本当の意味での作業効率化とは - その2

前回のブログでは、「本当の意味での作業効率化とは - その1」として、次の項目に関する説明を掲載しました。

(1)お客様が抱える作業・業務に関する問題点
(2)PCの性能
(3)効率化すべき作業とは
(4)効率化の進め方

今回は、前回の続きとして、次の内容を紹介します。

(1)システム化の検討
(2)外注会社の活用
(3)システム化の注意点
(4)人間が行うべき作業とは
(5)効率化した後の取り組み

全て大事な項目ですが、特に、(3)は、ソフトウェアによる業務効率化を行う時に、検討課題から漏れてしまうことが多い点について紹介しています。

また、(4)、および(5)は、効率化した後に「何をすべきなのか」と言う点について説明しています。

業務を効率化した後、現場は「作業が楽になった」と喜ぶとは思いますが、作業効率化の目的は、単に作業を楽にするのではなく、会社の経営に貢献してもらうことです。

効率化した後、現場社員の行うべきこと、会社への貢献の仕方等、重要な点を説明していますので、参考にして下さい。

それでは今回も宜しくお願い致します。

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■システム化の検討

ヒアリングを行い、問題点がある業務を炙りだした後は、その業務が、ソフトウェアを活用する事で、効率化できるか否かを判断することになります。

しかし、該当業務がシステム化できるか否かを判断する前に、業務フローを明確にし、さらに業務内の各作業に関しても、その詳細を作業フロー等で把握する必要があります。

作業フローを作成し、ヒアリングで指摘された項目と照らし合わせることで、作業内の、どの箇所に問題があるのかを把握します。

例えば、製品の発注業務に問題があるケースを考えてみます。

製品を発注する際には、当然、製品の在庫状況を把握する必要があります。このため、発注業務の前には、通常、在庫管理業務が存在します。


一般的な発注業務は、上図のようになると思われます。

このような作業フローにおいて、下記問題点を指摘された場合の改善策を考えて見ます。

・最新在庫の把握に時間が掛かる → 在庫管理業務を効率化できないか?
・発注書の作成に時間がかかる → 在庫管理業務と発注書作成作業を自動連携できないか?


ソフトウェアによる効率化の可否は、前述の『 効率化すべき作業とは 』と言う章にも記載した通り、下記項目が明確にできるか否かで検討することになります。


・データの入力場所
・入力データの形式やフォーマット
・データを入力する(取り込む)タイミング
・データを処理するタイミング
・データの処理基準・判定基準
・データの処理時間の妥当性
・データの出力・作成タイミング
・データの出力形式やフォーマット


上記の点が明確にできない業務は、単純には、業務をソフトウェアには移行できません。問題点を指摘された業務に関して、上記項目が明確にできるか否かを調査・分析します。

上図の例の在庫管理に関して、上記の各条件について調査・分析すると、次の様な結果が得られると思います。


・データの入力場所 : 売上データは、メールにより送信されてくる
・入力データの形式やフォーマット : お客様毎に異なるが、お客様毎に同一
・データを入力する(取り込む)タイミング : お客様毎に異なるが、週1回、あるいは月1回
・データを処理するタイミング : メール受信後
・データの処理基準・判定基準 : 在庫数は社内管理/在庫基準は存在する
・データの処理時間の妥当性 : 現状3〜5日掛かる/短縮可能
・データの出力・作成タイミング : 結果は毎週、および毎月作成
・データの出力形式やフォーマット : 発注先毎に異なるが、形式は発注先毎に同一

このように、在庫管理作業に関しては、条件付きですが、システム化要件を満たしますから、ソフトウェアによる業務効率化が可能、と言う結論になります。
但し、システム化に際しては、当然のことながら開発する社員が必要になります。

これ以上先に進める場合には、御社の状況により判断することになります。


■外注会社の活用

御社に情報システム部門が存在する場合は、検討結果、および改善案を、情報システムと一緒に検討することになると思います。

しかし、零細企業の場合、社内に情報システム部がある企業は、ほとんど無いと思います。

この場合、ITスキルの比較的高い社員が、通常業務とシステム関連業務を兼務するか、あるいは担当者が、そのままシステム関連業務を行うケースが多いと思います。

また、零細企業の場合は、前述の【 業務改善チーム 】等の作成も、ほとんど無理だと思います。

業務担当者に、ITスキルのある場合には、担当者が、業務の合間を縫って、シコシコとソフトウェアを開発するかもしれません。

しかし、実際には、問題を抱えつつも黙々と業務を行うのが一般的だと思います。

このような場合、システム開発会社に相談してみるのが一番良いと思います。但し、費用は、それなりに掛かってしまいますが・・・

システム開発会社も、ピンからキリまでありますが、中小零細企業の場合は、大手IT系の会社には相談しない方が良いと思います。

その理由、およびシステム開発の選定方法に関しては、弊社ホームページに参考ページがあります。そちらを参考にして下さい。

★初めての外注化:http://msystm.co.jp/beginner.html

システム開発会社も、コンサルティングからソフトウェア開発まで手掛ける会社と、単純にソフトウェア開発だけを行う会社があります。詳しくは、相手先のホームページ等を参考にすれば良いと思います。

