ついに本性を剥き出しにしたMicrosoft 〜 殿様には従うしかないのか ?


Microsoft社は、2018年2月1日に、自ら開設している「Windows Blogs」というブログに、「Change to Office and Windows servicing and support」と題した記事を投稿しました。

このブログ、題名を日本語に訳すと、そのまま「OfficeとWindowsに対するサービスとサポートの変更」となりますが、この記事の内容が大きな反響を呼んでいます。

今回、久しぶりにMicrosoft関連の話題を取り上げたいと思いますが、遂に、Microsoft社は、その「守銭奴」的な本性を剥き出しにした事が解りました。

この記事を読んだ時には、「本当に、そこまでやるのか ? 」と思ったのですが・・・その後に配信された各種記事を読むと、どうやら、Microsoft社は本気のようです。

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他方、同じくMicrosoft社は、2018年4月30日に、同ブログに、「What’s new in the Windows 10 April 2018 Update」を言う記事を投稿し、また恐怖の「メジャー・アップデート」が始まった事を通告しました。

前回のメジャー・アップデートは、下記の過去ブログで紹介した通り、2017年10月17日ですから、約6ヶ月、ほぼ予定取り「Semi-Annual(半期)」で提供された事になります。

★過去ブログ:Fall Creators Update 〜 今度は何が・・・

ちなみに、去年のMicrosoft社のリリースでは、「今後のメジャー・アップデートは、3月と9月の半期毎に提供する」と報道していましたので、当初の予定よりは、2ヶ月程度、遅れた事になるかとは思われます。

本ブログは、2018年6月に作成していますので、該当メジャー・アップデートがリリースされてから、既に1ヶ月以上経過しています。

リリース当初は、これも、毎度同じ事の繰り返しなのですが、小さなバグは数知れず、大きなバグは10個程度報告されています。

このメジャー・アップデート、一部マニアの間では、「Windows 10 Spring Creators Update」と言う名称で紹介されて来ましたが、正式名称は、前述の通り「Windows 10 April 2018 Update(バージョン1803、ビルド17134.1)」となったようです。

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そこで、今回、次の2点を紹介しようかと思ったのですが・・・

●信じられないOffice2019の提供方法
●「Windows 10 April 2018 Update」について

どちらも容量が大きくなってしまったので、今回は、Office関連の話題だけを紹介し、次回のIT系情報で、「Windows 10 April 2018 Update」に関する情報を提供します。

Windows 10 April 2018 Update」に関する話題は、このブログが公開された時には、既に賞味期限が切れている状況だと思いますが、ひょっとしらた、まだ自身のPCに、このメジャー・アップデートを適用していない方も居るかもしれません。

そのような方の参考になれば幸いです。

それでは今回も宜しくお願いします。

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Windows 10サポート期間の短縮


前述の通り、Microsoft社は、自社ブログで【 爆弾 】を投下した模様です。

この記事は、下記何れかのブログで閲覧可能となっています。

●Office Blog(https://blogs.technet.microsoft.com/microsoft_office_/)
Windows for IT Pros(https://blogs.technet.microsoft.com/windowsitpro/)

この記事では、「OfficeとWindowsに対するサービスとサポートの変更」と言う題名の通り、まずは、「Windows 10のサービス提供期間を延長する」と言う、利用者が喜びそうな話題を掲載しています。


Microsoft社は、2017年4月に、メジャー・アップデート「Creators Update」のリリース発表会の席において、メジャー・アップデートの名称、適用時期、および各メジャー・アップデートで提供したサービスのサポート期間について、次の様になる旨を発表していました。

対象 名称 適用時期 サポート期間
一般ユーザー Semi-Annual Channel(Targeted) 3月/9月 18ヶ月
ビジネスユーザー Semi-Annual Channel(SAC) Targetedリリース後約4ヶ月後 14ヶ月
適用無しユーザー Long Term Servicing Channel(LTSC) 適用無し 再インストール

本内容の詳細に関しては、前にも掲載していますが、下記の過去ブログに掲載しておりますので、そちらもご覧頂ければと思いますが・・・この発表自体も、良く考えれば、トンデモナイ内容です。

