近頃のマイクロソフト(前半) 〜 2017年前半の振り返り


何やかんや言っても、常に話題を振りまいているMicrosoft社。


今年も、年初は穏やかでしたが、新年度が開始する4月になると、段々と騒がしくなって来ました。


・4/11 :Windows メジャー・アップデート「Creators Update」開始
・4/11 :Windows Vistaの延長サポート終了
・5/2 :Windows 10 Sの発売開始
・5/23 :Surface Proの発売開始


さらに、これは過去2〜3年前から実施しているようですが、ここに来て、また活動が活発になってきた「ソフトウェア資産管理」・・・


この「ソフトウェア資産管理」に関しては、以前、5月配信の弊社メルマガでも、その高圧的な態度と、何とも怪しげな内容を紹介しました。


★過去メルマガ:株式会社エム・システム情報マガジン(第72号)


このメルマガにも記載しましたが、このライセンス調査に関しては、弊社だけでなく、様々な企業、特に、大企業ではなく、中小零細企業を狙い撃ちにして実施されているようです。


Webサイト上にも、ブログを始め、様々なサイトが立ち上がり、その時々の状況や対処方法を紹介している様です。


そこで、今回は、前半と後半の2回に分けて、2017年前半におけるMicrosoft社の動向として、上記にも記載した、次のような項目を紹介したいと思います。


【 第1回目 】
Windows メジャー・アップデート「Creators Update」の結果と現状
●「Windows Vista」の延長サポート終了と今後の流れ
●新OS「Windows 10 S」の紹介


【 第二回目 】
●新型「Surface」の紹介
●「ソフトウェア資産管理」の概要と、その対応策の紹介
●補足「ソフトウェア資産管理(SAM)とは」


次回紹介する項目となってしまいますが、Microsoft社では、本当に「ソフトウェア資産管理(SAM)」活動を行っており、その中で、自社ツールを販売しています。


このため、Microsoft社からの調査依頼に関する情報を掲載している他サイトには、


「この調査の目的は、自社ツールを販売するための活動ではないのか ?」
「実際に、最後にはツールを提案された」


、等の記事も掲載されているようです。


そこで、最後に、Microsoft社が行っている「ソフトウェア資産管理(SAM)」とは、どのような内容なのかも、合わせて紹介したいと思っています。


それでは今回も宜しくお願いします。


以上

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Windows メジャー・アップデート「Creators Update」の結果と現状

「Creators Update」に関しては、ブログやメルマガを通して、何回か紹介して来ました。


★過去ブログ:秒読みを迎える「Windows 10」への移行


そして、当初の告知通り、平成29年4月11日から、順次、更新プログラムの提供が開始されています。


「Creators Update」は、Microsoft社の管理コードでは、コードネーム「RedStone2(RS2)」と呼ばれ、バージョン番号は「1703」で管理されている大型アップデートとなっています。


この「Creators Update」、過去ブログでは、名前の通り、主に「Creator」向けの機能が多く追加されると紹介しましたが、実際には、それ以外にも、非常に多くの機能が追加/改善されているようです。


余りに追加/改善された機能が多いので、本ブログで、全て紹介し切れるか不安ですが・・・取り急ぎ、無理矢理感もありますが、次の7つの項目に分けて内容を紹介します。


(1)「Windows Edge」系
(2)「IME/入力」系
(3)「3D/動画/ゲーム」系
(4)「セキュリティ」系
(5)「表示/デザイン/操作」系
(6)「設定/コントロールパネル」系
(7)「インストール/セットアップ」系


なお、今回は、分量の都合上、紹介画像の掲載はしていませんので、詳しい概要を知りたい場合、次のサイトをご覧になって下さい。


★参考サイト:https://matome.naver.jp/odai/2148976997113081501


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(1)「Windows Edge」系

●Edgeのタブのプレビュー表示
ブラウザーのタブにプレビュー表示機能が追加され、開いているタブの内容を、視覚的に確認できるようになりました。

●Edgeにおけるマルチタブのストック機能追加
複数のタブを開きっぱなしにしていると、タブの表示領域が混んできて操作性が悪化しますが、今回追加されたストック機能を使えば、開いているタブを、一旦、別の場所に、まとめて置いておく事で、タブ表示領域を整理出来る様です。

