身の回り整理術〜見た目スッキリで業務効率化 - その1


今回のブログでは、PC内のファイルやフォルダー、それに机の周辺等、仕事に関する身の回りを、きちんと整理することで、業務効率化を図る方法をご紹介したいと思います。

以前、過去ブログで、社内会議を効率化する事で、無駄な作業や残業を減らす方法を記載しました。

★過去ブログ:効率的な社内会議の仕方〜無駄な残業を減らす方法
その1:http://msystm.co.jp/blog/20140705.html
その2:http://msystm.co.jp/blog/20140712.html

この過去ブログでは、会議の仕方を工夫することで、週「27時間」、月「108時間」、そして年間「1,296時間」もの、無駄な会議時間を削減した事例を紹介しました。


1992年8月4日のWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)紙は、次の様な記事が掲載されたそうです。

『 一般的なビジネスマンは、1年間に6週間を探し物に費やしている。 』

今回のブログでは、この無駄な作業時間を、身の回りを整理する事で、極力減らす方法を伝授、と言うと大げさですが、紹介しようと思います。

現在、上記WSJの記事は見る事が出来ないので、詳しい内容は解らないのですが、「1年間に6週間」と言うと、下記数値を元に計算すると、1日当たり、約1時間は、何かを探すために無駄な時間を費やしている事になります。

【 勤務条件 】週休2日制、1当たり8時間勤務、年間245日間勤務


また、これを時給に換算すると、月400,000円の給与を貰っている人の時給は、上記と同じ条件で単純に計算すると、時給2,500円になりますから、

・1日 :2,500円
・1週間 :12,500円(2,500円×5日)
・1ヶ月 :50,000円(2,500円×20日)
・1年 :600,000円(50,000円×12ヶ月)

社員1人当たり、年間60万円も、モノ探しに時間を費やしていますので、社員が10名だと年間600万円、社員が20名だと年間1,200万円も、無駄に給与を支払っている事になります。

もしも、これが本当なら、私は経営者ですので「ア然」としてしまいます。皆さんは、どうですか ?

そこで、本ブログでは、次のような観点で、身の回りの物を整理し、物を探す時間を削減出来る方法を紹介します。

■机回りの物の整理方法
■PC内のフォルダー/ファイルの整理方法

また、各項目に関して、より細かく概要を記載しますと、次のような内容を、2回に分けて紹介します。

【第1回目(2016/02/13)】

■机回りの物の整理方法
●書類の整理方法
(1)電子データがある書類は破棄する
(2)1年以上見ない書類は破棄する
(3)破棄する場合の注意点
(4)机回りを整理する事のメリット
●会社としての規則化
●整理のイベント化


【第2回目(2016/03/05)】

■PC内のフォルダー/ファイルの整理方法
●フォルダー管理
(1)業務内容を整理する
(2)階層を意識したカテゴリ分類
(3)フォルダー名は短く
(4)先頭には数字2桁を設定
(5)ショートカットの活用
●ファイル管理
(1)ファイル名には日付を付ける
(2)ファイル名には業務名を付ける
(3)作業名の命名方法を決める
(4)作業途中のファイルの命名方法
(5)過去履歴ファイルの取り扱い
●バックアップの重要性

それでは今回も宜しくお願いします。

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■机回りの物の整理方法


皆さんのオフィスは、どんな感じですか ?

机の上は、PCとキーボード、それとマウスだけですか ? それとも・・・書類の山ですか ?

「Pマーク(プライバシーマーク)」を取得している会社の場合、机の上に、書類を放置したまま退社することは許されません。

弊社は、まだ「Pマーク」は取得していませんが、前職では、ISOもPマークも取得していたので、退社時には、机の上の書類を、無理やりサイドワゴンに押し込んで帰ったものです。


まあ、性格的な側面が強いと思いますが、私の場合、身の回りが「乱雑」だと落ち着かない性分なので、学生の頃から、机に、書類や物を放置することはありませんでした。

それでも、社会人になった当時は、今ほど、書類の電子化が進んでいませんでしたので、と言うか、電子化されたドキュメントなど皆無でしたので、日々の開発作業で使う資料は、机の隅に置きっぱなしでした。


但し、言い訳になるかもしれませんが、書類は、左図のように、業務毎にクリアフォルダーに入れて、ファイルボックスに縦置きで整理していました。

この整理方法も、後で紹介しますが、非常に効果的な整理方法です。

しかし、当時は、PCも、WordもExcelも存在しない世界でしたから、資料は全て手書き、会議では、必要部数をコピーしてと・・・紙が、どんどん増えていく時代でした。