★過去ブログ:Fall Creators Update 〜 今度は何が・・・


つまり、OSは1種類の「Windows 10」でも、メジャー・アップデートを適用した後は、18ヶ月、1年と6ヶ月しかサポートしない、と宣言している訳です。

従来、Microsoft社は、製品のライフサイクルに関しては、「ライフサイクル・ポリシー」と題して、各製品に関しては、次の様な形でサポートすると宣言していました。

●メインストリーム :製品発売後5年間サポート。新機能追加、脆弱性修正、それ以外のサポート
●延長サポート :メインストリーム終了後5年間。脆弱性のみサポート

要するに、製品発売後、10年間はサポートするとしていました。

ところが、上記2018年4月の発表では、「Windows 10」に関しては、メジャー・アップデート適用後は、18ヶ月しかサポートしないと言っている訳です。

それでは、この「サポート」とは何を意味しているのか ? と言うと、当然、次の3種類のサポートです。

●機能追加
脆弱性修理
●上記以外サポート

何か、話がゴチャゴチャして、「煙に巻かれた」状態になっていますが、「Windows 10」に関しては、従来提唱してきた「ライフサイクル・ポリシー」を適用しない事に決めてしまったようです。

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いつも感じているのですが、Microsoft社は、プレスリリース時、2つ以上の事を同時に発表している様に思えます。

そして、この発表では、片方は、ユーザーが喜びそうな内容を大々的に発表し、もう片方では、ユーザーが不利になる事をサラッと発表して片付けているように思えます。

何か、「良い事と悪い事、どっちを最初に聞きたい ? 」みたいな感じです。

話は、ちょっと逸れますが、「良い事と悪い事」の伝え方は、「誘導心理学」とか「人心操作術」とか呼ばれる心理学手法に分類されているようです。

この手法では、相手に物事が伝わる度合いと、心に残る度合いを分析しています。

そして、この手法によれば、「悪い事を最初に伝えた方が、相手の心に残る。」としていますので、その点、Microsoft社は失敗と言えます。

例えば、次の二人の人物紹介文を見て、どちらかと付き合わなければならない場合、どちらと付き合いたいと思いますか ?

(1)佐藤さんは、良い人だけど、ケチ
(2)鈴木さんは、ケチだけど、良い人

普通、このケースでは、「鈴木さん」を紹介する最後のフレーズ、「良い人」の方が印象に残ると思いますが、このような効果は、別名「親近化効果」と呼ばれる心理学手法です。


他方、心理学では、情報が複数の場合、および大量の情報を伝える場合、最初に伝えた情報の方が、印象に残りやすいと言う「初頭効果」と言う手段も紹介されています。

Microsoft社の場合、恐らくは、この「初頭効果」を狙ってプレスリリースを発表しているのだと思います。

特に、最初に、ユーザーが喜ぶ情報を大量に伝え、最後に、ユーザーが不利になる情報を軽く提供した場合、どうしても最初に聞いた情報だけが、頭に残る事になると思います。

例えば、

(1)佐藤さんは、美人、おしゃれ、真面目、頑固、嫉妬深い
(2)鈴木さんは、嫉妬深い、頑固、真面目、おしゃれ、美人

あなたは、「佐藤さん」と「鈴木さん」の、どちらとお付き合いしたいと思いますか ? 私なら、両方の方とお付き合いしたいと思いますが、普通、「佐藤さん」の方が、好印象になると思います。

これを「初頭効果」と言いますが、本当は、この「初頭効果」と「親近化効果」を組み合わせた手法が、一番効果的なのだそうです。

つまり、最初と最後に、印象に残してもらいたいフレーズを組み込む事で、相手をコントールする事が出来る様になると言う事です。

相手に物事を伝えて印象に残そうと思ったり、何かを行わせたりしたい場合、3つ以上のフレーズを用い、最初と最後に重要なフレーズを組み込む事が重要なのです。

→ 田中さんは、美人、おしゃれ、真面目、頑固、嫉妬深い、ケチだけど、良い人

もう、「田中さん」は、「美人」で「良い人」にしか思えなくなったはずです。

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さて、話を元に戻しますと、この様に、Microsoft社は、「Windows 10」に関しては、さりげなくサポート期間を短縮したのですが、今回、ユーザーからのフィードバックを受けて、6ヶ月間、サポート期間を延長した事を発表しました。

