キャッチ・コピーに潜む罠 (12/05) 〜 キラキラ・ワードに気を付けろ!


突然ですが、皆さん、「キラキラ・ネーム」はご存知ですよね !?


『本気と書いてマジと読む』ではありませんが、自分の子供に、当て字を使ってトンデモナイ名前を付ける事です。


2015年の上半期のベストスリーは、次のようなトンデモナイ名前になっていたそうです。


★第一位「苺愛」 :いちあ、べりーあ、等
★第二位「皇帝」 :しいざあ、ふらんつ、等
★第三位「黄熊」 :ぷう


まったく、ア然としてしまう名前ばかりですが・・・どうなのでしょうか ?


まあ、自分の子供だから、好きな名前を付けるのは構わないと思いまし、自分の子供に変な名前を付けているだけで、人様には迷惑を掛けていないので、他人の私が、とやかく言う筋合いでは無いと思いますが・・・


今年の上半期は3位に沈んだ「黄熊(ぷう)」ですが、ここ2〜3年は、常に上位にランクインしているようです。しかし、「ぷう」と言う名前の子供は、学校で「イジメ」のターゲットに、ならないのでしょうか ?


私が子供の頃は、名前が少し変だと言う理由だけで、学校やクラス内で、イジメのターゲットになっていたものです。


名前は、家庭裁判所に申し出て「正当な理由」があれば変更可能なのだそうですが、それ以外は変更不可です。


しかし、裁判所に「正当な理由」を認めて貰うのは至難の業なので、改名は、ほぼ不可能だと思った方が良いかもしれません。


親は、気に入ったので「キラキラ・ネーム」を付けたのだと思いますが、子供にとっては、一生、死ぬまで付き合わなければならない物です。


やはり、自分の思いだけでなく、子供の将来を考えてあげた方が良いと思います。

                                                                              • -

ところで、「キラキラ・ネーム」ではなく、「キラキラ・ワード」と言う言葉はご存知ですか ?


「キラキラ・ワード」とは、元々は、「素敵な言葉」とか、そのままですが、「眩しすぎる言葉」、「眩しすぎるキーワード」と言う様な意味で使われていました。


しかし、2013年頃から、ある営業コンサルタントが、「射幸心を煽る言葉」として、「悪意」のある言葉として使い始めてしまい、現在では、前述の「キラキラ・ネーム」の影響もあり、どちらかと言うと、「悪意のある言葉」として使われる機会が増えてしまったような感じがします。


どのような時に「キラキラ・ワード」が使われるのかと言うと、いわば「キャッチ・コピー」です。


例えば、ホームページや書籍のタイトルに、「頑張らなくても上手く行く」とか「無理しない方が良い」等と書かれた書籍を見たことはありませんか ?


右の画像が、「頑張らなくても上手く行く」系の書籍ですが・・・皆さん、本当に「頑張らなくても上手く行く」と思いますか ?


私は、人間とは、自分の出来る事だけやっていたら、絶対に成長しないと思うのですが・・・間違えていますかね ?


似たような感じの「キャッチ・コピー」では、次のようなキーワードがあります。


・努力せずに
・近道をして
・人生を変える
・自分を超える


こんなキーワードは、どうも私には、まぐれ当たりの利益を願う「射幸心」と言うよりは、「自分を甘やかす」言葉としか思えません。


『 努力をせずに、近道をして、人生を変えて、自分を超える 』


こんな事が出来るのは、既に、大金を手にしている人達だけ、あるいは親の遺産を食い潰している人達だけです。私を含め、その辺にたくさん居る世間一般の人達が、こんな事出来るはずがありません。


こんな言葉に踊らされて、上述のような本を買うのもバカらしいですが、本だけなら、たいして高価ではないので、良いかもしれません。


しかし、こんな言葉を鵜呑みにして、転職などを考えていたら、とんでもありません。


そこで、今回のブログでは、「キャッチ・コピーに潜む罠 〜 キラキラ・ワードに気を付けろ!」と題して、危ないキャッチ・コピーを紹介したいと思います。


それでは今回も宜しくお願いします。

                                                                                                                                                              • -

■「あえて目標は立てない方が良い」


この言葉をキーにして、Webを検索して見て下さい。沢山、この言葉に同調するWebサイトが現れます。


仕事において、「目標」が無いと言うことは、絶対に有り得ません。これらのサイトを軽く見てみると、次のような事を平気で書いています。


・目標を立てると苦しくなる
・目標に縛られる
・目標を立てると価値の変化について行けなくなる
・目標よりも、今やるべきことをやれば良い
・やってみないと分からない・・・・等