(弊社を自慢する訳ではありませんが)弊社のように、コンサルティングを行う会社であれば、業務分析から業務改善策の提示、さらにソフトウェア開発まで、ワンストップで行うことができます。このため、システム開発会社を、【 業務改善チーム 】として活用することも可能です。

弊社を含め、ほとんどのシステム開発会社は、相談だけは無料で受け付けています。ホームページを参考にしながら、何社かに相談してみた方が良いと思います。


■システム化の注意点

業務のシステム化における最大の注意点は・・・システム化を依頼する方にとっては、品質・費用・工数が最大の注意点になると思います。

これらを称して【 QCD 】と言います。(品質:Quality、費用:Cost、工数=納期:Delivery=Time)



当然、これら【 QCD 】も大事ですが、それ以外にも、次の様な重要なポイントがあります。


・システム稼働後の運用方法
・システム稼働後の保守
・システムの将来性・拡張性


システムを作成する前は、どうしても費用を含めた【 QCD 】にばかり注目しがちですが、システムを導入した後には、次の点が重要になります。


・システムを含めた業務全般を、どのように運用して行くのか
・障害が発生した場合、どうやって保守するのか/業務を継続させるのか
・業務変更に合わせて、システムをどのように拡張して行くのか


システムは、『 作っておしまい 』ではありません。



該当業務が無くなるまでは、(少しオーバーかもしれませんが)永遠に稼働し続けて行きます。実際の話、システムを作る期間より、システムが稼働し続ける期間の方が長くなります。

このため、本来であれば、システム開発の検討を開始した時点で、上記3点も同時に検討を行うべき項目となります。

そこで、上記3点に関して、どのような内容を検討すべきなのかを次に紹介します。


●システム稼働後の運用方法


・システム導入後に業務手順の変更があるか否か
・定期的にデータ/ソース/モジュールのバックアップは必要か否か
・システムで障害が発生した場合、リカバリー手順のマニュアルは存在するか
・ソース/モジュールの入替手順のマニュアルは存在するか
・担当者が不在時に、代替者で操作可能か否か


●システム稼働後の保守


・障害発生時の調査・対応手順はあるのか、マニュアルは存在するか
・障害発生時の代替手段はあるのか、マニュアルは存在するか
・バックアップ/リストア手順は自動化か、マニュアルは存在するか
・保守は自社で行うのか、それともシステム開発会社に委託するのか
・ハードウェアの入替時に何らかの対応を取る必要があるのか


●システムの将来性・拡張性


・将来何か機能追加する予定はあるのか
・外的要因でシステムをリプレースする可能性はあるか
・他部署でも活用できるか
・新規システムは、将来に渡って使用できるのか
・他デバイス等にも展開可能か


上記の点は全て重要だと思いますが、特に、システムの拡張性・将来性に関しては、「今は、この仕様だが、将来的には仕様が変更になる」ことが決定済の場合には、きちんと仕様を整理しておく必要があります。

ソフトウェアを変更する場合、人手・工数が掛かります。特に、システムを外注が作成した場合には、必ず追加料金が必要になります。

将来を見据えた対応を施しておかないと、折角作成したシステムに対して、直ぐに修正が入ってしまいます。仕様が変更になることが明らかな場合、可能であれば、将来も追加費用が掛からない、あるいは費用が抑止できる様な方策を施しておくべきだと思います。


■人間が行うべき作業とは

業務には、人間しか行えない作業があります。全ての業務をシステム化したからと言って、当然、社員が不要になる訳ではありません。

それでは、人間が行うべき作業とはなんでしょうか?