●Edgeでの電子書籍購入が可能(※アメリカのみ)
アメリカ国内のみですが、Windowsストアから電子書籍が購入可能となったようで、今後、日本での対応も予定されているそうです。

●Edgeで電子書籍の購読可能
電子書籍の共通フォーマットであるEPUB形式のファイルで、かつ著作権保護が掛けられていない書籍を購読出来るようになったそうです。また、背景色やフォント・サイズも変更出来るとの事です。

●Edgeで「InPrivateウィンドウ」の表示簡素化(右クリック)
「InPrivateウィンドウ」とは、Google社のChromeブラウザーの「シークレット・モード」と同様の機能で、ブラウザーの閲覧/検索履歴をPCに保存しない機能の事です。従来は「詳細」ボタンでメニューを表示して指定していましたが、今後は、タスクバーの右クリックで可能になった様です。

●EdgeでFlashがデフォルト無効化
AdobeFlashに関しては、既に Chromeブラウザーでは既に「デフォルト(初期値)で無効」となっていますが、Edgeでも、遅まきながら「デフォルト無効」になった様です。

●Edgeの「Web Payment」対応
オンライン・ショッピングを簡素化する「Payment Request API(オンライン決済用API)」が導入された様です。

●Edgeでお気に入りのインポート/エクスポート機能強化
インポート/エクスポート機能が強化され、HTML形式の、お気に入りや履歴を取り込んだり、出力したりする事が出来るようになったので、他のブラウザーと連携しやすくなった様です。

●Edgeがフルカラー絵文字に対応
どうでも良い様な感じがしますが、絵文字がフルカラーになった様です。


(2)「IME/入力」系
●日本語入力機能強化
日本語変換履歴の編集が可能となったので、不必要な変換予測を削除して、表示出来なくする事が可能となりました。

IMEのモード表示拡大
「日本語⇔英語」切替時に、切り替え先のモード(「あ」とか「A」)が大きく表示されるようになったので、切り替え状態が解りやすくなりました。


(3)「3D/動画/ゲーム」系

●「ペイント」アプリの3D対応
3Dオブジェクトも扱える新しいペイントアプリ「Paint 3D」が搭載されました。

●3Dコンテンツの共有(Remixed 3D)
3Dオブジェクトをアップロード/ダウンロード出来るコミュニティが開設されました。

●標準機能で「VR」/「AR」サポート
Microsoft社の一押し製品「Microsoft HoloLens」を活用するアプリがようやく登場したみたいですが・・・この「Microsoft HoloLens」は、1台30万円以上もする非常に高価な製品です。

●「ゲームモード」追加搭載
PCのCPUやメモリを、動作中のゲームに集中させ、ゲーム性能を向上させることが出来るモードが追加されました。

●ゲーム動画の実況配信標準化
「Beam」によるストリーミング機能が標準装備されたので、ゲームの実況動画の配信が可能になったとか・・・まあ、どうでも良いか。


(4)「セキュリティ」系

●「Windows Defender」への機能集約
ウィルス対策、ファイヤーウォール、OS更新情報等、様々な場所に散らばっていたセキュリティ関連の機能設定メニューが、「Windows Defender」に集約されたので、管理しやすくなったみたいです。

●「動的ロック」機能追加
Bluetooth機能でペアリングしたスマートフォンが検知出来なくなると、30秒後に、自動的にPCをロックする機能が追加されました。

●「Windows Update」の延期機能提供
何と!! 嬉しいことに、「Windows Update」サービスを、最大35日間停止することが出来るようになったのですが・・・「Homeエディション」は、機能提供対象から除外されている様です。


(5)「表示/デザイン/操作」系

ブルーライトカット機能
指定時間になると、「夜間モード」と呼ぶ、画面の色を、暖色系に切り替える機能が搭載されました。「iPhone」の「Night Shift」と同じ機能です。

●スタートメニュータイルのグループ化
メニュー上の複数タイルを選択して、フォルダー化して整理出来るようになりました。

●スタートメニューの「アプリ」の非表示化
メニュー左側に表示されている「アプリ一覧」の表示/非表示を設定出来るようになりました。

Windowsインク機能強化
フォトアプリでWindowsインクが使えるようになりましたし、Windowsインク自体の機能も強化されているようです。(※Windows Ink:文字や図形をデスクトップへ書き込む事が出来る機能)