済みません、私には、どれも言い訳にしか聞こえません。


「目標よりも今やるべきことをやれば良い」は、次章と重複する項目なので、触れませんが、仕事に「ゴール」は付き物です。「ゴール」、即ち「目標」です。


「ゴール」/「目標」を設定せずに仕事には着手できません。また逆に、「ゴール」/「目標」が無い仕事とは、どのような仕事なのでしょうか ? それは、仕事ではなく、趣味ではないのでしょうか ?


しかし・・・趣味にも、目標はありますよね !?


私も、趣味で釣りをしますが、毎回、「今日は10匹釣りたいな〜」とか、「今日は、この釣り方を試してみよう!」とか、ある程度の目標は立てます。


「あえて目標は立てない方が良い」と言う人は、計画の立て方や見直し方が解らない人、あるいはスケジュールを守れない人なのではないでしょうか ?


・目標を立てると苦しくなる → 計画の失敗
・目標に縛られる → 仕事では当たり前/計画見直しの失敗
・目標を立てると価値の変化について行けなくなる → 計画の見直し/チェック方法の失敗
・やってみないと分からない → 確かにその通りだが、何をやるのかも計画の内


全て、自分の失敗を「目標を立てる事」、あるいは「目標自体」に転嫁しているだけのように見受けられます。


よく「壮大な計画を立てると失敗する。だから計画や目標は不要!」と言っている人がいますが、何の事はない、単に、計画の立て方、および実行方法や順序を間違えているだけ、あるいは計画そのものに間違いがあるだけだと思います。


根拠も何も無い状況で、「年間売上目標5億!」などと言う目標を立てれば、そりゃ、苦しいですよね。


しかし、物事/仕事を成功させるためには、まず目標を立てて、その目標を実現するために、次の「5W2H」を考える事から始まります。


・Who :誰がやるのか ?
・When :何時までに実現/実行するのか ?
・Where :何処でやるのか ?
・What :何をやるのか ?
・Why :何故やらなければならないのか ?
・How :どうやってやるのか ?
・How much :いくらで、やるのか ?


この他にも、「SMART法」、「MECE」、あるいは「マーケティングの4P」等、計画や目標の立案方法は、いくらでもありますが、上記の方法が一番簡単で、余計な知識やスキルは不要です。


「年間売上目標5億」が達成可能な目標なのか、現時的な目標なのかは、「5W2H」でチェックしてみれば、直ぐに判ると思います。


しかし、競馬やパチンコ等、ギャンブルで一攫千金を目指すなら目標は不要です。お金を握りしめて、競馬場や場外馬券売り場に行って、馬券を買うだけです。


これならば、あえて目標は立てない方が良いかもしれません。「競馬で100万円稼ぐ!!」などと、ヘタに目標を立てると、目標達成の前に自己破産してしまうと思います。

                                                                                                                                                              • -

■「今この瞬間を一所懸命やればいい」


「今この瞬間を一所懸命やればいい」、「目標よりも今やるべきことをやれば良い」・・・何か、刹那的ですよね。こんな言葉を言う人は、明日にでも、死んでしまうのでしょうか ?


確かに、今やるべきことを一生懸命やるのは大切です。


曹洞宗の開祖「道元禅師」も、『 而今(にこん) 』と言い(カメラではありません)、『 今、この瞬間の自身の言動に集中し、心を向けて懸命に取り組む事こそ、事態を好転させる唯一の方法である。 』と説いています。


しかし、「今やるべき事」とは何でしょうか ? そして、「今やるべき事」にも、何らかの目標やゴールがあるのではないでしょうか ?