これだけ聞けば、何か、Microsoft社は、とてもユーザー・フレンドリーな会社の様に感じますが・・・対象となるエディションは、下記の2つのみです。

●Enterpriseエディション
●Education エディション

上記2つのエディションのバージョン1607、1703、および1709に関してのみ、サポート期間を、それぞれ6ヶ月間延長すると言う事です。

つまり、今回のサポート延長は、一番価格が高い「Enterprise」と、一番利用者が少ない「Education」だけに関してサポート期間を延長するが、それ以外、一番利用者が多い、「Home」と「Pro」は適用外になると言う事です。

本当に、相手の言うことは、最後まで、ちゃんと聞かないと、何を言っているのか解らないと言う、良いお手本のようなプレスリリースです。

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■Office2019の利用環境に関わる制限

さて、肝心の「Office2019」に関するプレスリリースですが・・・

Microsoft社は、今年、2018年度の下期に発売される予定の「Office2019」に関しては、下記OSでしか稼働できないと言う「爆弾」発表をしました。


●年2回更新のリリースモデル「Semi-Annual Channel」(SAC)で提供されるサポート期間中のWindows 10リリース
●2018年リリースの「Windows 10 Enterprise LTSC 2018」
●2、3年おきに更新するリリースモデル「Long-Term Servicing Channel」(LTSC)で提供される、サーバーOS「Windows Server」の次期リリース

つまり、「Office2019に関しては、Windows 10でしか稼働出来ない。」と言う「爆弾発言」をしています。

「はぁ !? それじゃWindows 7は、どうなるんだよ !!」となりますが、当然、

Windows 7ではOffice2019を使う事は出来ない 】

と言う事になるかと思います。あくまでも予定ですので・・・

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Windows 7」は、2020年1月に延長サポートが終了しますので、Office2019発売後、約1年間は普通に使用する事は出来ます。

それでも、Microsoft社は、Office2019では、「Windows 7」を対象外として切捨ててしまったようです。何と、ユーザーフレンドリーな企業なのでしょうか !!

Windows 7」では、Office2019が使用出来ないと言う事も問題ですが、それ以上に問題なのは、2023年1月に延長サポートが終了する「Windows 8.1」です。

Windows 7」は、前述の通り、Office2019の発売から、延長サポート終了まで1年しかありませんが、「Windows 8.1」の場合は、Office2019の発売から、延長サポート終了まで5年間もあります。

それにも関わらず、「Windows 8.1」でも使用出来ないとは・・・・

今後、Microsoft社に関しては、もうメーカー保証も何も、信用出来ない企業になってしまったのではないかと危惧してしまいます。

更に、このブログでは、Office自身に関しても、サポート期間を変更すると宣言していますので、この点に関して、次章にて紹介します。

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■Office2019サポート期間の変更

Microsoft社では、自社製品に関しては、前述の通り、従来は、10年間のサポートを保証して来ました。

→ メインストリーム5年 + 延長サポート5年 = 10年間のサポート

ところが、Office2019に関しては、次の通り、サポート期間を短縮すると明言しています。

→ メインストリーム5年 + 延長サポート2年 = 7年間のサポート

この点に関して、Microsoft社は、下記の様に、今回発売するOffice2019に関しては「ライフサイクル・ポリシーの例外」としています。

Microsoft will provide 5 years of mainstream support and approximately 2 years of extended support for Office 2019 apps and servers. This is an exception to our Fixed Lifecycle Policy to align with the support period for Office 2016. Extended support will end 10/14/2025. 』

これを日本語にすると、

Microsoftでは、Office 2019 に関しては、5 年間のメインストリーム サポートと約 2 年間の延長サポートを提供する予定です。これは固定ライフサイクル ポリシーの例外として提供されるもので、Office 2016 のサポート期間と一致するものです。Office2019の延長サポートは、2025年10月14日に終了します。 』

・・・もう、トンデモありません。



そして、その理由としては、Microsoft社は、次の様な理由を挙げています。

『 最新のソフトウェアは、作業効率を最大限に引き上げる新機能だけでなく、新しい効率的な管理ソリューションと包括的なセキュリティ アプローチも提供します。リリースから 10 年以上が経過し、このイノベーションが提供されていないソフトウェアでは、セキュリティを確保することが困難で、生産性も低くなります。変化のペースが速くなるにつれて、ソフトウェアを最新のリリースに移行することがきわめて重要になっています。 』