タッチパッド強化
タッチパッドジェスチャーに、3本指/4本指を使った細かなジェスチャーが指定出来るようになったみたいです。

●アクティブ時間の拡張
これまで12時間しか指定できなかった「アクティブ時間」が、18時間まで拡張されました。これで、最大18時間は、勝手に再起動されなくなりました。

●フォント表示強化
フォントが少し太く表示されるようになり、さらに、フォント輪郭の「ギザギザ」が、余り目立たなくなりました。

●非高DPIモニタ対応強化
高DPI(解像度)のディスプレイ以外でも、くっきり表示されるようになったみたいです。

●「共有アイコン」/「共有画面」のデザイン変更
他人と情報共有等で使われる「共有アイコン」、それと、「共有アイコン」をクリックした時に表示される「共有画面」のデザインが変更されたようですが・・・これも、どうでも良いか。

●動画の「コンパクト・オーバーレイ・ウィンドウ」機能追加
動画を再生した時に、画面の最前列の隅に、小さく表示させる事で、動画を見ながら、他の作業を並行して行えるようになりました。

●テーマ・カラーの色追加
スタートメニューのボタンなどでアクセントカラーとして表示される「テーマ・カラー」を、より詳細に設定できるようになりました。

●ナレーター機能の点字
ナレーターでは、27 の異なるメーカーから販売されている更新可能な点字ディスプレイのベータ版サポートが提供されるようになったようです。

●仮想トラックパッド搭載
外部モニタやタブレットを操作できる仮想トラックパッドが搭載され、画面上に表示することが出来るようになったみたいです。


(6)「設定/コントロールパネル」系

●設定画面への「アプリ」/「ゲーム」追加
設定画面のカテゴリーに、新規に「アプリ」/とゲーム」が追加されました。また、その他にも、従来コントロール・パネル(通称コンパネ)にあった項目も、「設定」に移動された様です。

●「テーマ管理」がコントロールパネルから設定画面に移動
前述の様に、この「テーマ管理」も、コンパネから「設定」に移動した様です。

●デスクトップのテーマがWindowsストアからダウンロード可能
Windows 10」を使っている人は知っていると思いますが、このOSでは、様々なテーマ画面が表示されていますが、このテーマを、Windowsストアからダウンロードできるようになったそうです。

●デバイスの管理が一元化
これまで別セクションに分離していたマウス、キーボード、ペン、その他Bluetoothバイス等の設定画面が、一つのセクションにまとめられ、一元管理できるようになりました。

●ディスプレイ設定画面レイアウト変更
従来、ディスプレイ解像度の設定は、深い階層にありアクセスし難かったのですが、解像度やスケーリングの設定等、よく使う項目は、アクセスしやすい場所に配置されるようになリました。

トラブルシューティングの場所が「設定」に移動
これまで紹介した通り、様々な機能の設定が、コンパネから「設定」に移動され、徐々に「設定」アプリの機能が強化されています。

●自動的に「ゴミ箱」内のファイルを削除する機能追加
一時ファイルやごみ箱の中の古いファイルを、自動的に削除してくれる機能が追加されました。


(7)「インストール/セットアップ」系

●インストールの制限機能追加(アプリ以外のアプリ禁止)
Windowsストア以外から、アプリのインストールを禁止するオプションが追加されました。このオプションはデフォルトではオフです。

Windowsストアからのアプリのインストール状況可視化
Windowsストアからアプリをダウンロードした時の進捗状況が、アクションセンターに表示されるようになったので、アプリやゲームのダウンロード状況がプログレスバーで確認できます。

●OSセットアップ時の操作性/デザイン向上
Windows10セットアップ時の画面のデザインが大きく変更され、また、Cortanaとも、より連携したものとなっているとの事らしいです。


これまで、「Creators Update」では、名前の通り「Creator」系の機能に特化した強化が図られていると報道されてきましたが、こうして見てみると、それ以外の部分もかなり強化され、使いやすくなっているような印象を受けます。


それじゃ、「Creators Update」を適用して見ようかな〜と思うかもしれませんが・・・どのような状況なのでしょうか ?