私の先輩の机は、本当に紙で溢れかえっていて、私的には、見ているだけで、気分が悪くなってきそうな、まるで「カオス状態」の机でした。

現在では、当時は想像も出来ませんでしたが、社員1人にPC1台、資料はWordで作成して、メールで配布・・・とても快適です。

しかし・・・そんな快適な環境においても、机の上が、書類で溢れかえっている人がいます。


一体、どうして、そんな事になるのか、私には、理解できません。

恐らく、近頃、問題視されるようになってきた「ゴミ屋敷」の住人の方も、似たような性格なのかもしれません。

まあ、「ゴミ屋敷」の場合、自分のゴミを捨てられないだけでなく、他人のゴミまで持ってきてしまう人もいるので、ちょっとパターンが違うとは思いますが・・・

そこで、机の回りの整理方法として、主に、次の2点を紹介します。

・書類の整理方法
・会社としての規則化
・整理のイベント化

それでは、順番に紹介します。


●書類の整理方法


書類整理の基本は、とにかく不要な書類は破棄することに尽きます。

「そんな事は解ってるよ! 捨てられないから困ってるんだ!」

と、社内の「ゴミ屋敷」の住人は、言うでしょう。

それならば、社内で「書類を捨てる基準」を決めてあげれば良いと思います。基本的な基準は、次の2点です。

・電子データがある書類は破棄する
・1年以上見ない書類は破棄する

(1)電子データがある書類は破棄する

電子データが存在している書類を、わざわざプリントして、紙で持っている必要はありません。必要な時だけ、印刷すれば良いだけです。


「プリントアウトした紙に、手書きのコメントを書いているから捨てられないんだ!。」と言い訳をする人も居るでしょう。

それなら、オリジナルの電子データを、自分用のデータとしてコピーし、コピーしたデータに、コメントを入力すれば良いだけです。

「Word」には、コメント入力機能が付いています。折角付いている機能は、有効に使いたいものです。ちなみに、現在では、PDFファイルにも「コメント(注釈)」を付けることは可能です。


他方、「捺印付きの書類は、紙として保存しなきゃ・・・」と言う問題もあります。

しかし、貴方は、総務部や経理部の社員ですか ?

確かに、契約書等、相手の捺印が付いている書類は、原紙を保存しておく必要があるとは思いますが、契約書等の重要書類を管理するのは、総務部や経理部です。

一般の営業職や開発職の社員が、そのような重要書類を保存するとは思えませんし、もしも、貴方が、そのような重要書類を持っているのなら、その書類は、該当部署に預けるべきです。

貴方が、持つべき書類ではないと思います。

万が一、捺印付きの書類を保管する必要があるのならば、スキャナー等で電子データ化し、電子データとして保管する方法もあります。

紙として、必要なのか、自分が管理すべき書類なのかを検討し、然るべき対応を取って下さい。判斷がつかなければ、上司に相談する方法もあります。


(2)1年以上見ない書類は破棄する

次に、電子データが存在しないので、紙として保存している書類ですが・・・何時まで、保存しておくのでしょうか ?

数年前に終了したプロジェクトや案件の書類を、将来見るかもしれないからと思い、ずっ〜と保存していませんか ?

普通、1年間見ない書類は、今後も見ることは、まず、無いと思います。

書類はデータで、データには賞味期限があります。このため、まずは、書類の「賞味期限」を、次のルールで分類してみて下さい。


1)現在進行中のデータ
2)終了したばかりのデータ/参照した過去データ
3)将来見るかもしれないデータ
4)もう見ないデータ/電子データが存在するデータ

4)のデータは、今直ぐにでも破棄して下さい。そして、可能であれば、1)〜3)のデータを、3段のサイドキャビネットに、上から順番に格納して下さい。

とは言っても、サイドキャビネットの一番上は、通常、ペン等の文房具を入れていますので、書類の格納は、難しいと思います。

このため、もしも机の上に、書類を置けるのであれば、次のような形で保存しておけば良いと思います。

・机の上 進行中のプロジェクトの書類
・キャビネット1段目 文房具
・キャビネット2段目 終了したばかりの書類/参照した過去書類
・キャビネット3段目 将来見るかもしれない書類

このため、もしも、万が一、ひょっとして、キャビネット3段目の「将来見るかもしれない書類」に保存してあるデータを参照した場合、その書類に関しては、3段目から2段目に移すことになります。

