で栽培され、翌年に実を付けたので食べられた事が、当時の加賀藩士の記録「御参勤御供中日記」に残っているそうです。

 

この時には、藩主「前田斉泰(なりやす)」から、餅に塗って食べる様に指示されたと記録されているので、ジャムのようにして食べたと思われています。リンゴジャム ?

 

また、文久2年(1862年)、越前福井藩主「松平春嶽」が、アメリカ産のリンゴの苗木を入手し、江戸の巣鴨にあった福井藩下屋敷で栽培を始めた記録が、「越前松平試農場史」に残っているそうです。

 

 このような形で、「セイヨウリンゴ」が日本に持ち込まれたと考えられていますが、本格的に「りんご」が栽培され始めたのは明治時代以降です。

 

明治4年(1871年)、政府の命を受けた北海道開拓使次官「黒田清隆」等が、アメリカから「国光(こっこう)」等の75品種の苗木を持ち帰り、北海道七飯町(旧:七重村)にあった「七重官園」で栽培を開始したのが始まりとされています。

 

その後、明治7年(1874年)、内務省が、日本全国に苗木を配布した頃から、本格的に「りんご」の栽培拡がったそうです。

 

このため、日本国内の主な「りんご」の産地は、この「七重村」が、その起源となっているそうです。

 

また、日本で最初に栽培が始まった「セイヨウリンゴ」の一種「国光」ですが、紆余曲折があったようです。

 

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 「国光」は、前述の通り、アメリカから日本に持ち込んだ品種です。

 

このため、その名称も、当然英語で、本当の品種名、原名は「Ralls Genet(ラルス・ジュネ)」と言います。

 

何か、英語らしくない名称ですが・・・その通り、原産地はフランスです。

 

「Ralls Genet」は、フランス語の呼び方なので、アメリカでは英語風の「Ralls Janet」とか「Rawls Jannet」と呼ばれるようになったそうです。

 

そもそも「Ralls Genet」は、後に大統領となる「トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)が、親しかったフランス大使「エドモン=シャルル・ジュネ(Edmund Charles Genet)」から苗木をもらった事からアメリカで栽培が始まった品種です。

 

「トーマス・ジェファソン」は、もらった苗木をバージニア州アマースト郡のカレブ・ロールズ果樹園に託して、栽培と普及を図ったそうです。

 

そして、日本に渡った「Ralls Genet」ですが、原名は全く普及せず、栽培地域により、次のように呼ばれていたそうです。

 

・北海道      :49号

青森県      :雪の下

岩手県      :晩成子

山形県           :キ印

 

このため、明治27年(1894年)、仙台において「第1回りんご名称選定協議会」が開催されたそうですが、何故か、その結果に不満をもった津軽代表が会から脱退し、さらに独自の会を立ち上げ、名称の統一を妨害したそうです。

 

きっと、津軽の方々は、意味不明な津軽弁を使っているので、日本語が解らなかったのかもしれません。

 

その後、明治33年(1900年)、その前年に行われた、後の大正天皇となる皇太子「嘉仁親王」と九条節子とのご成婚の慶事にあやかり「国光」と言う名称に統一されたそうです。

 

明治時代に日本に持ち込まれた75品種には、「国光」以外、次の様な品種があり、それぞれ日本において有力品種となった物も数多くあったそうです。

→ ジョナサン(紅玉)、スミスズ・サイダー(柳玉)、ベン・ディヴィス(倭錦)

 

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 「国光」は、既に主力商品の座からは降りていますが、日本で広く愛されている「ふじ」の交配親に当たる品種です。

 

ちなみに、現在、市場に流通している「りんご」の多くは、「サンふじ」と呼ばれていますが、「ふじ」との違いは知っていますか ?

 

実は、「ふじ」も「サンふじ」も、同じ「ふじ」です。

 

それでは何が異なるのかと言うと、その栽培方法が異なるだけです。

 

「サンふじ」の「サン」は、お解りの通り、「太陽(Sun)」を意味しています。

 

 つまり、「サンふじ」は、太陽の光を一杯に浴びる「無袋りんご」と言う栽培方法で育てられ、「ふじ」は、途中から袋を被せた「有袋リンゴ」と言う栽培方法で育てられた「りんご」となります。

 

それでは、有袋と無袋とでは何が異なるのか、と言う話になりますが、詳細は割愛しますが、無袋の方が、見た目や触感が悪い反面、甘みが増すとの事らしいです。

 