ゴール/目標を、しっかりと見定め、その上で「今やるべき事」をやらないと、全く話になりません。



「目標よりも今やるべきことをやれば良い」と言っている人は、本当は、何をすべきか解らない人なのではないかと思います。


「何をすべきか解らない」、だから、取り敢えず、今やっている事を、そのまま、ダラダラやるだけ・・・



「今この瞬間を一所懸命やればいい」と言う人も、目標やマイルストーンが把握した上で、この発言をしているならば、何も問題はありません。私としても、「その調子でお願いします。」と言いたくなります。


しかし、上記同様、スケジュールや進捗状況、ゴール/目標を、な〜にも理解していない状況で、こんな言葉を吐かれたら・・・「明日から、会社に来なくていいよ!」と言いたくなります。


私の属するIT業界、それもソフトウェアを製造してお客様に納品する企業では、きちんとした作業フローが存在します。


実際は、もう少し複雑ですが、大まかな作業フローは、次の通りとなります。


設計 → 製造 → 単体試験 → 結合試験 → 納品 → 受入試験


「納品」以降の作業は、通常は、お客様の作業になりますが、「設計 → 製造 → 試験」、この流れは、絶対に変えられません。


このような作業フローにおいて、設計作業をいい加減に行い、その状態で製造作業に入ってしまうと、絶対に「手戻り」が発生します。


つまり、本来は、設計作業を行うべき時期に、「今この瞬間を一所懸命やればいい」とか、「目標よりも今やるべきことをやれば良い」とかほざいて製造作業を行われてしまっては、事業が成立しなくなってしまいます。



仕事には、作業をやるべき時期やタイミングが必ず存在します。作業をやるべき時期やタイミングを間違えると、絶対に、後工程に悪影響を及ぼします。


時期やタイミングが解らない社員は、他の社員の迷惑になりますので、このような人間は、作業工程から除外するしかありません。



時期やタイミングに関しては、仕事以外でも同じだと思います。


餌を付けずに、針を投げても魚は釣れません。ゴルフでも、グリーン上でドライバーを使う人は、絶対に居ないと思います。


何事にも目標とゴールが存在し、目標/ゴールを達成するためには、適切な時期やタイミングで、適切な作業を行う必要がある、と言うことです。


適切な時期やタイミングも解らず、「今、この一瞬を、一生懸命に」と言われても、他の人にとっては迷惑なだけです。

                                                                                                                                                              • -

■「80%主義で行こう」


よく「80%主義」とか「60%主義」、あるいは「完璧でなくて良い」とか言いますが、これらの言葉は、使い方次第だと思います。


例えば、次のような場面で、この言葉を使うと、貴方の評価は、ガタ落ちです。恐らく、降格/降給、あるいはひどい場合には免職等の憂き目を見るでしょう。



・期の途中で営業目標の達成は「完璧でなくて良い」と言い出す
・お客様への納品時にシステムの仕様達成率は「完璧でなくて良い」と言い出す


営業目標は必達が前提です。最初から「未達でも構わない」等と言う会社は有り得ません。努力した結果として、目標達成率が80%とか90%なのは仕方がありません。


そして、来年度は、今年度出来なかった点、不味かった点を反省して改良し、来年の目標を達成すれば良いのです。


しかし、営業職の社員が、期の途中で、営業目標の達成に関して、「俺は80%主義」とか、「完璧でなくて良い」とか言い出したら、即、クビです。


結果はともかく、会社として決めた目標に対しては、全力で挑戦すべきです。


よく、「俺が決めた訳じゃない」とか「上司が勝手に決めた事だから」とか言い出す輩がいますが、それなら、どうして目標が決まる前に、意義を申し立てないのでしょうか ?