こうして1年が経過すると、キャビネットの3段目に残っている書類は、1年間、1回も見なかった書類になりますので、年末、あるいは年度末に、キャビネットの3段目に残った書類を破棄することで、不要な書類は、自動的に処分されていくことになります。


公官庁、および企業は、年度単位で事業を行いますので、1年間、何も動きのない案件やプロジェクトに関しては、大抵の場合、もう「日の目を見る」事は無いと思います。

また、進行中の案件に関しては、前に紹介したように、次のような方法で保存して下さい。

・案件毎にクリアファイル等で管理する
・フォルダーボックスで、「立てて」管理する
・ラベル/見出しを付ける

このように保存することで、必要な書類を、直ぐに見つける事が出来るようになります。

それと、絶対に、書類を積み重ねないで下さい。書類を積み重ねると、何が、何だか解らなくなってしまいます。

また、机の上に書類を置けない場合には、退社時には、フォルダーボックスごと別のキャビネットにしまって、翌日の出社時には、また、フォルダーボックスごと取り出せば良いと思います。

(3)破棄する場合の注意点

これで、保管すべき書類と廃棄する書類が明確になりました。そこで、本章の最後に、書類を廃棄する際の注意点を記載しておきます。

現在では、個人情報の管理が重要になっていますが、個人情報は、保存する書類だけでなく、廃棄書類に関しても注意が必要です。

廃棄書類に、下記のような個人情報が含まれている場合、注意する必要があります。


・お客様情報 :氏名、会社名、会社住所、メール・アドレス、部署名、役職名、連絡先
・自社情報 :従業員名、履歴情報、応募情報、その他個人を特定できる情報

このような個人情報が含まれている書類は、基本的に、シュレッダーに掛けた上で廃棄するようにしましょう。

万が一、シュレッダーが無い場合、(会社にシュレッダーが無い会社は存在しないと思いますが)「SECURE STAMPER」等のスタンプで、個人情報を消した上で破棄して下さい。


それと、机の整理とは関係ないと思いますが、書類には、各種法律により、一定期間は保存しなければならない書類があります。

例えば、自社株式データ、公官庁提出書類等の法定保存処理や契約関連書類等は、保存すべき期間が、法律で定められていますので、該当書類の廃棄には注意が必要です。

この手の書類は、総務/経理の部員は知っていると思いますが、1年間見ないからと言って、単純には破棄出来ないものなのです。

(4)机回りを整理する事のメリット

これまで、机回りの整理方法を紹介してきましたが、机回りを整理することで、何か良い事があるのでしょうか ?

まあ、見た目が綺麗になる事は当然ですが、それ以外にも、今回のブログの目標でもある、次のようなメリットがあります。

・探しものが直ぐに見つかる
・机の作業スペースが拡がるので作業しやすくなる
・スッキリした気分で仕事が出来る
・「出来る人間」に見える

等のメリットを挙げる事が出来ます。

特に、『 探しものが直ぐに見つかる 』と言うメリットは、当然、作業効率が上がりますので、個人、部署、そして会社にとってもメリットがあります。

また、「作業効率が上がる」と言うことは、最終的には、お客様へのサービスが向上する、と言う事に繋がります。

単に、個人の机を綺麗すると言う目的ではなく、最終的に、お客様へのサービス向上になる事を意識し、全社的に、机回りの整理を行うことが重要だと思います。

●会社としての規則化

このように、個人、最終的には会社として、顧客満足度の向上に繋がる「机回りの整理」ですが、やはり会社として規則化しないと、継続させるのは難しいものがあると思います。

いくら上司が注意しても、規則化されておらず、給与/賞与等の査定対象にもなっていない目標に関しては、誰も注意を払わないと思います。

また、部門のリーダーが、几帳面な人ならまだしも、そのリーダー自身の机の上が「カオス状態」の場合、もう、その部署での「机回りの整理」など、夢のまた夢だと思います。


さらに、将来的に「Pマーク」等、セキュリティの向上を目指すのであれば、と言うか、今後は、職場におけるセキュリティの向上は必須事項、当然の、そして当たり前の事になると思います。