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現在、「りんご」の品種は、全世界的にみると数千~10,000種類以上の品種があるとされておりますが、農林水産省に登録されている日本の品種は177種類で、その内、品種が維持されている物が85種類とされています。

 

多くの登録品種は、品種誕生年が古く、現在では、品種が維持出来ないのだそうです。

 

そこで、岩手県で栽培されている品種ですが、主に、次の様な品種が栽培されているそうです。

 

項番

品種

説明

1

大夢

宮古市を中心に盛岡市二戸市などで試験栽培。県オリジナルのリンゴ新品種。ふじとゴールデンデリシャスを交配。

2

はるか

ゴールデンデリシャスとスターキングデリシャス交配。平均糖度15度以上と甘みが強くシャキシャキした黄色いリンゴ。糖度や蜜入り指数が高い物は「いわて純情プレミアム冬恋」として販売。

3

紅いわて

早生種収穫以降で9月下旬に成熟する品種として開発。平成21年に品種登録。

4

さんさ

盛岡市郷土芸能さんさ踊り」から命名された品種。甘味と酸味のバランスが良い。

5

きおう

平成6年に品種登録された黄色いリンゴ。岩手県園芸試験場(現:岩手県農業研究センターで育成。

6

ジョナゴールド

気温差の大きい岩手の気候条件にマッチした品種。デザートや料理用にも最適なリンゴ。

7

ふじ

岩手の「ふじ」は酸味が少なく甘みが強いのが特徴。「江刺リンゴ」は全国有数のブランド。

 

先に、岩手県では、果物の中では「りんご」の生産が最も盛んと紹介しましたが、全国的に見ると、残念ながら、それほどでもなく、青森県、長野県、山形県に次ぐ4位で、実際の生産量としては、1位の青森県が約46万トンですが、その生産量と比較すると1/10以下となる約4万トンと、かなり少ない生産量となっています。

 

しかし、そんな中でも、こと「りんご」に関しては、盛岡市が購入金額、および購入数量とも全国一となっているそうです。盛岡市民が、どれだけ「りんご」好きか解ると思います。

 

さらに、全国的に人気のある「ふじ」ですが、その『原木』は盛岡市で保存されており、日本全国、および全世界に流通している「ふじ」に関しては、この盛岡で保存している『原木』の枝を接ぎ木して増やした木となっています。

 

また、岩手県では、昭和15年(1940年)からは、戦争の影響で一時中止した時期もあったようですが(1949年から再開)、毎年、皇室に「りんご」を献上しているそうです。

 

それでは最後に、りんご狩りができる場所を紹介しますが、岩手県では、多くの農家が「りんご」を栽培している関係で、「りんご狩り」が出来る農園も沢山あります。

 

前章「さくらんぼ」で紹介した「田屋果樹園」でも「リンゴ狩り」を実施していますので、再度、この果樹園を紹介します。。

 

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 ●田屋果樹園

 この果樹園は、「さくらんぼ」で紹介した」果樹園と同じです。

 

このため、場所等の情報は、「さくらんぼ」の章をご覧になって下さい。本章では、「りんご狩り」の仕組みだけを紹介します。

 

田屋果樹園では、毎年9月中下旬~12月下旬まで、「りんご狩り」が行えるようです。

 

「りんご狩り」を行いたい場合、事前予約制になっていますので、メール(メール・フォーム)、または電話等で問合せて下さい。

 

そして、「りんご狩り」ですが、40分で800円(3歳以上子供500円)となっているそうです。

 

こちらの果樹園では、次の「りんご」を栽培しているそうですが、「りんご狩り」では、どの種類の「りんご」が食べれるのかは解りませんでした。 → とき、ふじ、ぐんま名月、シナノゴールド

 

私は、これまで何度か「果物狩り」に行った事はあるのですが・・・「りんご」の様な大物の果物狩りを行った事がありません。

 

「サンふじ」は、東京のスーパー等では、シーズン中は1個100円、シーズンオフでも1個200円くらいで販売されています。

 

800円分食べるととなると、4個~8個程度、その場で食べる事になりますが・・・大人でも、「りんご」を8個も食べるのは至難の技だと思います。

 

と、こんな事ばかり考えているからダメなのだと思います。私は、常に、「元を取ろう!」と考えてしまうのが悪いクセです。

 

皆さんは、どうですか ?

