近頃のマイクロソフト(後半) 〜 2017年前半の振り返り


前回の「IT系のお役立ち情報」では、「近頃のマイクロソフト(前半) 〜 2017年前半の振り返り」として、次の情報を紹介致しました。

Windows メジャー・アップデート「Creators Update」の結果と現状
●「Windows Vista」の延長サポート終了と今後の流れ
●新OS「Windows 10 S」の紹介


★過去ブログ:近頃のマイクロソフト(前半) 〜 2017年前半の振り返り

今回は、後半部分として、次のような項目を紹介したいと思います。


【 第二回目 】

●新型「Surface」の紹介
●「ソフトウェア資産管理」の概要と、その対応策の紹介
●補足「ソフトウェア資産管理(SAM)とは」



それでは今回も宜しくお願いします。


以上


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■新型「Surface」の紹介


さて、最初は、「Surface」関連の情報を紹介したいと思います。


まずは、前回ブログで紹介した「Windows 10」の新エディション「Windows 10 S」に登場した「Surface Laptop」から紹介したいと思いますが・・・


何の事はない。これも、前回(20170610.html)記載した通り「Chromebook」のパクリで、「Windows 10 S」エディションのOSを搭載したノートPCを、「Surface Laptop」と言う製品名で発売したに過ぎません。


このPCは、日本では6/15から予約受付を始め、今月の20日からの発売予定となっています。


前回の説明で、Microsoft社のパートナー企業が発売する「Windows 10 S」搭載PCに関しては、北米市場価格で189ドル(21,000円)程度とお伝えしました。


Chromebook」が20,000円程度ですから、パートナーが発売するPCに関しては、まあ妥当な値付けだと思います。


しかし・・・この「Surface Laptop」に関しては、下位モデル「126,800円」〜上位モデル「146,800円」と、とんでもなく高額になっています。


機能限定OS「Windows 10 S」が搭載されて、この価格設定で、一体、誰が購入するのでしょうか ?!


OSは、上記の通り、当初は「Windows 10 S」が搭載されていますが、年内は無償で「Windows 10 Pro」への切り替えが可能で、それ以降は有償となるそうです。


有償となった場合の切り替え価格に関しては、日本での価格は未定のようですが、アメリカの場合は「49ドル」となっているそうです。(※6月1日付けで約5,640円)


年内は無償で「Windows 10 Pro」にアップグレード出来るなら、最初から同じ性能で安価となる、「Surface Pro」を購入するのが普通だと思います。


本ブログ執筆時点での価格/性能を簡単に比較すると、次の通りです。



Surface Laptop :Core i5、SSD128GB、RAM4GB → 価格126,000円
Surface Pro :Core i5、SSD128GB、RAM4GB → 価格111,000円


この価格差「15,000円」は、「Surface Laptop」の方が、バッテリー駆動時間が「1時間」長いので、その影響かも・・・と考えるかもしれませんが、恐らくは、カバーの影響だと思います。


Surface Pro」にカバーやペンを付けると、「139,800円」になってしまいます。


それでは、現時点でのスペックや価格を紹介します。当然、搭載チップやSSD/メモリ容量により価格が異なりますが、日本でのスペックは、下表の通りとなっているようです。

CPU インテル Core i5-7200U インテル Core i7-7200U
SSD 128GB 256GB 256GB 512GB
RAM 4GB 8GB 8GB 16GB
価格 126,800円 146,800円 - -
Graphic インテル® HD グラフィックス 620 インテル® Iris™ Plus グラフィックス 640
プラチナ
Office Home and Business 2016
Display 13.5インチ(2256×1504ドット)
Touch機能 10点マルチタッチ
Pen対応 筆圧1024段階(※Surfaceペン別売)
Keyboard キーピッチ19mm、キーストローク1.5mm、バックライト対応
バッテリー 14.5時間
USB等 USB3.0×1、ミニDisplayポート、イヤホンジャック
LAN 802.11 a/b/g/n/ac、Bluetooth4.0
サイズ 308.02(W)×223.2(D)×14.47(H)mm
重量 約1.25kg
全面カメラ 720p