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これまでの説明通り、「Creators Update」は、2017年4月11日より、順次提供が開始されたのですが、米国時間の4月25日、Microsoft社から、「一部の環境に対してCreators Updateの提供を停止する」旨の発表がありました。


これは、あるメーカーのワイヤレスデバイスを搭載したデバイスにおいて、Bluetoothバイスとの接続が切れると、再接続出来なくなってしまうと言う問題が発生した事が原因とされています。


「Creators Update」は、時間差を付けて配布することで、発生した障害にも適宜対応する工夫が取られていたようですが、どうやら、この目論見も失敗してしまった様です。


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上記報告は、Microsoft社からの公式発表ですが、それ以外にも、次のような不具合の報告があった様です。


・市販のセキュリティ・ソフトウェアの動作がおかしくなった。
・各種ハードウェアドライバーの不具合 → スピーカー、キーボード、LANアダプター、マウス、etc,
・「Creators Update」自体が失敗してアップデート出来ない
・アップデートが成功したはずなのに、元に戻ってしまっている
・フォントが使えない/消えてしまった
・バックアップツールが使えなくなる
・再起動後、フォルダーやショートカットが消えてしまう
・コンパネが開けなくなり、アンイストールや前バージョンへの回復も行えなくなった


このブログは、5月末に書いており、「Creators Update」の配布が始まって1ヶ月半ほど経過していますが・・・どうも、まだ落ち着いていないようです。


この記事を書きながら、中々良さそうな機能が提供されているようなので、私の「Windows 10」に、「Creators Update」を導入しようかと思ったのですが、もう少し待つことにしました。


もっとも、過去2回のメジャー・アップデート「November Update」/「Anniversary Update」とも、提供開始から落ち着くまでに4〜5ヶ月掛かっていますので、今回の「Creators Update」に関しても、落ち着くのは「秋」頃ではないかと思っています。


また、一部報道では、「November Update」に関しては、未だに障害が解決していないケースも有るようです。


私も、特に現状のまま、少し問題は起きていますが、仕事が出来なくなる事だけは避けたいので、もう暫く様子見をしたいと思います。


「どうしても今適用したい !!」と言う方は、次の内容を参考にして下さい。


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どうしても「Creators Update」を適用する、適用したいと言う方は、次のような手順を踏んでから適用した方が良い様です。


【 事前準備 】
・PCを標準環境に戻しておく → 追加でインストールしたアプリやソフトは削除する
・バックアップが絶対に取っておく
・各種ドライバ類は最新に更新しておく
・セキュリティ・ソフトウェアは一時停止する。可能ならアンインストールする。
・USB接続した機器は外しておく
・Cドライブに充分以上の空き領域を確保しておく(Microsoft社の説明より多めに使う可能性大)


また、「Creators Update」の適用後、PCの調子が悪くなった場合、適用後10日以内ならば、元の環境に戻すことが出来ます。


「設定」の「更新とセキュリティ」→「回復」から「前のバージョンのWindows 10に戻す」の「開始する」をクリックし、表示される指示に従ったオペレーションを行えば、元に戻せるそうですが・・・何かこの操作も信頼性に欠けるような感じがします。


失敗する事は解っているのに適用し、適用してから元も戻せなくなるなら、最初から、何もしない方がベターな感じがします。


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■「Windows Vista」の延長サポート終了と今後の流れ


Windows Vista」は、2006年11月、当時、売れに売れた「Windows XP」の後継機種として、多くの期待を込めて発売された新OSでした。


セキュリティを重視した事から開発に手間取り、リリース時期が何度も修正されたので、リリース時は、余計、大きな期待を寄せられていました。


しかし、その期待とは裏腹に、リリース当初から、その起動時間の遅さから非難の嵐に襲われ、リリース後、1年も経過せずに不人気OSとなり、「失敗作」の烙印を押される事になってしまいました。


その後のMicrosoft社の動きは、過去ブログ(20170408.html)で紹介してる通りで、Microsoft社は、この「Windows Vista」を一部変更し、2009年、本来はリリース予定に組み込まれていなかった「Windows 7」を急遽リリースしました。


この「Vista」、発売当初は、少しずつデスクトップOSのシェアを増加させて行ったのですが、結局、2009年10月に、「19.06%」のシェアを最高に、後はシェアを減らす一方だった様です。