ソフトウェアは、完璧ではありません。

システム会社の私が言うと、言い訳の様に聞こえるかもしれませんが・・・ソフトウェアは人間が作成します。人間が作成したものに完璧な物などありません。

このため、システムの出力結果に関しても、必ずチェックが必要です。

前述の様に、ソフトウェアは、単純に、データを入力して、基準に従い処理を行い、処理結果を帳票やデータとして出力するだけです。

入力データを間違えれば、間違えたまま処理を実行してしまいます。

その点、人間は、データに間違いがあれば、直感的にエラーと判断することができますが、ソフトウェアは、ある意味「バカ」ですから、そのような賢い判断はできません。

このため、最終的には人間の判断が必要になってしまいます。

また、同様に、入力データに異常があった場合、システムがダウンしてしまう可能性もあります。

このような場合、人間がシステムのダウンに気が付かなければ、業務は停止したままになってしまいます。

作業は、システムが自動的に行いますが、業務運用には、人間が必要です。

それと、業務は日々改善が必要です。

一旦、システムを作成して導入すれば、当初の業務効率化の目的は達成できます。

しかし、その時点で業務改善を止めてしまえば、それ以上の効率化はできなくなってしまいます。

現在、ビジネス環境は、日々変化します。お客様の環境も、日々変化し続けます。

このような状況で、何も改善せずに業務を行い続ければ、また無駄な作業が増え続けてしまうでしょう。

このため、システム導入後も、次なる業務改善に向けた取り組みを行う必要があります。

現在のソフトウェアには、自己修正機能はありません。このため、人間=社員が、次なる改善に向けて検討を行い続ける必要があります。

例えば、システムを導入して処理自体は効率化できた。しかし、出力結果をチェックする仕組みがないためにチェック処理だけは社員が行う。

この様なケースの場合、今度は、チェック作業の自動化・システム化を検討する価値はあります。

チェック基準さえ定義できれば、あとはソフトウェアに任せるのが得策だと思います。

但し、この場合も、最終的な確認だけは人間が行えるような仕組みを組み込む必要があります。

例えば、チェック処理の出力結果に、エラー情報を表示するのは当たり前ですが、チェック処理のサマリー情報を出力し、それを人間が確認するような仕組みです。

話は、少しずれてしまいますが、業務のシステムによる自動化で一番恐ろしいのは、ソフトウェアでエラーが認識できず、次の業務が開始してしまう点です。

システムでチェックした結果、入力データに誤りがあり、それで業務が一時的に止まるのは、良いことです。まあ、本当は入力データに誤りが無いのが最高ですが・・・

ところが、入力データに誤りがあるにも関わらず、業務が停止せずに、どんどん流れてしまうと、最終的に誤ったデータが作成されてしまいます。システムによる自動化で怖いのは、このケースです。


業務の自動化を進めると、スタートボタンをクリックしただけで、後は全て自動的に業務が流れるようになります。

入力データに問題が無い場合には、これが究極の自動化で、最高の業務効率化となります。

しかし、入力データに間違いがあっても、誰も気が付かずに最後まで行ってしまうのが、最悪のケースです。


例えば、製品販売、在庫チェック、新規発注、生産、請求書発行まで自動化する仕組みをシステムで構築した場合(このような仕組みをERP※と言いますが)、どこかの処理でデータの作成ミスが発生したのに、ミスに気が付かずに業務が最後まで処理されてしまうと、請求金額に誤りが出てしまいます。

請求書発行までを自動化してしまうと、ミスの影響が社外にまで及んでしないます。この場合、社内、および社外を巻き込んだ大問題となってしまいます。

このような事態を避けるために、業務と業務の間には、データをチェックする仕組みを組み込み、かつ人間が、それをチェックできるようにする必要があります。


ERP :Enterprise Resource Planningの略です。企業の生産管理、販売管理、在庫管理等、さらに給与管理、人事管理まで、企業の全資産(リソース)を一つのパッケージ・ソフトウェアで管理する仕組みのことです。


■効率化した後の取り組み

それでは、ソフトウェアによって業務を効率化した後は、どうすれば良いでしょうか?

前の章に記載した様に、次なる改善に向けた検討を始める必要もありますが、それ以外にも行えることがあります。

システム導入により作業が効率化した訳ですから、今まで3日間掛かる業務が、1日に短縮されたり、3時間掛かる業務が、30分に短縮されたりまします。

この短縮した時間を有効に活用すべきです。

残業時間が多い企業は、作業時間が短縮される訳ですから、社員の残業時間を減らして、経営を効率化するのも良いと思います。

しかし、残業時間短縮だけでは、費用対効果としては、インパクトが弱すぎます。もう少し、会社の経営に貢献できるような効果が必要です。

つまり、業務効率化によって空いた時間は、本業に専念してもらうことが主目的だと思います。

営業系ならば・・・


【効率化できそうな業務】
・見積書作成業務
・営業情報管理業務
・売上管理業務


【空いた時間で】
・訪問顧客数を増やす
・提案書の数を増やす
・営業戦略の立案


総務/経理系ならば・・・


【効率化できそうな業務】
・請求書作成業務
・社内情報管理業務
・給与計算業務


【空いた時間で】
・各種経営資料等の提出頻度/速度のアップ
・他部署との連携強化
・業務効率化検討


管理系ならば・・・


【効率化できそうな業務】
・出荷管理業務
経営管理業務
・入出庫管理業務


【空いた時間で】
・業務効率化検討
・他部署との連携強化
・会社方針検討


このように、業務を効率化することで、本業にも専念することが可能となりますし、次の様な全社的な動きを活性化することも可能になります。


・社内勉強会の実施
・社内横断プロジェクトの実施


作業時間を削減することで、これまで実施できなかった、様々なアクションを取る事が可能になりますし、ブラック企業と言われる前に、作業時間を減らすことも重要です。

是非、ソフトウェアによる業務効率化を検討して見て下さい。

それでは次回も宜しくお願い致します。

以上

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