目標が決まった後で、「俺が決めた訳じゃない」とか言うのは、完全に社会モラルに反しています。



確かに、会社によっては、「どんなに頑張っても、絶対に達成出来ない営業目標」を掲げる会社もあります。私が、以前働いていた会社も、そんな感じでした。


最初は、各部署から来期の売上目標を提出させるのですが、結局最後は、経営トップの判断、と言うか「天の声」で、次のような業務命令が下されます。


『 来期の売上目標はn億円とする。ついては、この目標を達成するために、再度、各部署で営業目標を
見直して再提出するように。ちなみに、提出期限は、明日までです。 』


その結果、営業関連の部署のリーダーは、全員徹夜です。全く、話になりませんでした。


それでも、会社として決めたことですから、決まった後は、その目標を達成するために、皆んなで頑張りました。まあ、目標を達成できる部署は、ほとんどありませんでしたが・・・


これは、法律や政令、または条例も同じだと思います。今の、法律や政令、貴方が決めた事ですか ? 違いますよね。それでも、遵守しなければ、罰則を与えられます。



それと、システムの仕様の話ですが、お客様に製品を納品する場合、仕様は、絶対に100%満たしている必要があります。これが、60%とか80%だった場合、製品に瑕疵があるとして、必ず訴えられてしまいます。


お客様に納品後、受入試験で、機能不足等を指摘されるケースは良く有りますが(本当は有ってはダメなのですが)、最終的には、機能不足を解消して納品を完了させます。


これは、私達の属するIT業界に限らず、全ての業種にも当てはまることだと思います。

                                                                              • -


もともと「80%主義」/「80点主義」と言うのは、トヨタ自動車の初代カローラの開発責任者である「長谷川 龍雄」氏が考えだした商品開発のコンセプトです。


「長谷川」氏が目指した「80点主義」と言うのは、商品の完成度を高めつつ、一つの項目に飛び抜けた性能を与えるのではなく、全ての項目に対して「80点」を目標に商品を開発し、「80点」を超えた項目に関しては、更に上を目指した商品開発を行うと言う、トータルバランス型の商品開発コンセプトの事です。


このため、昭和40年代以降には、カローラが爆発的に売れ、日本における「国民車」的な地位を獲得しましたが、その反面、「トヨタの車には個性が無い」と批判される原因にもなってしまいました。


しかし、「80点主義」とは言え、車としての基本性能は、当然、「100点主義」です。「80点主義」だから、「ブレーキの効き具合も80%」では話になりません。

                                                                              • -

また、アイディアを出しながら商品開発を行う仕事、例えば、弊社の場合でも、80点のまま走りだし、最後に100点にするケースは良くあります。


IT業界では、お客様の要件や問題をヒアリングして、問題点を解決する方法を、提案書に整理して提出しますが、初期の段階では、お客様の要件/問題を、100%聞き出すのは、ほぼ不可能です。


しかし、お客様も、基本要件や解決したい問題点だけはしっかり押さえていますので、最初は、この基本部分だけに焦点を当てて、基本部分を解決する仕組みだけを提案し、この部分を、第一次開発として作業を開始します。


また、第一次開発時点では、基本部分以外の機能を周辺機能として、基本機能と周辺機能は、大雑把なインターフェースだけを考えておきます。


そして、基本機能の開発作業と並行し、周辺機能の要件を詰め、基本機能の開発作業が終了するまでに、周辺機能の詳細要件を決定し、これを第二次開発として開発を開始します。


さらに、第二次開発がスタートした時点で、当初導入した基本部分に関する見直しを行います。


最初に導入した基本要件部分に関しても、いざ使って見ると、当初の設計時には把握できなった、使いづらい部分が必ず明らかになります。


このため、この使いづらい部分の修正を、第三次開発として行えば、このシステムは、ほぼ完璧なシステムとなります。後は、少しずつ機能追加や機能修正を加えて行けば、余程の事が無い限り、10年程度は使い続けることが出来るシステムとなります。


このように、最初は80%で走り出し、最後は100%に仕上げる様な作業工程の場合、最初は「完璧でなくても良い」とか「80点主義」でも良いとなります。

                                                                              • -

一方、「80点主義で行こう!」等と提唱し、「全ての仕事を80%で完了させ多くの作業をこなす」とか言っている人がいますが・・・どうなのでしょうか ?


さらに、このような事を言い出す人は、「100%主義だとストレスが貯まり鬱病になる。」とか言っていますが・・・


私は、このような事を言う人には、絶対に仕事は依頼したくありません。


成果物に瑕疵があり、修正を依頼した時に、「ウチは80%主義ですから」とか言われたら、皆さん、どうしますか ?