このシェア数値は、いつも参照している「Net Applications」社ではなく、「NetMarketShare」社の統計値なのですが、とうとうシェア「20%」を超える事無く、この世から消え去る事になってしまいました。


「悲しいOS」と言えば・・・2012年8月に発売が開始された「Windows 8x」も、この「Vista」と全く同じ運命を辿っているようです。


「Windows 8x」も、「Vista」同様に、大ヒットしたOS「Windows 7」の後継OS、「タッチパネルに対応した斬新なOS」としてデビューしたのですが・・・


Windows 8」、および「Windows 8.1」の両OSのシェアを合計しても、2014年11月、リリースから2年経過した時点でシェア「18.65%」を記録したのが最高で、その後は、尻すぼみ状態です。


ちなみに、この最高記録となった「18.65%」と言うシェアですが、「Windows 8.1」のシェアが「12.10%」、「Windows 8」のシェアが「6.55%」と言う内訳なのですが、この時点でも「XP」のシェアは「13.57%」も有りました。


結局の所、この「Windows 8x」は、「Windows XP」は当然、「Windows Vista」さえも超える事が出来なかった、史上最低のOSとなってしまった様です。


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さて話を「Windows OS」のサポートの件に戻しますが、現状で、サポート期間が満了していないOSは、下記3種類となります。(※太字)

OS メインストリーム 延長 ブラウザー
Windows Vista 2012/04/10 2017/04/11 IE 9
Windows 7 2015/01/13 2020/01/14 IE 11
Windows 8 2016/01/13 - IE 11
Windows 8.1 2018/01/09 2023/01/10 IE 11
Windows 10 ? - IE 11/Edge


余り騒がれなかったので、ご存じない方も居ると思いますが、「Windows 8」に関しては、とっくの昔、2016年1月13日に、サポートは終了しています。


また、Microsoft社は、2016年1月12日以降、OSとWebブラウザーの組合せを発表し、OSに導入可能な最新ブラウザーのみをサポートすると、いつもの通り、何の前触れもなく、「神の声」の如く、突然の宣言を下しています。


この「神の声」の影響もあり、現在では、「Internet Explorer(IE)11」と最新ブラウザー「Edge」のみがサポート対象となっているだけで、それ以前のブラウザーに関しては、既にサポートが打ち切られてしまっています。


今後は、過去ブログ(秒読みを迎える「Windows 10」への移行)に詳細を記載しましたが、「Windows 7」のサポート終了に向けた準備を着々と進め、「Windows XP」のサポート終了時の様に、パニックを起こさない事が肝心です。


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しかし、その一方、GW明けの5/11頃から、全世界的に蔓延したランサムウェア「Wanna Cryptor」に対する特別対応と言う動きがありました。


このランサムウェア「Wanna Cryptor」は、犯罪者組織が、Microsoft社が今年の3/15に公表した、全「Windows OS」に対する脆弱性を狙い、全世界に向けて撒き散らしたマルウェアです。


つまり、Microsoft社が、自社の責任を回避するために、敢えて「Windows OS」の脆弱性を公表したのですが、その行為がアダとなり、犯罪者組織が、Microsoft社が公表した脆弱性を突いた攻撃を仕掛けたのです。


俗に「ゼロデイ攻撃」と呼ばれている攻撃で、「ゼロデイ攻撃」とは、脆弱性の公表から、その脆弱性への対応が完了するまでの「隙間期間」を狙ってウィルスを撒き散らす攻撃手法です。


このため、Microsoft社は、急遽、今回サポートが終了した「Vista」のみならず、「XP」や「8」を含めた全「Windows OS」用に、セキュリティパッチ(更新プログラム)を配布しました。(※除くWindows 10)


まあ、自分達の行動により、全世界をパニックに陥れた訳ですから、企業としては当然の対応だと思います。


それに、表面的にはサポートが終了している「Windows XP」ですが、自国政府やアメリカ軍、それに他国政府機関の多くが、有償サポートを継続的に受けている状況なので、どっちにしろ更新プログラムは作らざるを得ない状況なので、Microsoft的には、痛くも痒くも無い状況だった思います。