机回りが「カオス状態」の場合、おそらく、と言うか、必ず、重要な書類や個人情報が含まれた書類も、机の上に放置されたままになっていると思います。

このような状態で「セキュリティの向上」と言っても、本当に、掛け声倒れの「画餅」になってしまうと思います。

役員クラスが先頭に立ち、後述する「イベント化」等により、会社として、「机回りの整理」を推進する仕組みを考える必要があります。

●整理のイベント化

本章の最後に、「整理のイベント化」の仕組みを紹介したいと思います。

「机回りの整理」を、個人、あるいは部署に任せてしまうと、どうしても、個人、あるいは部署間で「差」が出てしまいます。

人類の社会生活では、どう頑張っても、何らかの「差」が生まれてしまいます。

「資本主義」における企業では、仕事を頑張って成果を出した人と、成果が出なかった人との間に、「差」が生まれるのは当然です。

かつては、「人類皆平等」を理想とする「社会主義」と言う思想もありましたが、「社会主義」は、かえって不平等な考え方だと思います。

そして、「資本主義」は不平等を認めていますが、会社の決まりに関しては、「不平等」があってはダメだと思います。会社の決まりを守れない人には、何らかの罰則を適用すべきです。

それでは、決まりを守れない人に対して、直ぐに「罰を下す」のか ? と言うと、これも間違いだと思います。

まずは、会社として、社内の規則を説明して納得させ、さらに規則を守るための教育や啓蒙活動を行うべきだと思います。

そして、その上で、規則を守れない社員に対しては、下記ヒアリングや面談等を行い、次回、規則を破った場合の対処を説明し、それを理解させる必要があります。

・何故、規則を守れないのか
・今後、どうするつもりなのか
・次回、規則を破ったら、どうなるのか

今回紹介する「片付けイベント」は、上記の「啓蒙活動」の一環になると思います。

イベント化の仕組みや方法は、沢山あると思いますが、まずは、会社としての本気度を示すためには、役員クラスの主催者を決定する必要があります。もちろん、社長が主催者になれば一番です。

しかし、役員クラスは、通常は、「お飾り」です。会社活動のトップに役員を置くのは、その活動に関して、何らかの予算が必要になった時に、予算を獲得しやすくするためですが、当然、実際に、役員クラスが音頭を取り、社内活動を行えるのであれば、何ら問題はありません。

このため、通常は、役員の下に、実際に、活動の指揮を取る、部長クラスの人材が必要になります。

そして、指揮官の下に、実際に行動を起こすメンバーを、各部門/部署から1名程度参加してもらい、毎週、あるいは毎月、担当者が、各部門の机回りをチェックする事になります。

まあ、これが一般的な「机回りのチェック・イベント」になりますが、そこに「お祭り的な要素」を組み入れる事で、堅苦しいイベントの雰囲気を変える事も可能となります。

例えば、チェック結果をグラフ化して、社内に張り出して、毎月、朝礼等で報告するとか、あるいは1年間、机回りが「カオス状態」の社員が所属する部署が、社内の別イベントで、何らかの「芸」を披露するとか・・・

とにかく、チェック結果を蓄積し、その結果を、社内全員が集まる場所で発表させ、一番「カオス状態」の社員が所属する部署に、何らかのペナルティ的な事、「罰ゲーム」等を行わせる事で、「お祭りイベント化」させる事が可能になります。

肝心な点は次のような点です。

・社内全体で行う
・個人攻撃をせず、部署単位で責任を取らせる
・罰ゲームは、お金の掛らない、楽しいイベントにする
・継続させる

特に4番目の「継続させる」と言う点が重要です。1回だけのイベントなら、誰でも簡単に行なえますが、これを「継続させる」となると大変です。

思いつきだけでなく、社内でタスクチームを作成し、きちんと検討してみて下さい。

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今回は、机回りの整理方法を紹介しましたが、如何でしたでしょうか ?

机回りを綺麗に整理している人は、(余計なお世話かもしれませんが)仕事が出来る人に見えますし、実際、身の回りの管理が出来ていると言うことは、自然と仕事の整理や管理も、上手に出来ているのではないかと思います。

また、自分の机周りは綺麗かもしれませんが、ちょっと回りを見渡して下さい。

絶対に、一人、二人と、「社内ゴミ屋敷」は存在するはずです。

貴方が部門長やリーダーであれば、部門の成績が向上しないのは、彼ら「社内ゴミ屋敷の住人」の影響かもしれません。

今年は心機一転、自部門から、「ゴミ屋敷」を無くすことを目標に掲げてみては如何ですか ?


それでは次回も宜しくお願いします。

以上

【画像・情報提供先】
Wikipedia(http://ja.wikipedia.org/)
WSJ情報(http://crd.ndl.go.jp/reference/modules/d3ndlcrdentry/index.php?page=ref_view&id=1000036144)
月刊総務オンライン(http://www.g-soumu.com/dictionary/ct01/cat22/cat88/)
・人にもPCにも優しいファイルとフォルダの整理術(http://tonari-it.com/folder-file-management/)

【株式会社 エム・システム】
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