「そうだよね〜、80%主義最高!」と言って納得できますか ? 私には、そんな事は絶対に許せません。

                                                                                                                                                              • -

■「XXを変えるだけで成功する」


こんなキャッチ・コピー見たことはありませんか ?
・1日1つを変えるだけで成功する
・1%のことを変えるだけで成功する
・1つの習慣を変えるだけで成功する


「小さな事をコツコツと」、確かに、至極ごもっともな説だとは思いますが・・・


正直、私には、こんな事は出来ません。

                                                                              • -

皆さん、何故、こんな簡単な事を、私が出来ないのかと不思議に思うかもしれませんが、「1日1個の事を変える」と言うのは、複利計算になる事を解っていらっしゃいますか ?


つまり、毎日、何か1個の習慣を変え、かつ、その変えた習慣を維持しながら、翌日には、さらに別の何かを1個変えなければならないからです。


もう少し具体的な例ですと、例えば「キラキラ・ワード」のキャッチ・コピーで、「1日1%の事を変えるだけで成功する」と言うフレーズがあります。


このフレーズを使う方の言い分では、最初の自分の能力を「100」として、1日1%ずつ変えて行けば、1年後には、自分の能力は「約3,778」になる、と言う事らしいです。


何か、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)の「HP(Hit Point/Health Point)値」の様な感じがしますが・・・


確かに、最初の値を「100」として、複利計算で毎日1%ずつ能力がアップするとすれば、1年後(365日後)には、計算上は、貴方の能力値は「3778.343・・・」となります。


しかし、これは、昨日の貴方、そして一昨日の貴方を維持した上での、計算上の数値です。


私は、こんな器用な芸当が出来る人間は、「MKノー(見たことも、聞いたこともありません。)」です。


こんな芸当が出来るのは、銀行の利子ぐらいだと思います。


皆さんは、「毎日1%の事を変える」心意気で、少しずつ、良い方向に、仕事や人生を変えて行って下さい。


小さな事を少しずつなら、まずは、気持ちを変えることです。

                                                                                                                                                              • -

■「貴方は貴方らしくあれば良い」


これは、既に目標を達成した人に向けた言葉なら、何の問題もないと思います。まさに、左の画像の通り「Good!!」です。


しかし、目標も何も達成出来ていない人に、「貴方は貴方らしく」、な〜んて事は、決して言ってはいけません。


そんな事を言ってしまっては、その人は、一生落ちこぼれのままになってしまいます。


また、この言葉と同じ意味で、「ナンバーワンよりオンリーワン」をと言う言葉と使う人も居ますが・・・言葉の意味を間違えています。



元々、この「ナンバーワンよりオンリーワン」と言う言葉ですが、どこかのアホな歌手達が唄った歌詞の様な意味ではありません。


ビジネスの世界での「ナンバーワンよりオンリーワン」とは、特定分野でNo.1になる「オンリーワン戦略」の事を意味しています。


この「オンリーワン戦略」とは、簡単に説明すると、次のような意味となります。


『 大多数の企業が参加する市場で「No.1」になるのは非常に難しいので、参加者が少ないニッチな
市場で「Only One」になり、そのニッチな市場で価格決定権を掌握し「No.1」になる。 』


この考え方は、1980年に、アメリカの経営学者「フィリップ・コトラー」が唱えた「市場地位別戦略」を発展させた考え方となります。


それなのに・・・2003年以降、アホの影響を受けた、もっとアホな連中が、もっともらしい説明を真に受けて、「世界で唯一の存在になれ」とか「個性が重要」とか、人を甘やかす言葉として使われるようになってしまいました。

                                                                              • -

また、社会人として企業で働き続ける限り、本当は、「貴方は貴方らしくあれば良い」等と言うことは有り得ません。


先に、目標を達成した人には、この言葉を掛けても良いと言いましたが、それは一時的な事です。


ある目標を達成しても、次の目標があります。このため、次の目標を達成するためには、「今のまで良い」訳がありません。


さらに進化し続ける必要があります。誰が言ったのかは解りませんが、「人間、死ぬまで学習」です。


良い意味で、常に挑戦し続ける自分を、「自分らしく」と言うのは、非常に良いことだと思います。


しかし、何も実行しようとしない自分に対して、「自分らしく」等と部下が言い出したら要注意です。


こんな部下を見捨てるのは簡単ですが、「自分らしさ」とは何なのかを自覚させ、「常に挑戦し続ける」姿勢を身に付けるよう指導した方が良いと思います。

                                                                              • -

サッカーの日本代表が、よく「自分達のサッカー」と言う言葉を口にして、負けた時の言い訳で「自分達のサッカーが出来なかった」などと言いますが、これも、結局の所、甘えの言葉だと思います。