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そして、ここから見えてくる将来像としては・・・「Windows 7」も、「Windows XP」と同様、サポート期間の再延長が行われるのではないか、と言う推測です。


こればかりは、実際に、2020年1月近くにならないと、何とも言えないとは思いますが、「無きにしもあらず」の予測だと思います。


しかし、その半面、現在「Windows XP」の有償サポートを受けている政府機関や軍が、一斉に「Windows 10」にグレードアップしてしまう可能性もあります。


そうなると、本当に「Windows XP」は、この世から抹殺されてしまうので、Microsoft社として、どのような対応を取るのかが、解らなくなります。


・「Windows XP」のサポートチームを「Windows 7」の再延長サポート用のチームに移動させるか
・この機会に、過去OSに関しては、一斉に、この世から抹殺するのか


Windows 7」のサポート終了時に、どの位の政府機関/軍が、再延長を望むのか、また再延長により、どの位の売上が上がるのかにより、Microsoft社の方向は決まると思います。


何れにしても、現在のインド人CEOは、他から非難されても、とんでもない対応を平気で取って来た人物ですから、余り良い方向には進まないと思います。 


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■新OS「Windows 10 S」の紹介


さて、次は、Microsoft社が、現地時間2017年5月2日に、教育機関向けにリリースする事を発売した「Windows 10 S」を紹介したいと思います。


この発表は、Microsoft社の文教業界戦略の発表会の一環として行われたイベントで、その他には、同時に次の発表もあった様です。

・「Minecraft Education Edition」の強化
・新デバイスSurface Laptop」の発表


「新デバイスSurface Laptopとは何ぞや!?」と興味を思われる方も多いと思いますので、この情報に関しては、次章「Surface Pro」で、一緒に紹介したいと思います。


と言う事で、本章では、「Windows 10 S」を紹介しますが・・・この「Windows 10 S」は、簡単に言うと、「Windows 10」に追加された、新しいエディションとなります。


元々、「Windows 10」には、既に、下記6種類のエディション(バージョン)が存在します。


(1) Home
(2) Pro
(3) Enterprise
(4) Enterprise LTSB
(5) Education
(6) Pro Education


各エディションの違いを一覧表にした図を添付しますが、このままでは全く解りませんので、興味がある方は、拡大してご覧下さい。


しかし、Microsoft社は、何故か、この様な形でエディションを分類しておらず、ホームページ上には、Home、Pro、Enterprise、Educationの4種類しか掲載していません。



Microsoft社は、前述の「Windows Vista」において、「Starter」、「Home Basic」、「Home Premium」、「Business、Enterprise」、「Ultimate」と言う、6種類ものエディションをリリースしたことにより世間を混乱に陥れた過去が有ります。


6種類ものエディションをリリースしたことで、利用者は、どのバージョンを購入して良いのか判らなくなってしまい、この点も、「Vista」が購入されなかった理由の一つとされています。


ところが、今回、過去の失敗に学ぶ事をせず、「Windows 10」においては、この「Vista」の6種類をも超える、7種類ものエディションをリリースしました。


一体、何を考えているのでしょうか ?


そこで、恐らく、推測ですが、(今更ですが)数多くのエディションをリリースして失敗した「Vista」と同じ失敗を繰り返さないために、世間的に、そして表面的には、4種類のエディションしか存在しないように見せかけているのだと思います。


ちなみに、前述の「Enterprise LTSB」は、「Enterprise」エディションに対して、「Windows Update」を適用しない形態のエディションとなります。


つまり、大企業、あるいは金融機関等、長期間システムを変更せずに使いたい企業向けの特別エディションで、このエディションの場合、2〜3年間隔で「LTSB」をビルドして提供する運用になるらしいです。


そして、「LTSB」とは、「Long-Term Service Branch」の略称です。


また、「Pro Education」と「Education」の関係は、「Pro」と「Enterprise」の関係と同じ関係となります。つまり、簡単に言うと、教育機関版の「Pro」と「Enterprise」と言う事になります。


Pro Education = 教育機関版「Pro」
Education = 教育機関版「Enterprise」


全く・・・既に「Windows 10」は、カオス状態です。


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ところで、この「カオス状態」に、さらに拍車を掛ける「Windows 10 S」と言うエディションですが、冒頭に記載した通り、教育機関向けのエディションとなります。