■ブルーベリー

 次は、「ブルーベリー」を紹介します。

 

「ブルーベリー」も、岩手県では比較的多く栽培されている果物です。

 

特に、岩手県は寒冷地なので、冷涼な気候に適したハイブッシュ系と呼ばれる品種が、数多く栽培されているとの事です。

 

「ブルーベリー」は、さすがに「バラ科」ではありません。「ブルーベリー」は、「ツツジ科」に属しています。

 

元々、「ブルーベリー」は、南米原産とされており、その植物が、カリブ海の島々を経由して北アメリカに渡って進化し、現在の「ブルーベリー」になったと考えられています。

 

「ブルーベリー」には、6系統の種類があるそうですが、その内、食用となっているのは、下記3系統となっています。但し、細かな種類としては、数百種類にも及ぶそうです。

 

(1)ハイブッシュ系統

1)この系統のブルーベリーは、前述の通り、寒冷地向けの系統で、日本では、関東から北の地方で栽培されており、さらに次の3つのグループに分類されているそうです。何が違うのかに関しては、面倒なので今回は省略です。

・ノーザンハイブッシュ系

・サザンハイブッシュ系

・ハーフハイハイブッシュ系

2)元々自生していたものを、1906年に試験場に持ち込み、品種改良を加えたブルーベリーです。

3)ハイブッシュ系統のブルーベリーは「自家受粉」するので、単独でも栽培が可能です。

4)ハイブッシュ系統のブルーベリーは、栽培種として改良された品種です。

 

(2)ラビットアイ系統

1)この系統のブルーベリーは、温暖地向けの系統とされており、関東から南の地方で栽培されています。

2)1925年頃から品種改良が行われた種類です。

3)この系統のブルーベリーは、ハイブッシュ系とは異なり、「他家受粉」なので、収穫量を上げるには、二品種以上を栽培する必要があります。

4)ラビットアイ系のブルーベリーも栽培種です。

 

(3)ローブッシュブルーベリー

1)この系統のブルーベリーは野生種として、野に自生している品種です。日本では、ほとんど栽培されていません。

2)アメリカ北部、およびカナダに自生しています。

3)生食よりは、主にジャムやサプリメントの原料となっているそうです。

 

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先に、岩手県では、「ブルーベリー」が数多く栽培されていると紹介しましたが、実際には、生産量7位、約99トンで、シェアとしては約4%程度しか栽培されていません。

 

そして、生産量1位ですが、皆さん、何処だと思いますか ?  イメージとしては、やはり北海道ですよね。ところが、何と !  日本国内における「ブルーベリー」の生産量1位は「東京都」なのです。

 

「はあ!! 東京だ~!?」となるかと思います。

 

しかし、農林水産省による2015年の統計データによると、収穫量1位は東京で約313トン、2位は茨城で304トン、3位は長野で286トンとなっています。

 

そして、農作物なら常に収穫量1位の北海道ですが、これも何と!! 岩手県よりも少ない13位で60トンとなっています・・・以外ですよね。

 

それじゃ、「日本国内に流通しているブルーベリーは、ほとんどが東京産なのか ?」と言うと、それはまた別の話で、国内の収穫量が約2,547トン、輸入が1,832トンとなっていますので、約40%は、輸入に頼っている構図になっています。

 

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先に、東京の生産量が国内第1位であることは紹介しましたが、これは、昭和43年(1968年)、東京都小平市で本格的な栽培が始まった事に由来しているようです。

 

また、先にブルーベリーの系統の話において、日本では、ハイブッシュ系とラビットアイ系の2系統が栽培されている事を紹介しました。

 

そして、この2系統の「ブルーベリー」を、どちらも栽培出来るのが関東地方なのです。

 

このため、東京と始めとした関東地方において、「ブルーベリー」が盛んに栽培されています。ちなみに、関東1都6県における「ブルーベリー」の収穫量は次の通りです。

 

・東京都      :1位、313トン

・茨城 県      :2位、304トン

群馬県      :4位、276トン

・千葉県      :5位、134トン

・埼玉県      :6位、114トン

・栃木県      :11位、63トン

・神奈川県    :14位、57トン

 

神奈川県と栃木県は、何故か、余り「ブルーベリー」の栽培には力を入れていないようですが、それ以外は、3位に長野県が食い込んでいますが、全て上位にランクされているようです。

 

 まあ、栃木は、「ブルーベリー」よりも「イチゴ」ですからね。

 

そして、神奈川県は、「湘南ゴールド」と言う果物が生産量全国1位になっていますが・・・そんな果物知っていますか ?

 

「湘南」と言う言葉が付く様に、この果物は、神奈川県が、「今村温州」と言う「みかん」と、「黄金柑(おうごんみかん)」を交配して作った新品種らしいです。

 

そして、何故、神奈川県が生産量日本1位なのかと言うと、それは、「湘南ゴールド」は、神奈川県でしか生産されていないからです !!