サッカーの試合、これをビジネスに例えると、交渉やプレゼンテーションの最中になると思いますが、自分達主導で、交渉やプレゼンを進めることなど、ほぼ不可能です。


常に、相手主導で物事が進みます。そして、案件を失注した時の理由で、営業担当が、「自分達のビジネスが出来なかったから失注してしまいました。」等と報告したら、どうなると思いますか ?


「明日から営業しなくて良いから」/「会社にも来なくても良いよ」と言われるのがオチです。


営業担当は、当然、自分達主導でビジネスを進めたいと思いますが、物事は、何事も流動的に進みます。


このような時に、その時々の状況に合わせて主導権を握ろうとするのが「プロ」です。主導権を掌握できない時に、どうするのか ? そのために、常日頃から資料を準備し、コミュニケーション術を磨くのがプロです。


「自分達のサッカーが出来なくなるのは当たり前」です。だから、その時に、どう対応するのかが重要になるだと思います。


サッカー日本代表にとっては、これから、さらにワールドカップ予選が厳しくなると思いますが、彼らには、当然勝ち進んでもらいたいと思っています。


これからは、彼らの口から「自分達のサッカーが出来ない」等と言う、プロに相応しくない言葉が、出ないことを期待したいと思います。

                                                                                                                                                              • -

■「無理しないほうがいい」/「頑張らなくても上手く行く」


「無理しないほうがいい」/「頑張らなくても上手く行く」に関しては、本ブログの最初に取り上げましたので、本章では、余り詳しくは書きません。


但し、次の2つのケースは、本当にムリしないほうが良いと思います。


第一に、目標そのものに具体性が無いものや、明らかに常軌を逸している場合です。


例えば、「根性で昨年度売上を超える!」とか、「努力して営業目標必達を!」などと言う、精神論を前面に出した目標は、まず達成出来ないと思います。


確かに、ある場面では、根性論とか精神論も必要になる時は有るのかもしれませんが、「常に根性」だけでは話になりません。


また、常軌を逸した場合とは、「毎日徹夜で」とか、「目標を達成するまで家に帰るな!」とか、明らかにおかしな指示には従う必要は無いと思います。



私が若かった頃、およびその当時は、1ヶ月の残業時間が300時間なんて、普通だと思っていましたし、冗談抜きで、同僚同士で「お前、300時間働いてないの!! 信じられん」とか、夜22時頃に帰ろうとすると「おっ今日は、早いじゃん!」等と言い合っていました。


今なら、こんな働き方したら、即座に「ブラック企業」とか、「過労自殺を生む会社」とか非難されそうですが、その当時は、これが普通だと思っていましたし、仕事自体が楽しかったので、何とも思いませんでした。


私が、月300時間の残業したから、今の社員にも同じくらい残業しろとは言いません。実際、弊社では残業0時間が当たり前になっています。


このように、常軌を逸した目標や指示は、今では、作業効率を低下させるだけですので、やるだけ無駄だと思います。

                                                                              • -

あと、本当に鬱病の人に「頑張れ!」と言うのは、「禁句」らしいです。


鬱病」の人は、頑張りたくても、頑張れないのが「鬱病」なので、この言葉は、かえって症状を悪化させるだけなのだそうです。



但し、現在では、社会に「エセ鬱病」が蔓延しており、事実、弊社にも、過去には「エセ鬱病患者」が居て、メンバーに迷惑ばかり掛けていたので、その見極めは大変です。


この「エセ鬱病患者」は、次のような行動を取ります。


・嫌な事はやらないで好きな事はやる
・仕事は嫌だが、友達と頻繁に遊びには行く
・何か言われると「周りの人が理解してくれないから症状が悪化するんだ!」と人のせいにする