Microsoft社は、OSとしての「Windows 10 S」は、文教向けOSとしていますが、この「Surface Laptop」に関しては、どうやら標的は「Chromebook」ではなく、「MacBook」だと思われます。


日本で開催された発表会でも、しきりに「MacBook AirMacBook Proよりも薄くて軽い」とか、「MacBookより50%速い」という説明を連呼している模様です。


それと、カラーバリエーションとしては、4色(青/赤/金/プラチナ)用意しているそうですが、7/20に発売するのは「プラチナ」のみとなるそうです。


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そして、この「Surface Laptop」の発表から遅れること3週間、現地時間2017年5月23日、Microsoft社は、現行の「Surface Pro 4」の後継機種を発表しました。


この事は、既に以前から予想されており、弊社の過去ブログでも、去年の秋頃から「叩き売り」状態で、「Surface Pro 4」の在庫処分を始めたので、2017年の春頃には、新機種「Surface Pro 5(?)」を発売するのではないか、と言う予測を掲載していました。


★過去ブログ:Windows 10 Anniversary Update ? 見えてきたMicrosoftの本性


そして、その後継機種ですが、何と・・・製品名の末尾からナンバリングを消した「Surface Pro」。


Microsoft社のDevice担当副社長「Yusuf Mehdi(ユサフ・メーディ)」氏は、次のようなコメントを残していますが・・・・製品名「Surface Pro」では、初代バージョンと同じ名称となってしまいます。


『 当然、ナンバリングも考慮したが、既にSurfaceはブランドとして知れ渡っており、新しい製品が古い製品より優れている事を示す番号付けは不要と考えた。 』


と言うことですが、今回の新型のウリ文句は、バッテリー駆動時間の延長なのだそうです。


「Pro 4」では、9時間だった駆動時間を、50%も増やして、13.5時間まで増やしたそうですが、これは、チップセット(CPU)を、インテル社製の最新プロセッサである、第7世代「KabyLake」に変更した事が大きく影響しているそうです。


この「KabyLake」と言うプロセッサは、省エネに特化したチップのようで、今回の新型では、全ての機種が「ファンレス機構」となっている模様です。


通常のPCでは、PC本体内部にファンを組み込み、ファンを回すことで冷却する、「空冷システム」を採用しているのですが、今回、このファンが無くしたとの事ですが・・・使っていてヤケドしないのでしょうか ? 心配になってしまいます。


そして、この内部構造の見直しにより、バッテリーの搭載数を増やすことが出来た事が、50%もの駆動時間の延長を可能にしたと言われています。


しかし・・・先程紹介した「Surface Laptop」は、バッテリー駆動時間は「14.5時間」と、こちらより1時間も長くなっていますが、この違いは何でしょうか ?


ちなみに、「Surface Laptop」搭載のチップも第7世代「KabyLake」です。


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その他の点での「Surface Pro 4」からの改良点ですが・・・余り目ぼしい改良は無いみたいです。まあ、「CPU(Central Processing Unit)」と同様「GPU(Graphics Processing Unit)」も新型が搭載はされていますが、改良点は次の通りらしいです。


・ヒンジ(hinge)改良によりキックスタンドを165度まで傾ける事が可能となった(スタジオモード)
・新型チップ搭載のディスプレイ(PixelSense Accelerator)
LTEモデム内蔵モデル(※将来的)
・新型Surfaceペン提供(レイテンシーが21ms/4,096段階の筆圧検知/カラー追加)
・新型キーボード提供(アルカンターラ素材)


そして、追加機能に関しては、誰もが語りますが、ダウングレードした点は、余り紹介しないようですが、次の点があるようです。


・磁気センサー削除
・厚さが「0.1mm」増えた


後は、ほとんど「Surface Pro 4」と同等です。そして、気になる価格ですが、次の通りです。

CPU Core m3 Core i5 Core i7
SSD 128GB 128GB 256GB 256GB 512GB 1TB
RAM 4GB 4GB 8GB 8GB 16GB 16GB
ドル 799ドル 999ドル 1299ドル 1599ドル 2199ドル 2699ドル
89,000円 111,000円 145,000円 178,000円 245,000円 300,000円
カバー 159ドル(約17,800円) ※Pro 4との互換性は不明
ペン 99ドル(約11,000円)