 

ちょっと下らないオチになってしまいましたが、これが関東地方で「ブルーベリー」の栽培が多い理由のようです。

 

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私は、「ブルーベリー」に関しては、ジャム以外では余り食べた事が無いのですが、TV、特にBS放送で目一杯流れているCMでよく聞くのは、「ブルーベリーは眼精疲労改善に効果がある!!」と言うフレーズだと思います。

 

「ブルーベリー」の一部の品種には、「アントシアニン」と言う色素が多く含まれており、この「アントシアニン」が、眼精疲労に効果があると言われているようです。

 

この「ブルーベリーが眼精疲労に効果がある。」と言う説は、次の様な根拠の上に成り立っているそうです。

 

アントシアニンは、網膜上に存在する「ロドプシン」という光感知タンパク質の再合成に関与する。

・この「ロドプシン」が、分解/再合成を繰返すことで、ヒトは「物が見える」という状態を維持する。

・このため「アントシアニン」を意識的に摂取することで、眼の健康状態を維持できる。

 

この三段論法だけを聞けば、確かに「ブルーベリー」は、眼精疲労に効果がありそうな気がしてきます。

 

しかし、現在、サプリメントとして利用されているのは、「ブルーベリー」の一種とされる「ビルベリー」と呼ばれるものですが・・・

 

 国立健康・栄養研究所の調査によると、「ビルベリー」が、「高血圧網膜症」に有効性があるとの研究成果が紹介されていますが、「眼精疲労」に効果があるという研究結果は見つかっていないとされています。

 

また、「高血圧網膜症」に有効性があると言う研究結果に関しても、他の食品との比較研究という観点では懐疑的な立場を取っているそうです。

 

つまり、「眼精疲労に効果がある。」と言うのは、サプリメント使用者による、個人的な感想が多くを占め、科学的根拠は皆無との事です。

 

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さらに、このような「眼精疲労への効果」説が取り沙汰される前にも、次の様な話が拡がっていたとも伝わっています。

 

 『 第二次世界大戦中のイギリス空軍の夜間迎撃戦闘において、ジョン・カニンガムと言うパイロットは、夕暮れでも物がはっきりと見えたのでドイツ空軍機を何機も撃墜出来た。そして彼の好物がブルーベリーの一種であるビルベリージャムだった。』

 

このような逸話、現在で言うところの「都市伝説」が伝わっていたそうです。

 

しかし・・・実際の所、ジョン・カニングスの好物は、「ビルベリー」ではなく「にんじん」であると、イギリスの新聞「テレグラム」に記載されているそうです。

 

何時、誰が「にんじん(Carrot)」を「ビルベリー」に摩り替えたのかは分かりませんが、この様な都市伝説が、まことしやかに語り継がれ来たようです。

 

 そして、さらに、現在においては、この「ジョン・カニンガム = ヒーロー」説自体も、イギリス空軍が作った「フェイク・ニュース」だった事も明らかになっているようです。

 

当時、イギリス空軍では、デ・ハビランド社製「モスキート」と言う、木製の戦闘爆撃機の運用が始まったのですが、実は、このモスキートには、最新型の高性能レーダーが搭載されていたそうです。

 

そして、この高性能レーダーのお陰で、夜間迎撃戦闘では、ドイツ軍に対して連戦連勝となっていたそうです。

 

このため、イギリス空軍では、この最新レーダーの件は、最重要秘密となっており、この秘密を隠蔽するために、架空のヒーロー「猫目のカニンガム(Cat's Eyes Cunningham)」を作り出した事が明らかになっています。

 

但し、「ジョン・カニンガム」氏自体は実在の人物で、イギリス空軍のエース・パイロットで、最後は大佐として退役し、その後はデ・ハビランド社の取締役になった人物です。

 

そして、余談ついでに紹介しますと、彼は、大の猫嫌いで、「猫目のカニンガム」と言うアダ名も、大嫌いだったようです。

 

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それでは、「ブルーベリー」の最後に、盛岡市で、「ブルーベリー狩り」が出来る果樹園を紹介します。

 

 ●松本りんご園

 本章で紹介する果樹園は、盛岡市黒川、国道396号線、旧釜石街道から、少し山側に逸れた山中にあります。

 

前章で紹介した田屋果樹園の少しだけ遠野側、奥の方に位置しています。

 