このような症状が出てきた社員は、きっと「エセ鬱病患者」ですから、他の社員に悪影響が及ぶ前に、何とか排除した方が良いと思います。


弊社の場合、病気による休職か退職かを選択させる事で対応を取りました。

                                                                                                                                                              • -

■「やりたいと思える事だけやれば良い」/「「楽しいと思える仕事を見つけろ」


これも「結果論」の王道を行くキャッチ・コピーだと思います。


誰もが「自分のやりたい事/楽しいと思う事」だけを行って、お金を稼ぎたいと思っているはずです。


しかし、そんな事が出来る人間は、ほんの一握りです。そして、その一握りの人が、成功したから、こんな言葉を言っているだけなのです。

                                                                              • -


「好きな事/楽しい事」と言えば、まず思い浮かべるのは、その人の趣味だと思います。


私の趣味の一つに「釣り」があることは、本ブログにおいても記載しましたが、趣味を仕事にしても、それ程、楽しくないと思います。


皆さん、お解りだと思いますが、釣りを職業にしたら「漁師」です。漁師が、楽しい仕事だと思いますか ? 結果は明らかですが、今より、辛くなると思います。


また、スポーツを趣味にされている方もいると思いますが、スポーツで稼ぐと言えば、「プロの選手」です。


皆さん、今の仕事を辞めて、プロ野球選手やプロゴルファーになりたいと思いますか ? 恐らく、直ぐに挫折すると思いますし、そもそも、プロの選手になど、なれる訳がありません。

                                                                              • -

また「やりたい事だけやれば良い」・・・貴方はオーナー社長ですか ? 事業は、順調ですか ?


全て順調なら、「やりたい事だけやれば良い」と思います。


しかし、普通のサラリーマンで、「俺は、やりたい事だけやります !」と宣言したらどうなるでしょう ? もちろん、即クビです。


そんな事は、子供でも解りますし、私も、子供に、いつも注意しています。


「今は、ゲームやる時間か ? やるべき事をやってから、ゲームで遊びなさい ! 」

                                                                              • -

そうです。「やりたい事」の前に、「やるべき事」があります。


先ほど、オーナー社長で、事業が順調か、と問いましたが、それは、「やるべき事」をやっているから、「やりたい事」をやっても良い、と言う事なのです。


オーナー社長でも、事業が順調でないなら、事業に集中すべきです。


普通の会社の社長の場合、いくら事業が順調でも、役員会や株主が居ますから、「やりたい事」だけ行う訳には行きません。


その点、オーナー社長なら、役員会も株主も関係ありません。事業が順調なら、何でもOKです。

                                                                              • -

どうですか ?


人間には、「やりたい事」の前に、「やるべき事」があります。


また、「楽しい事を仕事にしろ !」と言いますが、楽しい事を仕事にしても、余り楽しくないと思います。


他方、「楽しい事」を仕事にすることは、手元資金が準備出来さえすれば、誰にでも出来ると思いますが、その仕事で利益を出し、かつ仕事を継続させるのは非常に難しいと思います。


今でも、「起業してから3年で90%の企業が倒産する」と言われています。


ただでさえ、起業して事業を継続させるのは「至難の業」です。こんな「キラキラ」したキャッチ・コピーに躍らされること無く、地道に進んでいくのが、成功への近道だと思います。

                                                                                                                                                              • -


今回の内容、如何でしたか ?


私には、どれも歯が浮いたようなセリフで、「どの口が、そんな事言ってるんだ!」と、相手の口を捻りたくなる言葉にしか思えませんでした。


そして、このブログを書きながら、「どうして日本人は、こんな言葉に、すぐに騙されるようになったのか ?」と言う事を考えました。


その結果、私なりに考えた結果が、次の2つの出来事です。


●バブルによる資産価値の上昇
株式投資による株価の上昇


どちらも、1980年代から発生し、2000年頃まで続いた、異常な経済活動です。


それまでの日本でも、「土地成金」と言うように、所有地を高額で売買し、一夜にして「大金持ち」になった人も居るには居ましたが、ほんの僅かな人達だけでした。


ところが、1980年代後半に「バブル景気」が始まり、それを引き継ぐ形で、1990年代後期に「ITバブル」が始まると、それ程価値が無い物に対して、不自然な価値/価格が付いてしまい、その結果、一夜にして大金を手にする人達が続出してしまいました。