何か、ゴチャゴチャと屁理屈を並べ立てていますが、要は、昔と違い、セキィリティを維持するために、同一製品を10年以上もサポートし続けるのは難しいと言うことらしいです。

このため、今回は、例外的に、サポート期間を3年も短縮すると言っている訳ですが・・・今後も、ライフサイクルを短縮するのか否かに関しては、明言を避けています。

が・・・今回は例外としても、世間と言うか、各国政府から何もお咎めが無ければ、恐らくは、次回以降も、「この例外」を適用するのだと思います。

そして、気が付けば、いつの間にか「ライフサイクル・ポリシー」も、セキュリティの維持を理由に変更され、サポート期間を7年間にする事が当たり前にようになってしまうのだと思います。

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前述の通り、今回、Microsoft社は、サポート期間を「10年」から「7年」に短縮すると宣言しています。

「これは何を意味するのか ?」、と言う点を、よく考えてみて下さい。単純に、「サポート期間が減らされる」だけではありません。

パッケージ・ソフトウェアのサポート料金に関しては、後で詳しく説明しますが、Microsoft社の製品に関しては、製品価格にサポート料金も含まれています。


そして、このサポート期間が減ると言うことは、(まだOffice2019の販売価格は発表されていませんが)実質的な値上げを意味しています。

つまり、例えば、サポート期間1年で、かつサポート料金込みで、10,000円で販売しているソフトウェアに対して、サポート期間を6ヶ月に減らす、と言う事ですから、これは値上げに他なりません。

前述の様に、サポート期間の短縮と言う事の裏には、このような意味も込められている事を理解して下さい。

しかし、上記の表をよく見ると、Office2016とOffice2019が、同じ時期に延長サポートが終わると言うのも変な感じがします。

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■Office2019提供方法の変更

そして、Microsoft社は、更なる「爆弾」も、サラッと投下しています。

The Office 2019 client apps will be released with Click-to-Run installation technology only. We will not provide MSI as a deployment methodology for Office 2019 clients. We will continue to provide MSI for Office Server products. 』

このように、Office2019に関しては、「MSI形式での提供は行われない様です。」と言っても、大方の人は、意味不明かもしれませんので、上記の投稿内容を、解かりやすく説明すると共に、その問題点までも説明すると、次の通りです。

●Office2019のクライアント版は、「クイック形式」と呼ばれているインストール方式でしか提供しない。
●Office2019のクライアント版は、「MSI形式」とも呼ばれる方法では提供しない。
●但し、サーバー製品群に関しては、引き続き「MSI形式」でも提供する。


つまり、Office2019のクライアント版に関しては、従来「MSI形式」とも呼ばれている「Windowsインストーラー」を用いた方法での提供は行わず、クラウド環境からストリーミング形式で配信する「クイック形式」でのみ提供するとしています。

そして、この提供方法が何を意味するのか、と言うと、次の通りです。

現在、Office製品に関しては、次の2種類の方法で購入することが出来る仕組みを提供しています。

●永続ライセンス版 :一度購入してPCにインストールすれば、PCが壊れるまで使い続ける事が可能
●年間ライセンス版 :1年間しか使用出来ない。1年毎にライセンス料を支払う。


ところが、次期Officeとなる「Office2019」においては、上記「永続ライセンス」を廃止し、年間ライセンス版しか提供しないとしています。

「それで何が困るの ?」と言うことですが、「年間ライセンス」を購入すると、1度、Officeのライセンスを購入さえすれば、ほぼ永久に、PCが壊れるまで、該当バージョンのOfficeを使い続ける事が可能です。

しかし、「年間ライセンス」になれば、毎年、Microsoft社に、Officeの使用料金を払い続けなければならなくなってしまいます。


現在、含まれるアプリケーションの種類が異なりはしますが、永続版と年間版とでは、次の価格で販売されています。(※永続ライセンスは「Office Home & Business 2016」)


●永続ライセンス : 37,584円
●年間ライセンス : 12,744円

これを単純に比較すると、年間ライセンスの約3年分の費用を支払えば、ほぼ永久にOfficeを使い続ける事が可能になる、と言う事を意味しています。


もちろん、年間ライセンスにも、次の様なメリットがあります。

●常に最新のバージョンが使用出来る
●全てのOfficeアプリケーションを使用する事が出来る

しかし・・・次のような、より重要な問題が発生します。

●勝手に最新Officeになると、非互換により、せっかく作ったマクロや関数が使えなくなる。
●全く使わない、余計なOfficeアプリのために無駄なお金を払いたくない。