「はあ、教育機関向けなら既にEducationがあるだろう !?」と、当然、思うはずです。


しかし、Microsoft社の考えは違う様です。Microsoft社としては、教育機関を次のように分類し、それぞれ個別のエディションを用意した様です。

教育機関 Windows 10 Pro Education 機能制限付きEducation
Windows 10 Education Education版のフル機能
生徒 Windows 10 S K-12向け(幼稚園〜高校生/13年間)

※K:Kindergarten


と言う事で、今回リリースされた新しいエディション「Windows 10 S」は、生徒さん向けのエディションとなります。


え〜と、それでは、「アカデミック版」とは何が異なるのかと言うと・・・現在は、「アカデミック版」としては、下記製品しか販売していないようですが、こちらは「学割」と言うイメージです。

・Office Professional
Windows Server


その昔、前述の「Vista」までは、OSにも「アカデミック版」があったのですが、「Windows 7」以降は、廃止された様です。


「学割」ですから、普通のエディションを、割引価格で、安価に販売しているのが「アカデミック版」となります。


う〜ん・・・ますますカオスとなって行く「Windows 10」。


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それでは本章の最後に、「Windows 10 S」の特徴と言いますか、他のエディションとの違いを記載します。


この「Windows 10 S」ですが、元々は、Microsoftオタク向けの「Insider Preview」において、2017年の2月頃から提供が始まった「Windows 10 Cloud」という名称の製品です。


「Cloud(クラウド)」と名付けられていたようですが、この製品はクラウドとは全く関係無く、「廉価版Windows 10」という位置付けだった様です。


つまり、「Windows 10 Pro」に制限を付ける事で、特別に、安価な価格で販売出来る仕組みを考え出した様です。

そして、この「Windows 10 S」の「制限」ですが、大きくは、「Windows 10 Pro」に対して、次の2つの制限を付けた物となっているようです。


●インストールできるアプリは「Windowsストア」アプリに限定される
ブラウザーが「Microsoft Edge」固定となる



当初の発表では、「ブラウザーはEdge固定で、かつ検索エンジンもBing固定」となっていたようです。


しかし、下記「Windows 10 Sに関してよくあるご質問」上では、「ブラウザーは変更出来るか ?」と言う質問に対して、次のように書かれています。


Windows ストアで入手可能なものであれば、お好きなブラウザーをダウンロードして、他の検索エンジン Web サイトに移動できる。 』


★よくあるご質問:https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4020089/windows-10-s-faq


そして、それ以外のブラウザーを使いたい場合には、いつでも「Windows 10 Pro」に手軽な価格で切り替えることが出来る、としています。


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ここまでの説明を読んで、IT情報に詳しい方であれば、既にお気付きだと思いますが、この「Windows 10 S」と言うエディションは・・・そう、Google社の「Chrome OS」のパクリです。


弊社ブログでも、既に2年以上も前に、この「Chrome OS」を搭載した「Chromebook」と言うPCを取り上げ、ビジネスで使えるか否かを検証しました。


★過去ブログ:「Chromebook」について 〜 結局、仕事で使えるの ?


この時には、「Chromebook」の関しては、結局の所、Google社が提供するアプリ以外は動かないので、ビジネス用PCとしては使い物にならない、と言う結論を下しました。


しかし、ビジネス以外、学校やシニア向けのPCであれば、価格、操作性、そして安全性の面から、使用に適しているのではないか、と言う結論を(勝手ながら)下しました。


そして、その後の「Chrome OS」ですが、北米のスクールPCマーケットにおいては、2017年3月のイギリスの調査会社「Futuresource Consulting」が発表したレポートによれば、北米のK-12セクターにおける「Chrome OS」のシェアは、「58%」に達しているそうです。


まさに、私が予測した通りの結果となってしまったようですが、一方の「Windows OS」のシェアは「22%」しかないようです。


このため、強欲なMicrosoft社のCEOは、このような状況を打破すべく、既にカオス状態となっている「Windows 10」のエディションなどお構い無しに、新たに「Windows 10 S」をリリースした訳です。


ちなみに、参考までの話ですが、2017年の夏頃から、Microsoft社のパートナー企業が発売する「Windows 10 S」搭載PCの価格は、やはり「Chromebook」を意識して、189ドル(21,000円)程度になると言われています。