この果樹園では、果樹園内に小ぢんまりとしたレストランと言うかカフェ「mi cafe」を併設しています。

 

私も、去年、初めてこのカフェを訪れてランチを食べました。ちょっと味は濃い目だったような感じがしましたが、美味しかった覚えがあります。

 

 そして、この果樹園では、名前の通り「りんご」の栽培と販売を行っているのですが、初夏には「ブルーベリー狩り」を行う事が出来ます。

 

こちらの「松本りんご園」では、約10種類の「ブルーベリー」を栽培しているそうです。

 

開始時期は、盛岡近郊では一番早く、今年は6/29から「ブルーベリー狩り」を開始したようです。

 

下記に、情報を掲載しますが、詳しいことは、松本りんご園に直接問い合わせて下さい。

 

【 松本りんご園のブルーベリー狩り 】

・住所       :岩手県盛岡市黒川4地割3

・電話       :019-696-2531

・期間       :6/29~7月末

・営業時間   :9:00~12:00

・定休日     :毎週水曜日、第2土曜・日曜

・予約       :必要

・料金       :入園料大人800円(子供500円)

・サービス   :ブルーベリージュース(ミニカップ)

・駐車場     :駐車場2箇所、約20台

・注意事項   :畑は傾斜面にあり、ヒールやサンダルはNG、日よけ/虫除け対策を。

・URL        :https://micafe.jp/%e6%9d%be%e6%9c%ac%e3%82%8a%e3%82%93%e3%81%94%e5%9c%92/

  

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 今回は、「岩手の食材」の第1弾として、次の果物の情報を紹介しましたが如何でしたか ?

 

 

岩手県は、その面積では、北海道に次ぐ大きさで、よく「岩手県1県と四国4県と同じ面積」と言われるほど広大な面積があります。(※実際は四国の方が3万㎡程大きいのですが・・・)

 

このように広大な面積を持つ岩手なので、農産業は盛んだと思われていますが、実は、そんな事はありません。

 

県を南北に貫くように奥羽山脈北上山地と言う2つの大きな山が存在する影響で、そのほとんどが「山」となっていますので、耕作地を確保するのも、人間が住むのも難しい地形となっています。

 

実際、人間が住める「可住地面積割合」が24%しか無く全国40位となっており、その逆に「森林面積」が75%と、全国8位となっています。

 

また、この2つの山脈/山地がある影響で、南北の移動は新幹線や高速道が発達したので比較的容易ですが、東西の移動が不便極まりないのです。

 

東に行くにも西に行くにも、山を越える必要があるので、道は狭く、また曲がりくねっており、さらに高低差があるので、本当に大変です。

 

このため、今回紹介した果物に関しても、「りんご」と「ラズベリー」の収穫量が、やっと全国4位に入る程度となっています。

 

また、地形以外、気温が低い事も農作物に悪影響を与えています。弊社ブログで何度も紹介していますが、本州で一二を争う寒冷地が、数箇所もあります。

 

全国版のニュースでも、北海道を除く本州で最低気温を記録したと言う話題では、必ずと言って良い程、、次の地名が出てきます。

 

盛岡市「藪川(やぶかわ)」、宮古市「区境(くざかい)」。ここは、本当に寒く、南極じゃないかと思うくらいです。

 

また、寒さついで言うと、雪の量も半端じゃありません。

 

まあ、現在は、盛岡市内中心部は、それ程じゃありませんが、岩手山周辺と秋田県に隣接した西和賀地方は、とんでもありません。

 

よくこんな所に人間が住めるものだと感心してしまいます。まあ、そのお陰でスキー場は繁盛しているのですが・・・

 

とまあ、そんな岩手県ですが、農作業に従事している方は、一生懸命、果物を生産しています。そんな方達を応援したいと言う気持ちもあり、今回、岩手の果物を紹介した次第です。

 

と、言いつつ、子供の頃は、そんな方々の苦労など全く歯牙にも掛けず、「さくらんぼ」やら「梨」やら、その辺にある果物を勝手に食べたりしていましたが・・・本当に申し訳なく思っています。

 

出来れば、昔の罪滅ぼしではありませんが、季節毎に、旬の果物が実っている果樹園を訪れて「果物狩り」をしたいと思っています。

 

次回は、次の果物を紹介します。

 

  • すいか
  • なし
  • いちご

 

それでは次回も宜しくお願いします。

 

以上

 

【 画像・情報提供先 】

Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)

・いわて食材倶楽部(https://www.iwate-syokuzaiclub.com/)

・果物ナビ(https://www.kudamononavi.com/)