現在では、上記のメリット/デメリットを、利用者自身で判断し、利用環境や利用目的に合わせて、自由に選択して購入する事が出来たのですが、Office2019からは、この購入の選択権が無くなってしまいます。

Microsoft社は、何故、このような理不尽な行動を取るのか ? と疑問に思う方が沢山いると思います。

しかし、それは、パッケージ・ソフトウェアの性質を理解していないからです。

パッケージ・ソフトウェアの性質や問題点に関しては、次章を参考にして下さい。

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■パッケージ・ソフトウェアの性質とは


私のように、過去にパッケージ・ソフトウェアを開発/保守していた経験がある人間であれば、パッケージ・ソフトウェアに対する保守サポートの重要性や、その問題点や難しさを容易に想像出来ます。

パッケージ・ソフトウェアは、ソフトウェアを企画して開発し、それを販売して会社に利益をもたらす事も大変ですが、実は、それ以上に、面倒な問題があります。それは・・・

●一度、あるバージョンをリリースしたら、利用者が存在する限り、そのバージョンをサポートし続けなければならない。
●サポートが続く限り、該当バージョンに関する全ての技術資料を保管して、なおかつ最新状態に更新し続けなければならない。
●該当バージョンの保守が行える人材を確保し続けなければならない。

パッケージ・ソフトウェアは、販売し続ける事も大変なのですが、それ以上に、バージョン毎に、製品を保守し続ける事が非常に大変になります。

このため、Microsoft社では、自社製品に対して、「ライフサイクル」と言う名称を用いて、保守サポートの仕方を、利用者に保証して来ました。

ソフトウェアの利用者は、メーカーから、サポート保証があるので、安心してソフトウェアを購入して使用します。

これは、ソフトウェアに限らず、全ての工業製品や電化製品も同様です。メーカー保証が無い製品など、誰も購入しません。

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他方、ソフトウェアに関しては、保守サポートを行う事を目的に、サポート費用を徴収しているケースもあります。

弊社なども、お客様から要請があれば、サポート費用を頂いた上で、開発して納品したソフトウェアの保守を行っています。


私は、ソフトウェアを含む、全ての製品には、「社会的責任」があると思っています。

それは、一度販売して市場に出回った製品に関しては、それを使い続けてくれるお客様が存在する限り、出来る限りサポートし続けなければならない、と言う考えです。

しかし、それにも限界はあります。

ソフトウェアの場合、PCやサーバー等、稼働環境が異なれば、サポート出来なくなります。工業製品や電化製品にも、耐用年数があります。

このため、物事には全て限りがあるように、ソフトウェアにも、いつかはサポート出来なくなることはありますが、出来る限りサポートは続けたいと思っています。

それでは、Microsoft社のOfficeは、サポート費用は徴収していないので、サポートしなくても良いのではないか ? と言う疑問もあります。

これは、ソフトウェアに対するサポート費用を、事前に徴収するか、後から徴収するかの違いです。

弊社のような場合は、「サポート費用の後払い」となり、Microsoft社の場合は、「サポート費用の前払い」となります。

Microsoft社のように、ある程度、売上げ規模が分かれば、最初から製品価格にサポート必要を含ませる事も可能ですが、弊社のような零細企業では、個別に対応せざるを得ないのが実情です。

IT業界では、慣例的に、製品価格の15%をサポート料金してきた歴史がありますので、前述のOfficeであれば、全くの推測になってしまいますが、それぞれ、サポート料金は、下記の通りなのかもしれません。

・永続ライセンス(税込) : 37,584円 → サポート料金、約4,500円
・年間ライセンス(税込) : 12,744円 → サポート料金、約1,500円

「たった4,500円でサポートしてくれるんだ !」と思うかもしれませんが、利用者が1億人もいれば、それだけでも、トンデモナイ金額になります。4,500億円〜

弊社も、これだけのサポート料金があれば・・・

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と言う事で、話が、また脇に逸れてしまいましたが、過去にリリースしたバージョンをサポートし続けると言う事は、非常に大変な事なのです。