加えて、「Microsoft Store for Education」では、Word、ExcelPowerPointを含む文教向けのストア版Office(Office 365 for Education)を、2017年6月から配信することが米マイクロソフトのOffice Blogで発表されています。


さらに、オンライン版「Office365 for Education」に関しては、学生と教員向けに無償で提供する事も発表しています。


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今回リリースした新エディション「Windows 10 S」ですが、確かに、アプリは「Windowsストア」からしか入手できないので、生徒たちに危険なソフトを使われる恐れなないと思いますし、また成人向けコンテンツを閲覧不可にする設定も可能となっている様です。


しかし、そもそも「Windowsストア」は、「Google Play」、あるいはアップルの「AppStore」と比較すると、使えるアプリの数は極端に少なく、全くお粗末極まりない状況です。


確かに、以前と比較すれば、アプリの数は増えていますが、それでも、他社マーケットの足元にも及びません。ソフトの数が、2桁ほど違います。(Microsoft:数百件/Google:数万件)


前述の通り、Officeを無償提供すると謳っていますが、Googleでは、最初からOffice用アプリは無償提供です。Microsoftが、今頃、無償提供と「上から目線」で唱えても、話になりません。


また、これは、別にGoogle社が、何か、独自に対策を取っている事が理由ではありませんが、安全性の面を比較すると、「Windows 10 S」は、「Chrome OS」に比べると、かなり危険なOSです。


これは、上記の過去ブログにも記載していますが、ウィスル作成者は、市場シェアが大きなソフトにしか興味を示しません。


スクールOSのシェアだけを見れば、確かに「Chrome OS」のシェアは大きいかもしれませんが、全体で見れば僅かです。


このため、これまで「Chrome OS」は、ウィルスのターゲットになり得なかったので、安全性が高いOSと言われて来ました。


う〜ん・・・この評価は、嬉しいのか、悲しいのか、解りませんね。


ところが、これが「Windows OS」となると話は、全く異なります。「Windows OS」は、常時、ウィルス作成者に狙われています。


前述の通り、GW明けから、全世界的に蔓延したランサムウェア「Wanna Cryptor」は、その良い事例です。Microsoft社が、少しでも隙きを見せれば、その途端に、牙を剥いて襲いかかって来ます。


特に、文教業界は、(差別する訳ではありませんが)ITに疎い人が多いので、セキュリティに関しても、なおざりにする人が数多く見受けられます。


セキュリティ面の対応が取れなければ、文教業界での「Windows 10 S」のシェア増加は期待できないかもしれません。


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今回は、2017年前半におけるMicrosoft社の動向の初回情報として、次のような項目を紹介しましたが、如何でしたか ?


【 第1回目 】
Windows メジャー・アップデート「Creators Update」の結果と現状
●「Windows Vista」の延長サポート終了と今後の流れ
●新OS「Windows 10 S」の紹介


「悪しきにつけ悪しきにつけ」、じゃなくて「良きにつけ悪しきにつけ」、本当に世間を騒がせてばかりいるMicrosoft社。


過去を振り返ると、「ビル・ゲイツ」氏が、直接、経営に留まっていた頃は、ここまで酷く嫌われる行為は行って来なかったのではないかと思われます。それに、前社長である「スティーブ・パルマー」氏の頃も・・・


やはり、特に変な行動を取るようになったのは、現CEOになってからだと思います。


まだ、創始者である「ビル・ゲイツ」氏が在命中だから、ある程度、抑止力が働いていると期待したい所ですが、彼が他界したら、誰が、この会社の暴走を止めるのでしょうか ?


この会社の将来が怖く思えるようになって来ました。


OSやビジネスツールを含め、今後、この企業とは、必要最低限の付き合いにしたいと思います。


ところで、2回目となる次回は、次の情報を紹介する予定となっています。


【 第二回目 】
●新型「Surface」の紹介
●「ソフトウェア資産管理」の概要と、その対応策の紹介
●補足「ソフトウェア資産管理(SAM)とは」


それでは次回も宜しくお願いします。

以上

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PC Watch(http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1057410.html)
マイナビニュース(http://news.mynavi.jp/)
・MSNニュース(https://www.msn.com/ja-jp)


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