※税込み価格


ところが・・・現在、この新型「Surface Pro」に、Officeが付属しているのか否か、情報が錯綜しているようです。


しかし、Microsoft社の「Surface Pro」の技術仕様のページを見ると、ソフトウェアの項目に、次の記述があります。


Windows 10 Pro
・Office Home & Business Premium プラス Office 365 サービス


この事から、個人向けにはOffice標準搭載で、法人向けの場合、非搭載なのだと思われますが・・・Microsoft社は、スペックや制限を、自分の都合でコロコロ変えるので、詳しくは購入店に質問した方が良いかと思われます。


あと余談ですが、下記の日本マイクロソフト社のホームページにおいて、検索ウィンドウに「Surface Pro」と入力すると、面白い現象が見れます。
https://www.microsoft.com/ja-jp/surface


・まず、検索候補に、そんな製品は存在しないにも関わらず「Surface Pro 5」と表示されます
・平気で、初代「Surface Pro」の情報が検索されて表示されます


やはり、末尾のナンバリングを削除した影響で、自社のホームページ内の情報もカオス状態になっているのだと思います。


今後、Amazon等のショッピング・サイトにおいても、初代「Surface」とNew「Surface」の情報が交錯して、ゴチャゴチャになって行くのだと思います。


それと、本章の最後に、Microsoft社では、この手のPCを、もう「タブレット」とは呼ばなくなった様です。


この「Surface Pro」のキャッチコピーは「the most versatile laptop in the world(世界でもっとも万能なラップトップ)」となっています。


世の中から、「タブレット(Tablet)端末」と言う言葉は消えるかもしれません。


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■「ソフトウェア資産管理」の概要と、その対応策の紹介


それでは、次に、以前も、弊社のメルマガでお伝えした、Microsoft社の「ソフトウェア資産管理」の動きを紹介したいと思います。

★過去メルマガ:秒読みを迎える「Windows10」への移行:株式会社エム・システム情報マガジン(第72号) 20170508.html

このメルマガでは、弊社の本社ではなく事業所に、「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物から、次のような問合せがありました。


---------------------------- メール開始 -------------------------------


マイクロソフト IT資産管理推進部 でございます。

先ほどお電話でご説明いたしました Office ならびに Windows Server CAL 利用状況ご確認依頼 につきまして、ご案内いたします。

弊社では、知的財産の利用権であるソフトウェア ライセンスの不正利用により発生する法的リスク、および現在急増しているサイバー攻撃によるセキュリティ事故を未然に防いでいただくため、ソフトウェア資産管理 (SAM) のご支援を継続的に行っております。

ソフトウェアの不正利用が発生した場合は、法的リスクの発生のみならず、それに伴う高額な賠償金・和解金の発生、社会的信用の失墜につながります。

近年は、BSAザ・ソフトウェア・アライアンス など著作権保護団体に年間 約400 件の不正利用の通報があり、社会的関心が高まっております。

ソフトウェアの不正利用により発生するコンプライアンスリスクを未然に防いでいただくため、いま一度 マイクロソフト Office ならびに Windows Server CALが正しいライセンスで運用されているかどうかのご確認をお願いいたします。


---------------------------- メール終了 -------------------------------


と言う、全く不快な依頼と言うか、命令と言うか、恫喝と言うか・・・とにかく、問合せが来ました。

弊社の考えとしては、と言うか、世間の一般の常識だと思いますが、ソフトウェアのライセンス情報は、機密情報です。

このため、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物に対して、機密保持契約を結んだ後、ライセンス情報を開示する旨を伝えました。