パッケージ・ソフトウェアをサポートし続けるには、人、場所、費用・・・非常の多くのリソースが必要になります。

このため、パッケージ・ソフトウェアを販売している企業では、あの手、この手を用いて、利用者に、古いバージョンを捨て去ってもらう努力をしています。

私が、開発/販売していたパッケージ・ソフトウェアの場合、「西暦2000年問題」と言う好機があったので、その時点で、全てのユーザーが、古いバージョンを捨て去り、新しいバージョンに切り替えてもらう事が出来ました。

しかし、このパッケージ・ソフトウェアも、「2000年対応版」にバージョンアップして既に20年近くが経過し、さらに新しいバージョンをリリースしたようですが、どうなっている事やら・・・

Microsoft社の様に、最初から、

『 このパッケージ・ソフトウェアは、10年間しかサポートしません。それでも良ければ購入して下さい。 』

と言えれば、良いのですが・・・普通のソフトウェアで、こんな事を最初に言ったら、誰もソフトウェアを購入してくれなくなってしまいます。

こんな事を最初から言えるのは、MicrosoftAppleIBM等の、本当に大企業ばかりだと思います。


このように、Microsoft社も、過去のOSやOfficeを、どんどん捨て去り、新しいバージョンの開発に、大事なリソースを活用したいと思うのは、当然と言えば、当然の行為なのです。

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今回、「ついに本性を剥き出しにしたMicrosoft 〜 殿様には従うしかないのか ? 」と題し、Microsoft社の殿様商売のやり方を紹介して来ましたが、如何でしたか ?

Windows 10サポート期間の短縮
●Office2019の利用環境に関わる制限
●Office2019サポート期間の変更
●Office2019提供方法の変更
●パッケージ・ソフトウェアの性質とは

何か、「Bill Gates(William Henry Bill Gates III)」氏、そして「Steven Ballmer(Steven Anthony Ballmer)」氏も会社を去り、現在のインド人が三代目のCEOに就任してから、余計に、Microsoft社の「殿様商売」が強引になってきた感じがしてなりません。

2014年2月から、三代目CEOとして、インド人の「サティア ナデラ(Satya Nadella)」氏が就任していますが、彼がCEOになってからというもの、Microsoft社の業績は向上しつつあるようですが、これも冷徹なビジネスによるものだと思ってしまいます。

特に、WindowsとOfficeに関しては、ライセンス体系を、パッケージ型からサブスクリプション型、つまり売り切りではなく、毎年、ライセンス費用を支払わなければならない方式に変えた事が利益向上に繋がったのではないかと思います。

今年の下半期に発売されるOffice2019に関しても、売り切り方式となるパッケージ型の販売方式ではなく、毎年ライセンスを購入しなければならない「サブスクリプション型」にする事が決定しているようです。

さらに、Offie2019を、「Windows 7」、および「Windows 8.1」で稼働出来ない製品にする事で、全OSを、「Windows 10」に切り替えさせるための下準備を整えようとしています。

つまり、私の考えでは、今後発売するOffice製品に関しては、「Windows 10」だけでしか稼働出来ないようにする事で、利用者が、「Windows 7」や「Windows 8.1」を使い続ける事が出来ない仕組みを構築しようとしているのだと思います。

「Office2019」が、「Windows 10」でしか稼働出来なければ、「7」や「8.1」を使い続ける人は、大幅に減ると思います。

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まあ、正直な所、未だに「Window XP」や「Office2003」を使用している企業を見ると、この会社は、大丈夫なのだろうか ? と心配してしまう事もあります。

古いOSやツールを使い続けて、それがマルウェアに感染し、重要データが消されてしまったら、どうやってビジネスを続行するのか考えないのだろうか ? と企業トップの行動を疑ってしまいます。

この点だけにフォーカスをすれば、Microsoft社の行動も正しいものだとは思えるのですが・・・

何か、人間として、Microsoft社の行動が、腑に落ちないのは、私だけなのでしょうか ?

今回は、Windows OSとOfficeの変更点だけを紹介しました。

次回は、「Windows 10 April 2018 Update」を紹介したいと思いますが、Office2019に関しても、何か機能の変更点が判明すれば、合わせて紹介したいと思っています。


それでは、次回も宜しくお願いします。

以上

【画像・情報提供先】
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
・誘導心理学(http://www.sho0726.com/)
・Office Blog(https://blogs.technet.microsoft.com/microsoft_office_/)
Windows for IT Pros(https://blogs.technet.microsoft.com/windowsitpro/)