そして、この「一夜にして大金を手にした連中」が、さらに金を稼ぐべく、「キラキラ・ワード」を使った本を大量に出版したために、世の中に「キラキラ・ワード」が氾濫し、かつ、その「キラキラ・ワード」に踊らされる人達も量産されたのだと思います。


このような連中は、確かに、


・無理をせず
・何も頑張らず
・目標も無く
・自分のしたい事、楽しい事をして


「大金」を稼ぎ出した訳ですから、彼らなりに「真実」を語っているのだとは思います。


しかし、それが、その他大勢の人達に当てはまるか、と言えば、それは大間違いのコンコンチキです。


普通の、土地も持たず、株券も持っていない人達の資産は「自分自身」だけです。俗に言う「裸一貫」です。


「裸一貫」の人達は、自身でスキルを身に付け、経験を積み、それを武器にして、世の中の階段を一歩ずつ登って行くのだと思います。


私も、(別に自慢している訳ではありませんが)最初は、コンピュータの事など、何も解らないままIT業界に入り、諸先輩やお客様、あるいは知人等に、色々とお世話になりながら、これまで、何とか、この業界で生きてきました。


「それで成功したのか ?」と言われると、言葉に詰まってしまいますが、それでも、何とか生きていますので、今のところは、OKとしたいと思います。

                                                                              • -


アメリカには「アメリカン・ドリーム」と言うように、「一攫千金」を願い、それを実現した人が沢山います。


別に、アメリカ人をバカにしている訳ではありませんが、実際にアメリカに行き、(英語は得意ではありませんが)その辺の人とちょっと話していても、普通に、次のような事を言い出す人は、「い〜っぱい」います。


『 俺は、今は、こんな所で暮らしているが、将来はハリウッドに行って俳優になろうと思っている。 』
『 私は、ブロードウェイでミュージカルに出演しようと思っている。 』



「お前、自分の顔を見てみろよ ! 」と言いたくなるような人が、本気で、このような事を言っているのですが、これが「国民性」と言うものだと思います。


また、このような「国民性」だからこそ、逆に、色々な発明をする人や、新規ビジネスを起こす人が、沢山生まれるのだと思います。

                                                                              • -

翻って、日本では、どうでしょう ? 『 ジャパニーズ・ドリーム 』と言うのは、余りピンときません。


ちょっと前、ITバブルの時代とその後に、「ヒルズ族」や「ネオヒルズ族」なる人達が居ましたが、結局、罪を犯して逮捕されたり、あるいは破産してしまったりと、皆、悲惨な末路を辿っています。



これも「国民性」なのかもしれませんが、やはり、私を含め、大半の日本人は、一攫千金ではなく、地道な努力が必要なのだと思います。人生は、キレイ事では済まないと思います。



「キラキラ」したキャッチ・コピーは、ボッタクリ・バーのネオンサインだと思った方が良いと思います。


「飛んで火に入る夏の虫」ではありませんが、危ないネオンサインには、近づき過ぎないのが身のためだと思います。



それでは次回も宜しくお願いします。

以上

【画像・情報提供先】
・リクルーティング スタジオ株式会社(http://namae-yurai.net/rareNameKirakira.htm)
・自動車開発の王道を築く(http://www.jahfa.jp/jahfa4/pala/person2-1.htm)

【株式会社 エム・システム】
本      社  :〒124-0023 東京都葛飾東新小岩8-5-5 5F
           TEL : 03-5671-2360 / FAX : 03-5671-2361
盛岡事業所  :〒020-0022 岩手県盛岡市大通3-2-8 3F
           TEL : 019-656-1530 / FAX : 019-656-1531
E-mail    : info@msystm.co.jp 
URL     : http://msystm.co.jp/
        : http://msystm.co.jp/excel_top.html
ブログ       : http://d.hatena.ne.jp/msystem/ 
Facebook   : http://www.facebook.com/msysteminc