また、弊社には、と言うか、日本全国の企業に対して、次のような「フィッシング・メール」が出回っています。


このような状況において、「はい、そうですか」と言い、何の確認も取らずに、ソフトウェアのライセンス情報など、他人に教える人間がいる訳がありません。


また、某「Yオークション」等のオークション・サイトでは、違法と思われるソフトウェア・ライセンスが大量に販売されています。


もしも、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物が、ライセンス収集を目的にした犯罪者であれば、とんでもありません。


さらに、今回の依頼(恫喝 ?)は、「企業 対 企業」、今風に言うと「B to B」の業務行為となります。


「B to B」で何らかの業務を行うのであれば、これも機密保持契約(NDA:Non-disclosure agreement)は必須です。


余計なお世話かもしれませんが、弊社とご契約頂く企業や官庁の方で、NDAを締結しない方もいらっしゃいますが・・・私としては、少し面倒かもしれませんが、NDAは締結した方が良いと思います。


当初は、何も問題は無いと思いますが、その後、何が起こるかは、誰にも解りません。将来のリスクに備えるためにも、承認や印鑑の捺印等、面倒な事もあるとは思いますが、とにかく、NDAは必須だと思います。


それと、後で紹介しますが、本件に関してブログを開設している方々も指摘していますが、この依頼を受けて作業を行っても、弊社には、何のメリットもありません。業務を指示された社員にとっては、「アドオン業務」になるので、迷惑な話です。


まあ、確かに「ソフトウェアの資産管理」を行う事は出来ますが、元々、ソフトウェアを購入した際は、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物に言われるまでもなく、ライセンスは管理しています。

弊社のような零細企業でもライセンスは管理しています。よそから指摘される必要などありません。


全く、余計なお世話です。


さて、弊社としては、最終的に、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物/組織に対しては、NDAを締結した後、ソフトウェア資産情報を開示する旨を伝えました。


その結果、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物/組織からは、次のような回答がありました。


---------------------------- メール開始 -------------------------------

いつも大変お世話になっております。マイクロソフト IT資産管理推進部 でございます。

このたびは本件に対するご連絡をいただき、ありがとうございます。
メールでの対応につきまして順次対応しておりますが、ご連絡までにお時間を要してしまい申し訳ございません。お問い合わせいただきました内容につきまして、下記に回答いたします。

確認票のご提出にあたり、機密保持契約の締結が必要になるとのこと、承知いたしました。大変恐縮ではございますが、本調査につきまして、全国の法人様を対象にお電話とメールのみでご案内しておりますため、機密保持契約の締結をしておりません。そのため、弊社よりお送りいたしました確認票のご提出は必要ございません。今回は、ご希望に沿うことが出来ず、申し訳ございません。

しかしながら、このようなお問合わせがございましたことにつきましては、今後の活動に反映させていただきたく、担当部署へ報告させていただいております。貴重なご意見、誠にありがとうございます。

今後も、お客様にとってより良いサービス、製品向上に取り組んでまいりますので、今後ともよろしくご愛顧のほどお願いいたします。

*****************************************

日本マイクロソフト株式会社
IT資産管理推進部
池原、宮下
TEL:0120-941-984
営業時間:9:00-17:30 (土日祝日、弊社指定休業日を除く)
Mail:mskkla@microsoft.com

    • <>--

http://aka.ms/jpsam

*****************************************

本メールは情報提供のみを目的としており、本メールに記載されている情報は、本メール送信時点でのマイクロソフトの見解を示したものです。状況等の変化により、内容は変更される場合があります。本メールに特別条件等が提示されている場合、かかる条件等は、貴社との有効な契約を通じて決定されます。それまでは、正式に確定するものではありません。従って、本メールの記載内容とは異なる場合があります。また、本メールに記載されている価格はいずれも、別段の表記がない限り、参考価格となります。貴社の最終的な購入価格は、貴社のリセラー様により決定されます。マイクロソフトは、本メールの情報に対して明示的、黙示的または法的な、いかなる保証も行いません。
c2017 Microsoft Corporation. All rights reserved

---------------------------- メール終了 -------------------------------


この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物/組織は、もしも、これが本当に、日本マイクロソフト社からの連絡だった場合、


●自分達のお客様に対して、頼んでもいないのに勝手に恫喝の電話を掛けてきて、
●自分達の都合を優先し、勝手に調査期間を指定して、2週間で報告書を出すように命令し、
●こちらから、機密保持契約を締結して欲しいという依頼をすると、面倒だからと断って来た事になります。


一体、何様のつもりなのでしょうか ?


さらに、この後も、同じ部署、同じ担当者名で、調査結果の報告が届いていないので、早く提出するように催促する、下記のような連絡が来ました。


---------------------------- メール開始 -------------------------------

マイクロソフト IT資産管理推進部 でございます。先日、メールにてご案内した「マイクロソフト製品 利用状況確認票 」のご記入状況はいかがでしょうか。ご不明な点がありましたら、お問い合わせください。何卒宜しくお願い致します。

                                            • 中 略 -----------------------------

※個人情報保護の関係上、お客様のお名前等の明記は控えさせていただいております。

*****************************************

日本マイクロソフト株式会社
IT資産管理推進部
池原、宮下
TEL:0120-941-984
営業時間:9:00-17:30 (土日祝日、弊社指定休業日を除く)
Mail:mskkla@microsoft.com

    • <>--

http://aka.ms/jpsam

*****************************************

Confidential Notice  本メール(添付文書を含みます。以下同じ)には、秘密情報が含まれる場合があります。合理的に知る必要のある関係者以外の第三者に対して、転送、開示、共有等することはお控えください。

---------------------------- メール終了 -------------------------------


ここまで来ると、もう明らかに業務妨害です。弊社としては、これ以上、このような連絡が来るのであれば消費生活センター、もしくは中小企業庁に、これまでの経緯とメール内容を添えて、訴えようと思っています。

また、この「日本マイクロソフト株式会社/IT資産管理推進部」を名乗る人物/組織とは、前述のようにNDAは締結していません。


それにも関わらず、こちらから頼んでもいないのに勝手にメールを送り付けて来て、


『 合理的に知る必要のある関係者以外の第三者に対して、転送、開示、共有等することはお控えください。 』


とは・・・本当に、この姿勢には呆れてしまいます。「良いか、下々の者どもよ ! 朕の命令は絶対じゃ !! 」ですかね ?


こんな事ばかりするから、全世界の嫌われ者になってしまうと言うことが解らないんでしょうね。


本章の最後に、本件に関係するブログを、何件か紹介したいと思います。


【 他ブログの紹介 】

●ブログ名の設定は、まだ。 :http://dame3212.net/2010/4704.html
Microsoftコミュニティ :https://answers.microsoft.com/ja-jp/windows/forum/windows_other-winapps/it%E8%B3%87%E7%94%A3%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%8E%A8/371c1636-2fe5-4ba7-aa6b-3d3d7be7d840
●不毛ブルース :http://stringer8120.blogspot.jp/2014/10/sam.html
●実録ドキュメントライセンス管理の実態:http://www.gulfnet.co.jp/article/kingsoft1-1/pdf/licence_management_docment.pdf
●地方のいち中学校教員が垣間見た Microsoft の闇:https://medium.com/@okouchikazutaka/microsoft-e9b3abfce002


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■補足「ソフトウェア資産管理(SAM)」とは


「ソフトウェアの資産管理」とは、別に新しい考え方でも何でも無く、主に、情報システム部において、かれこれ10年以上も前から行われている管理業務の一つです。


この「ソフトウェアの資産管理」と言う言葉が出始めた当初は、どちらかと言えば、「ハードウェア/ソフトウェアの種類と数、およびライセンスの棚卸し」用のソフトウェア/ツールと言う位置付けでした。


そして、この「ソフトウェアの資産管理」の考え方自体は、現在と余り変わらず、基本的には、社内に、何台PCが存在し、それぞれのPCには、どのようなソフトウェアがインストールされているのかを一元管理するのが目的でした。


このブログを書いている最中、私も、その昔、この資産管理を行うパッケージ・ソフトウェアの営業をしていた時があり、当時は、次のようなセールス・トークをしていた事を思い出しました。


・御社のPCと、そのPCにインストールされているソフトウェア、およびライセンスを一元管理する便利なツールです。
・資産管理台帳は、一度は作ると思いますが、その後は、ほとんど更新されていませんよね。このツールを使えば、資産管理台帳は、簡単に、それも自動で、タイムリーに作成出来ます。
・ライセンスを正しく管理しないと、M社等から急に訴えられる可能性もあります。
・度重なるOSやOfficeの更新やグレードアップの際、現状、ライセンスをいくつ保有しており、このライセンスが何時まで有効なのか、いくつライセンスが不足しているのか等を、簡単に管理できる様になります・・・云々かんぬん


う〜ん・・・今、思い返してみると、10年前には、Microsoft社と同じ事をしゃべっていた様な感じがします。恥ずかしい・・・


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その後、暫くすると、IT業界に「ITIL」と言う業務管理形態が持ち込まれます。


これは、元をただせば、1990年代頃に、イギリスで行われていた「ITサービス・マネジメント」の一つの活動でした。


その中でも、「ITサービス・マネジメント」の成功事例を集めた書籍を「ITIL(Information Technology Infrastructure Library)」と呼び、これが現在では、ITサービス・マネジメントの国際標準となっています。


日本でも、今から15年位前に、この「ITIL」と言う規格が持ち込まれ、主に、大手のハードウェア/ソフトウェア・メーカーやSierが、例の如く、大企業の情報システム部をターゲットにして、大規模な営業攻勢を仕掛けていました。


私が過去に在籍した企業でも、企業の情報システム部が営業先だった関係もあり、ITIL関連の製品を開発して販売していたと思います。


その頃は、私は、また違う部署に移動になっていたので、ITIL関連製品には関わらずに終わったのですが、前述の「資産管理ソフトウェア」に関しては、営業しなければならないので、競合ソフトウェアの特徴を調べたりもしたので、当時の記憶を呼び起こすと・・・


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当時は、前述の通り、「ソフトウェア資産管理」と言えば、


・社内に何台のPCが導入されているのか ?
・そして、それらPCには、何のOSが導入されているのか ?
・また、どのようなソフトウェアがインストールされているのか ?


を調べて管理台帳を作成し、購入済のライセンスと照らし合わせて、過不足を管理する事を目的にしていました。


そして、その調査方法は、それほど難しい仕組みでは無く、次の2種類の方法の何れかになっていました。


・社内の各PCに管理用ソフトウェア(エージェント)をインストールする
・社内ネットワークに接続された全PCを個別に調査する


要は、中央で一括管理するのか、それとも各PCにおいて、個別に管理して収集するのかの違いとなります。


このような仕組みで、社内のPC台数、および各PCで使用しているOS/ソフトウェアの情報を取得して、データベースに保存して管理する、という運用になります。


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しかし、その当時は、この「資産管理」は、提供機能の1つであり、メインの機能ではありませんでした。


当時は、どちらかと言えば、「サーバーの死活管理」と「リソース管理」が主流業務で、「資産管理」は、どちらかと言うと「おまけ」的な位置付けだった記憶があります。


これらの機能は、「システム統合管理ソフトウェア」と呼ばれ、次のような機能を提供していました。


●ネットワーク管理 :サーバー死活管理、エラー監視、リモート・コントロール
●システム管理 :サーバーCPU使用量監視、HDDの使用量監視、ポート監視、プロセス監視
●ハードウェア資産管理 :台数管理
●ソフトウェア資産管理 :使用ソフトウェア管理、ソフトウェア自動配布、プロセス監視、更新履歴管理


私が、このパッケージに関わっていた時期は、ちょうど、メインフレーム型システムから、クライアント/サーバー型システムに業務が切り替わる、「ダウンサイジング」と言う言葉が、もてはやされた時期でしたので、企業では、何も考えずに、大量のサーバーを購入していた時期でした。


このため、サーバー管理ができずに困り始めた時期でしたので、このようなソフトウェアが注目され始めていました。


このため、前職でも、このような「システム統合管理ソフトウェア」を構築して販売していたのですが・・・現在では、もう取り扱っていない様ですが、当時の競合製品は、今でも販売している様です。
→ QND 、PALLET CONTROL、Asset View、LANSCOPE Cat


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他方、Microsoft社が行っている「ソフトウェア資産管理(SAM)」を見てみると・・・正直、何が出来るのか解りませんでした。


下記サイトに書かれている、意味もなく、ただ長いだけの説明を見ると、管理できるのは、Microsoft社製品に限ったソフトウェアの使用状況とライセンスの管理だけの様です。
https://www.microsoft.com/ja-jp/sam


それにも関わらず、サイトに書かれていることは壮大な事ばかりです。


・財務の安全性の向上
ボリュームライセンスによる魅力的な価格設定
・より信頼性の高い管理
コーポレートガバナンスの改善
従業員満足度の向上
・スムーズなオペレーション・・・・etc.


Microsoft社の製品の数とライセンスを管理するだけで、企業の未来は途方もなく明るくなるようです。


このキャッチコピーを見ていると、企業にとっては、Microsoft社以外のソフトウェアは管理する必要がないように思えます。


Microsoft社のソフトウェアやライセンスだけを管理しても、企業には、余りメリットはありません。


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加えて、この「SAM(Software Asset Management)」に関しては、自社では、実際の業務は行っていないらしく、パートナーを紹介するだけの様です。


さらに、そのパートナーとは、ほとんが、Microsoft社の製品を販売している販売代理店です。


つまり、この「ソフトウェア資産管理(SAM)」の目的は、次の通りなのだと思います。


●企業に、Microsoft社製品のソフトウェア/ライセンスを正確に管理させる
●これにより、企業に対して、Microsoft社の製品/ライセンスの違法コピーを止めさせる
●さらに、企業にMicrosoft社製品とライセンスを把握させる事で、販売代理店の営業活動を支援する
●販売代理店は、この「SAM」の結果を元に、定期的に、製品やライセンスを売りに行けば良いだけになる


この「SAM」と言う活動は、私の推測ではありますが、Microsoft社が、ソフトウェア/ライセンスの違法コピーで、自社の利益の喪失を防止すると共に、Microsoft社の販売代理店を支援するための仕組みなのだと思います。


よくも、まあ、このような仕組みを考えたものです。


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今回と前回との2回に別れてしまいましたが、2017年前半におけるMicrosoft社の動向として、次のような項目を紹介しましたが、如何でしたか ?

【 1回目 】
Windows メジャー・アップデート「Creators Update」の結果と現状
●「Windows Vista」の延長サポート終了と今後の流れ
●新OS「Windows 10 S」の紹介


【 2回目 】
●新型「Surface Pro」の紹介
●「ソフトウェア資産管理」の概要と、その対応策の紹介
●補足「ソフトウェア資産管理(SAM)」とは


今回は、主に、「ソフトウェア資産管理(SAM)」の話題が中心となってしまいましたが・・・この活動は一体何なのでしょうか ?


もしも、私の推測通り、Microsoft社と、その販売代理店の支援のためだけの活動なら、即刻、止めて欲しいと思います。私達、零細企業にとっては「営業妨害」以外の何物でもありません。


自社の利益喪失を防ぐために、自社のお客様を「こき使って」、自社製品の情報を収集するなど、もっての外、言語道断です。


どうして、平気で、自分達のお客様に対して、このような行動が出来るのか、その神経を疑ってしまいたくなります。


やはり、今後、この企業とは、社内インフラに関しては、余り関わりにならない方策を考えた方が良いような感じがします。


それでは次回も宜しくお願いします。


以上

【画像・情報提供先】
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
マイクロソフト(https://support.microsoft.com/ja-jp)

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